最新の運転支援装備で“サンキューハザード”はなくなる!?

JAFは「サンキューハザード」をなくしたい! 背景にある「最新の運転支援装備」に組み込まれる「本来の使い方」とは

左右のウインカーランプを連続して点滅させる「ハザードランプ」。

すべてのクルマに備わっている機能かつ、そのスイッチは赤基調で目立つ場所に配置されています。

そうした扱いを受けていることからしても、かなり重要な機能であることは間違いありません。

本来ハザードランプは緊急事態を知らせるもの

一般ドライバーにおけるハザードランプ(非常点滅表示灯)の使い方は『夜間、幅が5.5m以上の道路に停車や駐車している時は、非常点滅表示灯、または尾灯をつけなければならない』と道路交通法で定められているくらいです。

そんなハザードランプには、慣習的に生まれた使われ方があります。

それが「サンキューハザード」と呼ばれるものです。

たとえば、合流で譲ってもらった場合、車線変更で前に出た場合などに短くハザードランプを点滅させることで謝意を示すというもの。

「むやみに非常点滅表示灯を使ってはならない」という風に禁じられていない限り、ハザードランプを“ありがとう”の意味で使うことに問題はないようにも思えます。

しかし、そうしたサンキューハザードは本来の使い方ではないので、止めるべきだという意見もあるのです。

なぜなら、ハザードランプは本質的に緊急事態を示すものという意味があるからです。

道路交通法で夜間の駐停車時に使用が定められているのも、真っ暗闇で無灯火のクルマが停まっていると衝突などの危険性があるからです。

けっしてハザードランプを点滅させることは駐停車の権利を主張するものとして認められているわけではありません。

“サンキューハザード”は推奨できない

最近では、急ブレーキを踏んだ際にハザードランプをチカチカと高速で点滅させる「エマージェンシーストップシグナル」という機能の標準装備化も進んでいますが、これも緊急事態を周囲に伝えるものです。

ほかにも、突然の疾病などでドライバーが意識を失ったときなどに作動するドライバー異常時対応システムでは、ホーンとハザードランプによって周囲にトラブルの発生を知らせることが、業界標準の手法として定められています。

いずれにしても、ハザードランプ本来の目的を利用する機能の標準化が進んでいるのです。

ハザードランプに“ありがとう”の意味を込めるというのは、シチュエーションに依存する使い方であって、情報伝達の手段として違和感が生じてきます。

さらにいえば、遠目にはありがとうの意なのか緊急事態が起きているのか判別が難しいのです。

ハザードランプの乱用は情報を交錯させてしまう可能性があるということです。

こうした背景もあって「サンキューハザード」は推奨できないというのが、日本の自動車ユーザーを代表する団体といえるJAFの見解となっています。

救助すべきという認識にチェンジするべき

たしかに、ドライバー緊急時対応システムが普及してくると、ハザードランプ=ドライバーの意識喪失という風に捉えるべき時代になるでしょう。

そのときにサンキューハザードという慣習が残っているようでは誤解のもととなります。

むしろ、ハザードランプを点滅させているクルマを見かけたら救助をすべきという認識にチェンジすべき時代になりつつあるのです。

その意味では、渋滞の末尾に近づいたときに後続車にそれを知らせる手法としてハザードランプを使うというのも見直すべきでしょう。

追突の危険性を回避するという点では非常時を知らせる手段として捉えることができますが、後続車へのアピールとしてはブレーキペダルを数回にわけて踏むポンピングのほうが伝わりやすいし、誤解も招きづらいのです。

余談ですが、本当にポンピングブレーキを踏むとクルマが前後にガクガクとしてしまい、けっしてスマートな運転にはなりません。

後続車に情報を伝えるポンピングは、あくまでランプが点く程度に軽く踏むというイメージで行なうといいでしょう。

ネットの声

「高速の渋滞なんかは、後ろの車にポンピングブレーキで危ないですよって知らせるだけよりも、ハザードつけて、後ろの車もハザードがついたら「あ、気が付いたな」って安心感を得ることも出来るけどな。それじゃダメかな。」

「使い方にもよると思う。無理矢理割り込んで来て、ハザードつけるのに手間取り、加速しない人なんかは、使わなくて良いから早く加速して欲しいと思う。」

「サンキューハザードって、せいぜい2?3回でしょ。それをJAFが問題視するなんて意味わからん。ポンピングは、後続車が直ぐ後ろにいるならよいかもしれないが、渋滞の最後尾につく時がそうとも限らないし、5秒、10秒とやるものでもないので、ハザードランプより分かりやすいってことはないのでは。」

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