300km/hオーバーは日常の風景!? アウトバーンでもっとも悪名高きドライバーのクルマとは
ブガッティ・シロンがアウトバーンで最高速度417km/hを出したニュースがにわかに話題となっています。
ドイツのみならず日本でも数多く報道されているので、ご存じの人も多いのではないでしょうか。
この速度は速度無制限区間で記録されたものではありますが、ドイツ国内では連日、この行為が違法かどうかの議論が続けられています。
無料で、かつ速度無制限区間が存在するドイツの高速道路、アウトバーン。
日本の高速道路とは大きく異なるので「実際はどのように走っているのか」というイメージがつかみにくい道路かもしれません。
アウトバーンでは実際にはどのくらいの速度で走っているのか、300km/hでカッ飛んでいくクルマはいるのか、各メーカーのドライバーの傾向はあるのか、などをご紹介します。
目次
実際には少ない「速度無制限区間」
アウトバーンでの全開走行……憧れている人は少なくないと思いますが、現実はなかなか厳しいかもしれません。
なぜなら、アウトバーンの代名詞ともいえる速度無制限区間は、距離でみるとそれほど多くないからです。
都市周辺部のアウトバーンは制限速度130km/hであることが多く、都市内部を走る路線では100km/h制限や、さらに遅い60~80km/h制限である場合も珍しくありません。
都市周辺を抜けて速度無制限区間に突入しても、次の障害がドライバーを阻みます。
昼夜問わず行われている大規模な道路工事です。
工事現場のそばを通過する区間は60km/h制限が行われている場合が多く、やる気になっていたドライバーたちの出鼻をくじくことになります。
また、ドイツは速度超過と車間距離についての取り締まり基準が非常に厳しいです。
制限速度を4km/h超過すれば写真撮影の対象となるので、例えば制限速度が130km/hから80km/hに変わる地点では、ほとんどのクルマがガツンとブレーキをかけて、急激に速度を落とします。
車間距離については「先行車との間隔を2秒以上取る」ことが求められ、少しでも詰めるとすぐに警察に取り締まられますから、車間を詰めて走るクルマの割合は日本よりも少ないですね。
★新しい記事をブログに投稿しました!★シロンで「自身のプライドをかけ」417km/hでアウトバーンを走った男が禁錮2年の判決を受け、その代償として数年間の自由を奪われる可能性。なおブガッティは「本件とは距離を置く」 pic.twitter.com/0Sklj320fD
— Life in the FAST LANE. (@intensive911) February 2, 2022
追突事故がとにかく多い
「でも速度無制限区間で、工事もしていなかったら、かなりのスピードを出すのでは?」という疑問を持たれた人、正解です。
速度無制限区間では、一番遅い走行車線でそのまま130~150km/hで巡航するドライバーも少なくないものの、200km/h前後で走行するクルマは珍しくありません。
なかには、300km/h以上出ているのでは?というクルマもときどき目にします。
特に気を付けなければならないのは、追い越し車線に出るときです。バックミラーに非常に小さくクルマが映っていたとしても、相手のクルマが300km/hで走行していた場合、こちらが車線変更を終える時にはすぐ後ろに迫るどころか、追突事故の恐れさえあります。
残念なことに、このような経緯で起こる追突事故は絶えず、頻繁に新聞やニュースサイトで取り上げられ、「速度無制限区間をなくそう」という声を大きくする要因となっています。
こうした点を踏まえて、実際にアウトバーンを走る際に気を付けなければならない点をまとめると
「制限速度が頻繁に変わるので、速度標識を常に確認」
「先行車との間隔は2秒以上」
「制限速度が低くなる場合、先行車が急ブレーキを踏む可能性あり」
「追い越し車線に出る際は、後ろから接近してくるクルマに細心の注意を払う」
といったところでしょうか。
アウトバーンでの運転はルールと注意点に縛られて、かなり「忙しい」のです。
トヨタ アベンシス(初代)
欧州トヨタを代表するUK生まれの車。欧州では2代目である。ややパワー不足感はあるがアウトバーンも想定された足回りはさすが。割高だったためか台数も少なく人と被りたくない人にもオススメ pic.twitter.com/iCbzqAtvVd— 好き勝手に車を語るアカウント (@talking_car) February 9, 2022
もっともマナーが悪いのはBMWのドライバー?
各メーカーのドライバーのアウトバーンでの振る舞いについて、厳密な意味では「こうだ!」と断定することはできません。
しかし、ADAC(ドイツ自動車連盟)の調査によれば、ある程度の傾向を見出すことができる、としています。
もっとも悪名高いのは、BMWのドライバーです。
調査対象者の51%が、BMWのドライバーが「最大の脅威」「マナーが悪く、もっとも車間距離を詰めてくる」と答えています。
次点は32%でメルセデス・ベンツ、3位は26%でアウディとなっています。
この3ブランドのスポーツモデル、つまりBMW Mシリーズ、AMG、アウディのSシリーズ・RSシリーズのドライバーは、3車線をまたいでいくような、特にやんちゃな運転が目立ちます。
アウトバーンであまり無理をせず走行しているのは、ドイツのブランドであればフォルクスワーゲン、オペル、スマートなどです。
ルノー、プジョー、シトロエンのフランス勢やボルボも、アウトバーンではあまり出しゃばりません。
別格扱いなのは、ポルシェ、ジャガー、アストンマーティン、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、マクラーレンといった高級スポーツカーブランドです。
走行マナーについてはドライバーそれぞれ、という印象なのですが、こうしたブランドを運転するドライバーが事故を起こした場合、車種名とともに報道されることが多く、良くも悪くも人々の注目を集める存在となっていると感じます。
日本車のドライバーは車間距離を守る?
最後にもうひとつ、面白いデータを紹介しましょう。
先述のADACがA8というアウトバーンの路線で車間距離の調査を行った際、5人に1人のドライバーが最低車間距離を守っていませんでした。
ところがデータを整理していくと、93パーセントが車間距離を守っているグループがあったのです。
それは、日本車を運転するドライバーたちでした。
日本車は価格が安く、信頼性があり、装備が充実している、ということはドイツでもよく知られているところですが、その真面目さがこうした「ドライバーのマナー」まで影響を与えていたとは、非常に興味深い点だと思いませんか?