反響やまず…DAZNの大幅値上げ…野球ファンの取り込みが鍵になるかも

DAZN「大幅値上げ」の背景は 野球ファン取り込めなければ日本“撤退”の選択肢も?

スポーツ動画配信を行うDAZNの月額利用料が大幅に値上げされることが話題となっている。

加入者の伸び悩みが背景か…

1月25日、DAZNは月額料金を1925円から3000円に値上げすることを正式に発表。

2月22日から料金を改定することが決まりました。

NTTドコモがdアカウントのユーザー向けに提供する「DAZN for docomo」の価格は1925円に据え置かれ、KDDIはauのユーザー向けに新たなセットプランを提供することが発表されています。

しかし、今回の値上げに対して納得しているユーザーは少ないでしょう。

「(値上げの理由は)加入者が伸びていないことが1番大きいでしょう。16年の国内サービス開始以来、巨額の先行投資をしてきた。Jリーグとの独占放映権契約を結びNPBにも進出、国内スポーツ独占を進めている。DAZNのメイン収入は視聴者からの視聴料金なので加入者が増えなければ料金が上がるのは当然です」(大手広告代理店関係者)

DAZNは英国パフォーム・グループ(19年に名称をダゾーン・グループに変更)が日本、ドイツ、オーストリアなどで事業を展開。

国内ではJリーグ、プロ野球をはじめ、欧州サッカー、F1、格闘技など世界中の様々なスポーツをカバーして動画を配信しています。

Jリーグとは10年間で約2100億円プラス収益分配の契約(20年に2年契約を延長して12年2239億円)を結び、恩恵を受けた各チームは海外の一流選手獲得に動き、“DAZNマネー”なる言葉も生まれました。

莫大な投資は各競技の財政的な支えとなっています。

しかしビジネス的視点で見れば投資回収へのハードルは高いのが現状です。

今後は「お金を払ってスポーツ中継を見る習慣」がなかった日本のスポーツファンにどういったサービスを提供していくかが重要になってくるでしょう。

やはり、その中で最もユーザーの取り込みに力を入れているのがJリーグ中心とした国内サッカーです。

試合の中継以外にもコンテンツが増えてきています。

「Jリーグ関連のコンテンツは年々充実している。試合以外でも著名なOBを起用した企画番組などを多数制作している。(現在W杯アジア最終予選を戦う)日本代表戦もホーム、アウェーの全試合を放送する。逆に海外サッカーからの撤退、縮小が始まっており国内に軸足をシフトした」(サッカー関連スポーツライター)

値上げを納得させるには

元日本代表の内田篤人氏を起用した番組などはわかりやすいと評判。

またサッカー番組も「やべっちスタジアム」のように地上波の番組がDAZNへ移行、リニューアルして放送を継続したものも好評を得ています。

一方でUEFAチャンピオンズリーグの放映から撤退するなど海外サッカーのコンテンツは減少しているのです。

また今後は、サッカーと並ぶ人気スポーツである野球ファンの取り込みも重要となってくるが見通しは決して明るくはありません。

「NPBとの一括契約がうまく進まないことも苦戦している理由の一つです。巨人と契約した時には一気に進むと思いましたが地方球団と地元メディアとのパイプは太い。特に人気のある広島と契約できないのが大きい。Jリーグと同じように一括契約してレギュラーシーズンから日本シリーズまでの全試合を配信できないとうまみがない」(野球関連スポーツライター)

巨人とは19年に契約を結び20年からさらに5年契約を延長。

グループ内にテレビ局がある巨人との契約はNPB一括契約へ向けての布石と思われました。

しかし地元テレビ局と強固な関係を築く広島の本拠地戦は見ることができないのです。

「本来ならJリーグのようにNPBと一括契約したいはず。理想はその先、高校野球などアマチュア球界まで巻き込みたいのでしょうが現実的には厳しい。高校野球はNHKなども絡みますからね。野球界は長い歴史があるのでしがらみも多い。 Jリーグは創設以来、多くの部分でプロ野球を反面教師にして臨機応変に経営している。DAZNが野球界との交渉に苦労している理由もわかります」(サッカー関連スポーツライター)

「DAZNが正念場なのは間違いない。サッカーファンだけでは加入者数の限界が見えている。“国技”とも言える野球がカギを握る。年齢層が高く地上波観戦に慣れた野球ファンをどうやって取り込んでいくのか。値上げした金額に見合ったサービスを提供して納得させる必要がある。それができなければ最悪、将来的な撤退という選択肢もありえるのではないか」(大手広告代理店関係者)

すでに欠かせないコンテンツ

とはいって、日本スポーツ界にDAZNは浸透し始めています。

サービス開始当初は配信トラブルが起こることもあったのですが多額の放送権料が競技団体やチームを支え、スポーツファンにとって欠かせない存在になっているのも事実。

スポーツの中継はJ SPORTS、スカパー、WOWOWなども存在するが現状ではDAZNが一番手。

仮に国内市場からの撤退となると業界が大きな痛手を受けるのは間違いないでしょう。

「他社をやっつけて、独占状態に近くなったら値上げは、もう王道のやり方なのだろう」

「これがうまくいかなくて、撤退なんてことになったら、焼け野原だ」

タレントの伊集院光氏が1月21日に自身のTwitterで綴った思いは、スポーツ好きの誰もが共通して抱く感情かもしれません。

プロ野球のキャンプイン、サッカーW杯のアジア最終予選の試合を控える中、今後スポーツ中継の在り方がさらに議論されていくことになりそうです。

ネットの声

「順番が逆で、プロ野球なら広島のカープ戦獲りました日本シリーズまで全試合見れますであれば3000円は安いし値上げも受け入れられたはず。それなしで先に値上げしますコンテンツは分かりませんでは解約ラッシュよ。」

「野球に関して言えば3000円に値上げするなら全球団の一軍公式戦、オープン戦が全て見れるのはマスト。その上で二軍・三軍戦や独立リーグも全て見れるくらいやってほしい」

「野球は全試合やる訳ではない。何でか広島戦以外でも配信のない試合もあるし、社会人もない。なので3000円は高いと思う。他のスポーツに興味があるかで価値観は変わると思うのだが、個人的には解約しようと思う。スカパーに戻りますわ。」

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