コインランドリー経営は儲かるの?損益分岐点をご紹介

想定売上「月86万円」程度だが…「コインランドリー経営」はどれだけ儲かるのか?

最近、街中でよくコインランドリーを見かけるようになりました。

コインランドリー店舗経営は、不動産投資のように不労所得を得られるビジネスなのでしょうか? 

「コインランドリー店舗数」は10年前の約2倍

街を歩いていると、コインランドリーがよく目につくようになりました。

一昔前の銭湯出入口にあったコインランドリーとは異なり、カフェ併設だったりWi-Fi完備だったりと若者世代が利用しやすい店舗が増えているようです。

コインランドリーの実態や、店舗設置に掛かるコスト、運営にかかるランニングコストなどは、どのようになっているのでしょうか。

各種データから検証してみることにしました。

ホームページでコインランドリー店舗数と検索すると、どのデータでも確かに、コインランドリー店舗数は10年前の2倍近くに増えています(図表1)。

また、独立行政法人の中小企業基盤整備機構が運営するポータルサイト「J-Net21」の市場調査データでは、利用者意識として今後「ぜひ利用したい」と「どちらかといえば利用したい」を合わせた比率(積極的利用意向)は、全体で23%、男性19%、女性27%となっていることからも利用率が増していることは明らかなようです。

女性の社会進出が浸透してくる流れと利用意向の高まりとは、比例する方向にあるようです。

しかしながら、市場にはまだまだ余力があるようで、コインランドリー機器メーカーで売上高トップのアクア(株)によると、日本の洗濯労働市場約5.2兆円のうち約2%、1,000億円規模がコインランドリー市場であると推計されています。

なぜコインランドリーが人気?利用者の実態

利用者にも変化が見られます。昭和の時代は「一人暮らしを始めたばかりで、自宅に洗濯機がないから」という理由もありましたが、最近は「自宅に洗濯機があってもコインランドリーを利用する」という人が増えています。

また、日本の人口は2008年の1億2,808万人をピークに減少に転じていますが、国立社会保障・人口問題研究所『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018年推計)によると、単身世帯は2030年までは増加するとしています。

当然、単身世帯だけがコインランドリーを利用しているわけではありません。

近年ベイエリアに乱立しているタワーマンション、これらの多くのタワーマンションでは管理規約により、安全面の配慮からバルコニーとかベランダなどに洗濯物を干せないことになっているケースがあります(タワーマンションの低層階には、マンション入居者のみ利用可のコインランドリーもあったりします。しかも稼働率はかなり高く順番待ちの状況が多いそうです)。

では、なぜコインランドリー人気が出ているのか、次のような理由が挙げられます。

  • 家庭で扱いにくい大きな洗濯物が洗える
  • 乾燥が簡単
  • クリーニングより、手軽で割安
  • ガス乾燥機の利用はスピーディで仕上がりもふっくら
  • 高温乾燥でダニも退治できる
  • 花粉の季節でも、洗濯物に花粉が付かない

ちなみに意外と知られていない点として、前記の独立行政法人中小企業基盤整備機構によるインターネット調査(調査期間2019年6月14日~6月17日)では、男女ともに若者だけでなく60歳以上の高齢者の利用率も高くなっていることが挙げられます。

また、利用額も女性よりも男性のほうが大きく、利用金額は1回あたり500円~1,000円が最も多いようです。

想定売上「月86万円」程度だが…儲かるのか?

コインランドリー店舗経営を実際に考えてみて、不動産投資のように不労所得が得られるビジネスなのかを検証してみましょう。

まずは、利用する機械の種類です。

  • 洗濯乾燥機(大型・中型)
  • 乾燥機(2段式・大型)
  • 洗濯機(ドラム式・タンク式)
  • スニーカーウォッシャー

これらの機械の利用料金や稼働回数などから想定月間売上を考えてみると、月売上は約86万円(年間約1,000万円)であることが分かります。

次にコインランドリー初期投資額ですが、上記売上の機械台数を設置した場合のざっくりとした施工費用と諸経費を見てみましょう。

<初期投資費用>

  1. 工事費用1,000万円
  2. ランドリー付帯工事200万円
  3. ランドリー機器代1,700万円
  4. 店舗備品350万円
  5. 初期設定費用450万円合計)3,700万円

※あくまで参考数値ですので、正確な数値を確認する際はコインランドリー業者から見積もりをお取り寄せください。

また、コインランドリーの運営には、以下のランニングコストも掛かります。

<ランニングコスト(毎月)の種目>

  • 機械運営費(水道光熱費・洗剤・柔和剤)
  • オペレーティング費用(清掃・両替・防犯カメラ・コールセンター)
  • 賃料(家賃)
  • 保険料
  • 償却資産税

金額にすると以下のようなイメージです。

<ランニングコスト(毎月)の金額>

  • 機械運営費24万円(売上×30%)
  • オペレーティング費用15万円
  • 賃料(家賃)30万円
  • 保険料1万円
  • 償却資産税1万円

⇒合計71万円

月売上約86万円と月経費約71万円を差引すると、粗利約15万円(年間180万円)のキャッシュフロービジネスです。

初期投資費用3,700万円を、投資回収年数20.5年間をかけて回収するようなイメージになってしまいます。

キャッシュフロー以外にもイニシャルの投資費用を金融機関から借入れているのであれば借入利息、チェーン店の看板をかけるのであればロイヤリティー、メンテナンスに関しても機械補修費や、売上から生じる税金以外にもランドリー機器に関する償却資産税、直接的なキャッシュアウトには繋がらない減価償却費などを考慮して、利益が出るように運営していかなければなりません。

コインランドリー店舗経営で想定されるリスク

お金の収支のことだけでなく、万が一に備えたリスクも考える必要があります。

  • 火災や盗難
  • 店舗内における転倒、イタズラ
  • ランドリー機器の利用法に対するクレーム

各々リスクに対して損害保険や24時間コールセンター受付などの対応策はありますが、ともに費用は掛かります。

コインランドリーを街でよく見かけるようになったことは確かですが、実際にかかる初期投資費用やランニングコストを確認して、「無人で手軽なビジネスだな。店舗数も増えているし、事業経験はないけど安心な投資だろう」と思って参入してしまうと、意外と持ち出しが多く運営がうまくいかないというケースも聞いています。

もちろん、すべてのコインランドリーが先に掲げたように売上が伸びず、厳しい経営を強いられているわけではありません。コインランドリーの生命線は利用者です。いかに稼働率の良いロケーションの店舗を手に入れるかがすべてと言っても過言ではありません。

郊外型と都市型では収益構造(機械種類によるマシン稼働率)が異なりますが、コインランドリーもそれほど簡単な事業ではないということをご理解していたほうが良いようです。

ネットの声

「周囲1~2㎞ぐらい同業者が居ないこと。土地が自前であること。居抜き物件なおよし。というよりそこからのスタートがオススメ。駐車場が確実に確保できること。周りに住宅街とマンション系が多いこと。運転資金に余力があること。父が、コインランドリーが成功する可能性が高い要件を備えた物件を買っていたので、成功する可能性が高い理由を書いた要件です。これに加えて、管理が大変ならば、宝くじ売り場を併設では?と付け加えました。まあ、運転資金の兼ね合いで断念してましたが。その数年後にやってみたいけど、どうかなと言われたから、ムリと答えましたけどね。最初の要件が既に達してないからでした。想定通りいかないのが事業ですからね。なにせ、初期投資が高いですからね。まあ、コンビニオーナーとどっちがいいかと言われるとねぇ‥」

「事前調査が必要ですね。人口密度、家族構成、地域の平均年収、人口が薄くても来るだけの付加価値を付けたり、相乗効果を狙ったマーケティング、固定概念よりも、奇想天外な発想が大きな利益をもたらすかもしれませんね。クリーニング店を併設したりして専門家のアドバイスと技術を売ったり、待っている間のもぐもぐタイムとか。知識の宝庫にさせるとか。根本は安全と衛生が担保されないと維持できないですよね。利便性や便利さの追求とかも必要ですね。子供が安心して入れて女性が一人でも気軽に洗濯が出来るとか。。下着泥とか汚いとかだとイメージがマイナスですよね。」

「コロナ禍の今年度、事業転換や新規事業に補助金が手厚かった。私は地方のクリーニング店主。もしコインランドリーに転換したとして、上限はあれど2/3まで補助金で賄える、みたいな話を考えました。やりませんでした。興味があれば、来年度はどの程度補助金が付くのかも考えた方がいいですよ。上手く補助金が出れば、相当楽な経営だと思います。」



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