「プリウス」より前に、トヨタは1977年にハイブリッドを完成させていた!?
ガスタービンを使った「トヨタスポーツ800」とは
目次
次世代へ向けた動力の模索をトヨタは行っていた
トヨタ・スポーツ800とホンダS800は、ともに1960年代後半に市販されたふたり乗りの小型スポーツカー。
とはいえ、その開発はまったく別の視点で進められました。
トヨタ・スポーツ800は、先にパブリカで搭載された空冷の2気筒700ccのエンジンを基に100cc増大し、最高出力が45psの出力でした。
対するホンダS800は、直列4気筒で70psを出していたのです。
排気量1リッターで100psという性能は、相当高水準である証なのですが、ホンダS800は1Lあたりに換算して87psに近い水準であり、かなりの高性能であったといえます。
2.トヨタ スポーツ800
スタイリングが良いハンドリングマシンで、このぐらいのサイズの車に乗りたいなぁっていう願望。 pic.twitter.com/xVijPkwmVv
— まりょりょん (@wasi_2maxOP7387) October 25, 2022
軽量化と空気抵抗にこだわったトヨタ・スポーツ800
1970年代には2台のガスタービンハイブリッド車が開発されていました。
では、トヨタは45psのエンジンで、どのようなスポーツカーを思い描いたのでしょうか。
答えは、軽量化と空気抵抗の小ささによる高速の追求です。
そして最高速度は155km/hであったそう。
ちなみに時代は遡るのですが、ポルシェ初のスポーツカーである356の最高速度は135km/hでした。
空力の追求では、トヨタ・スポーツ800の前身ともいえる東京モーターショーに参考出品されたパブリカ・スポーツが、まさに航空機のキャノピーを思わせる客室形状だったのです。
軽量化と空力を突き詰めたトヨタ・スポーツ800と、高性能エンジンを搭載したホンダS800は、レースの場でもよき競合として戦いました。
それとは別に、1977年の東京モーターショーに出展されたのが、トヨタS800のガスタービンエンジン車です。
タービンエンジンは、航空機に使われるジェットエンジンと同様に、回転軸に並べられた翼を回転させ、出力を得るのです。
一定回転で運転するには効率的ですが、クルマのように頻繁に加減速する使い方にはあまり向いていません。
それなのになぜ、トヨタ・スポーツ800にタービンエンジンを搭載したのでしょうか。
じつは、それはモーター駆動によるハイブリッド車だったのです。
ただし、今日のトヨタ・ハイブリッド・システムのように、エンジンとモーターを併用して駆動するのではなく、発電用にタービンエンジンを用い、駆動にモーターを使う方式です。
現在でいえば、日産のe-POWERのような利用の仕方です。
1970年代には2台のガスタービンハイブリッド車が開発されていた
じつは、トヨタ・スポーツ800の2年前となる1975年の東京モーターショーで、トヨタは最上級車のセンチュリーでガスタービンハイブリッド車を試作し、出展していました。
当初はシステムが大掛かりとなるためセンチュリーで始められたのではないでしょうか。
その後、トヨタ・スポーツ800での開発は、システムを小型化し、普及させる考えがあったのではないかと推察されます。
1970年から始められた排出ガス対策がひと段落しようとした時期に2台のガスタービンハイブリッド車は開発されており、次世代へ向けた動力の模索をトヨタは行っていたといえます。
しかも、開発の始まりは1965年というから、排出ガス規制より前から試行錯誤は続けられていたことになります。
そこからまったく別の方式となって、1997年に初代プリウスが誕生し、世界初の量産市販ハイブリッド車が実現したのです。
ネットの声
「ガスタービンは最高出力で最も燃費が良い。対して電気モーターは最高出力で最も電費が悪い。ならば、これを組み合わせれば最高に燃費が良いと考えたのだろうが、世の中そんなに甘くない。結局ミラーサイクルで1.5Lからたったの58psに電気モーターを組み合わせたプリウスになった。私は初代プリウスを運転したことがあるが、違和感全開で「これはプリウスであって自動車ではない」と思った。」
「閉館直前までメガウェブに展示していたので撮影しておいた。
こういった技術的記念碑のような車を見れる施設が無くなってしまったのは残念だ。
いつかまた首都圏で復活してくれると嬉しい。」「ガスタービンの起動音はワクワクしますね、この当時のタービンだと一度停止したら相当冷えるまでホットスタートになってしまうから起動出来なかったと思います、乗用車用としては不向きなんでしょうね。」