
時速約965kmで飛ぶ戦闘機に乗ると人間はどうなるの?
みなさんは高速の乗り物に乗るのが好きですか?
速度が上がることで自分の体にのしかかるG(重力加速度)を感じるのが楽しいといった人も少なくないでしょう。
富士急ハイランドのライドに乗りまくっていたら快感になった…なんて人も。
それでも、普通は最速は時速130kmくらいがマックスでしょう。
では、時速約965kmだったらどうなるのでしょうか。
具体的にいえば、それくらいの速度の戦闘機に人が乗ったら、中ではどんなことが起きているの?
実はこの疑問に答える映画が公開中です。
そう、『トップガン マーヴェリック』です。
目次
本当に戦闘機に乗ってる
『トップガン マーヴェリック』は、1986年公開『トップガン』の続編で、海軍エリート航空戦訓練学校(通称トップガン)に参加した無鉄砲なピート(コールサイン:マーヴェリック、演:トム・クルーズ)の30+α年後の様子を描いたもの。
天才パイロットのマーヴェリックが、インポッシブルなミッションを遂行させるために、トップガンの若手パイロットを訓練するために教官として戻ってくるストーリーです。
『トップガン』といえば、海軍が全面強力して戦闘機F/A-14を実際に飛ばしたことで有名。
ストーリー、音楽、俳優、編集、音響など、すべての要素が格好良くて、映画公開後は海軍を志願する若者が殺到したことでも知られています。
ただ、『トップガン』では、本物の戦闘機を飛ばしていても、俳優たちの飛行シーンはスタジオに造られたF/A-14のコックピットで撮影されたんですよね。
つまり、トム・クルーズは乗っていなかったんです。
で、この『トップガン マーヴェリック』では、実際にトム・クルーズをはじめとする俳優らが本物の戦闘機F/A-18に乗って時速約965kmを経験しつつ、演技をしているんです。
この迫力、マジでやばいです。
まじめな話『トップガン マーヴェリック』の成功は、ヒットするとすぐに安易な続編が作られて価値が貶められてしまった作品が多いなか『トップガン』で大スターになったトムが権利を買って下手な続編が作られないよう長年企画をあたためていたのが大きいよね…
— 素子 (@pisces1235) May 27, 2022
時速約965kmの戦闘機に乗るとどうなるの?
トム・クルーズが説明するに、地球上では1Gの重力がかかっているそう。
2Gになると体重の2倍となって、たとえば体重90kgの人なら180kgに感じるのだとか。
『トップガン マーヴェリック』では、7.5Gから8Gを受けているので、体重90kgの人なら725kgもの力で体が押しつぶされる感覚になるとのこと。
脳から血液が押し出され、視界は閉ざされるだけでなく、血液は全て脚に流れこむそうです。
嘔吐したり、G-LOCと呼ばれる意識不明になることもあるのだとか。
そんな状態を演技で再現しろと言われても難しいですよね。
だから、トム・クルーズは「実際に乗ること」にこだわりました。
何年にもわたってスタジオから「CGIで取れないのか?」と言われてきたのに、F/A-18に乗って、Gに耐えながら演技して、その一部始終をコックピットから撮影し、映画ファンに届けなければ、続編は作らないと心に決めていたのです。
「トップガン マーヴェリック」が全米4735館で公開され、OP興収1億2400万ドルでぶっちぎりの首位デビュー。「宇宙戦争」を軽々と超えるトム・クルーズ史上最大のオープニングで時速はマッハ10を突破。批評家・観客の双方からアツい感想が飛び交っており、息の長い興行になりそう。まさに特大ヒット。 pic.twitter.com/1j2XPspfHG
— 映画情報 オスカーノユクエ (@oscarnoyukue) May 29, 2022
F/A-18に乗るために
トムが強いこだわりを持っていても、数日で俳優らが8Gに耐えられる肉体を手に入れられるはずがありません。
まず、役者たちは『トップガン マーヴェリック』に参加するにあたり5カ月間もトレーニングしたそうです。
トレーニング・プログラムを作成したのはトム・クルーズ。
それぞれのキャスト用に毎日の目標を書き、飛行機に慣れるためのインスタラクターを雇い、飛び方を学ばせ、Gを引き上げられるようにしたとのこと。
キャストがその日の様子を細かく用紙に記入すると、トム・クルーズがチェックして、プログラムをカスタマイズしていたのだとか。
そして、飛行に慣れるために、セスナ、エクストラ300、L-39アルバトロス単発エンジン高騰ジェット機、F/A-18と段階的に移行していったそうです。
また、キャストの戦闘機のそばを他の戦闘機に飛行させてみたりも…。
ここまでやるのも、キャストは自分達が操縦していないにもかかわらず機動飛行し、Gに耐えつつカメラや照明を意識して演技しなければならないからなのです。
実際に操縦桿を握るパイロットと同じくらい難しいことをしている可能性があるわけです。
トップガン:マーヴェリック、常にコックピットには4?6台、最大同時撮影カメラは27台にもなったそうで、とにかくマルチカメラ多用の撮影で、撮素の総尺が800時間オーバーで、ロードオブザリング三部作より多いとかいうバケモノみたいな素材量を131分にまとめた、エディターのエディハミルトンは天才 pic.twitter.com/Jx7J1D64X3
— Kei (@1977swthx) May 30, 2022
そこまでやる意味ある?
おそらく、「そこまでこだわる必要あるの? CGIではダメなの?」と思う人もいるでしょう。
そこは劇場で確かめてみてほしいのです。
『トップガン』を含め、歴代のフライトムービーの中でもここまでGを感じられる作品はないと言い切れます。
観客は、劇場の椅子の背もたれに思い切り背中を押しつけ、足を踏ん張り、手を握り締めるはず。
そこには、トム・クルーズがこだわり続けた「本物の意味」があります。
そもそも、時速965kmの戦闘機に乗った人がどんな体の変化を体験するのかを、私たち一般人はほとんど知ることなく生きています。
でも、『トップガン マーヴェリック』を見れば、それが特等席で見れます。
あわよくば擬似体験できるのです。
これってかなりスゴいことなんですよね。
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『トップガン マーヴェリック』を見る前に前作『トップガン』(1986)の押さえておきたいポイントをまとめてみました??#トップガン pic.twitter.com/TUXoTMFItB
— ?????? =?= カスト (@kst050z) May 22, 2022
トムとヘルメットの謎
ちなみに作品を見ると、トム・クルーズってなんでヘルメットなしでもバイク乗ってるの?
とか、トムの戦闘機のヘルメットが内側にライトついているんだけどなんで?
みたいな疑問も出てくると思います。
トムが映画の中でノーヘルでバイクを乗るのは昔からのことで、これはスタントダブルではなくトム本人が運転していることを強調したいから、と言われています。
同じ理由で、ヘルメットの中が光ってトムの顔が見えるのも、トムが本当に乗っていることを強調したいからだと考えられます。
実際、『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』では、トムのご尊顔をクリアに見せる特殊酸素供給ヘルメットが開発されていますから。
『トップガン マーヴェリック』は絶賛公開中。
『トップガン マーヴェリック』が、トム・クルーズ史上新記録かつ初の全米オープニング1億ドル超えとなる週末興収1億2400万ドルで初登場首位。劇場から足が遠のいていたover40歳を大量動員しただけでなく、全体の45%が前作公開時に生まれていなかった35歳以下の客層とのこと https://t.co/TawZVciaQv
— ?????????????????? (@kirockyou) May 29, 2022
ネットの声
「初日に劇場へ見に行きました。ネタバレになるので感想だけにしますが、前作のファンなら懐かしいと感じるシーンが盛り沢山だし、前作出演者の変化に月日が経った事を感じるのと初日の為、コアなファンが多かったのか映画館に来ていた方たちは、私と同年代かそれ以上の方が多く青春時代に見た方が来ていたようにも感じました。映画は前作へのオマージュを強く感じる作品です。是非見てもらいたい作品でした。」
「トップガンマーベリック観てきました。確かにコクピット内での太陽光線の変化、俳優の表情、顔の肉の歪み、機体の振動と全てがシンクロした躍動感が本物だと感じました。トム・クルーズの拘りは納得です。確かに自分もコクピットに居るような感覚でした。スカイアクション映画として素晴らしかったです!」
「時速965kmでとんでも加減速が無ければ問題ありません。それこそ宇宙ステーションは時速28000kmというとんでもない速さで地球の周りを回っていますが加減速が無い一定速度で飛んでいるので中の宇宙飛行士たちも自由にステーション内で生活出来るんですよね。」