「いま持ってるガソリン車に乗り続けるからいいや」が通用しない可能性……EV時代にエンジン派を襲う最悪のシナリオ
世界的なカーボンニュートラル宣言、CO2排出量の大幅削減を実現するためには、少なくとも乗用車はフル電動化が避けられない……というのが現状でのトレンドです。
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ガソリン車を所有できてもガソリンを買えなくなる!?
欧州を中心にハイブリッドを含むエンジン車の販売を禁止・休止するという動きも出てきています。
もちろん販売中止になったからといって、民主主義においては個人所有が禁じられるわけではなく、しばらくエンジン車が残るともいえます。
そのため一部では、「最後のエンジン車を手に入れておきたい」というユーザーもいるようです。
しかし、どんなに大事にしていてもエンジン車に乗り続けることは難しくなる未来も予想できます。
まず考えられるのは、ガソリンや軽油といった燃料の入手方法に対する不安です。
エンジン車を所有することは個人の権利として認められているとして、CO2排出について企業への制限があれば、石油メジャーといっても一般向けのガソリン・軽油販売をいつまで続けることができるとは限りません。
そもそもクルマの電動化が進み、ほとんどガソリン・軽油が売れなくなれば、現状のガソリンスタンド・インフラを維持するのは不可能になります。
レシプロエンジンの航空機や軍事向けにガソリン・軽油の供給は続く可能性は高いのですが、一般大衆が化石燃料を手に入れるのは非常に難しくなるでしょう。
つまり、エンジン車を大事に所有していても、走らせることが事実上できなくなるのです。
EUが「2035年までのガソリン車・ディーゼル車の発売禁止」を表明するなど、電気自動車を取り巻く状況は、近年大きく変化しています。
一方で、日本はEV車が身近に感じられるほどには至っていないのが現状。
充電インフラ設備の整備に関しては、地方部に空白地域・区間が残っていることが課題です。 pic.twitter.com/DJPzeXj8zu
— HATCH編集部 (@HATCH_JPN) July 12, 2022
供給品がなくなる不安
同時に、エンジンオイルも入手困難になると考えられる。エンジン車が減ってくれば、エンジンオイルがビジネスとして成立しなくなるのは自明であり、こちらも一般向けの販売は消えていくと考えるのが妥当です。
そのほか、スパークプラグやエアクリーナー、オイルエレメントといった消耗品についてもエンジン車の台数が減ってくれば、生産が止まる可能性は高い。
エンジンを維持するための部品はデッドストックに頼るという未来も見えてくるのです。
トランスミッションオイルについては、電動車両でも必要なので将来的にも入手可能かもしれません。
それでもエンジン車を走らせるというのは、よほどのコネか、莫大な資産がなければ難しいという時代になるというのが、現時点で考えられるシナリオだです。
ヨーロッパでEV車の受注が急増?
そんなん当たり前やろ?
好きで選んでる訳じゃない人も多いはず
なんなら2030年だっけ?
ガソリン車販売禁止を撤廃してみ?
たぶんガソリン車の方がまた売れ行き伸ばすはずだぜ?— 友衛 (@assaultwizard) July 15, 2022
エンジン車が未来にも残るためには
もっとも、カーボンニュートラルの手段は電動化だけではない。エンジン車が生き残るシナリオも考えられます。
トヨタが中心となって開発を進めている水素エンジンが実用化されれば、エンジンオイルやスパークプラグといった消耗品は引き続き入手しやすい環境が維持されるでしょう。
ガソリンエンジンを水素エンジンにコンバートするのは難しいと思いますが、そうした作業を請け負う業者も出てくるはずです。
ほかには、カーボンニュートラル燃料の実現というシナリオもあり得るでしょう。
光合成によって大気中のCO2をO2に変えて、炭素を固定化する藻などの植物から生み出されるカーボンニュートラル燃料(人工ガソリン)が一般化するようなことがあれば、現状のエンジン車がそのまま走り続ける未来がやってくるかもしれません。
実際、日本が2050年にカーボンニュートラルを実現するとして、その段階でエンジン車をゼロにするためには、遅くとも2035年にはエンジン車の販売を中止している必要がありますが、現状の電気自動車シェアを考えると、その実現は難しいでしょう。
日本経済が上向かず、古いエンジン車が残らざるを得ないとすれば、むしろカーボンニュートラル燃料の開発に尽力して、実質的なCO2排出量ゼロを目指すほうが、トータルでのコストが抑えられるとも考えられます。
はたして、政府や国民がそうした政策を選ぶかどうかという疑問もあるのですが、エンジン車が2050年になっても公道を走っていられる可能性はゼロではないといえそうです。
EV車をガソリン車と同じように運用するとなると、空調電力の改善のために全面を暖房材で包んで、フロントガラスは「真空断熱かつ割れやすい」という高難易度の素材を作って、ドア窓を2重スリットにして、かつ窓が凍結しない何かしらの工夫をして、と、考えることが多い。ハイブリッドは正しい進化。
— 裏技君 (@urawazakun) July 15, 2022
ネットの声
「原油からガソリンだけを作ることはできなくて、軽油や灯油、重油など全ての石油製品が生産される。
ガソリンの使用量だけ減らしても他の石油製品の使用量が減らないのだったら、これまでと同じ量の原油から石油製品が作られ続けることになる。そして、ガソリンが大量に余るだけになってしまう。
本当にカーボンニュートラルを進めるのだったらガソリンだけじゃなくて全ての石油製品の使用量を考えないと実現できないんじゃないだろうか。」「燃料や消耗品は消費量が減るから入手が困難になったり価格高騰になるが、しばらくは完全には無くならないでしょう。災害時の発電機にはガソリン・軽油も必要だし。小型ガソリン機器としてはチェーンソー、耕運機もある。
灯油は石油ストーブで必要だし。灯油があれば点火剤を入れて軽油モドキにすることも出来る。当然ながら軽油税の脱税になるが、軽油の消費が少ないなら軽油税が廃止になるかも知れない。農家のビニールハウスの暖房には灯油・重油は必要だし。小型漁船は軽油もあるかと思う。」「日本は絶対に電気自動車一本化なんか出来ない。欧米に比べたら大災害がしょっちゅう起きて原発を含めた発電所がすぐ止まるし、ウクライナにロシアが攻め込んだ件を見ても発電所はミサイル一発で止まっちゃうんだから、EVしかないなんて言うのは国防上もリスクが大きすぎる。ガソリンスタンドや水素スタンドなら燃料を分散して置いておけるし、ガソリンや軽油なら最悪電気が止まっても手回しポンプで給油が出来るし。
地球温暖化対策は国の実情に応じて用意されるべきなんで、欧米がEV一本化しようが関係なく、日本はこの先も当面は高効率化したレシプロエンジンと化石燃料か水素のハイブリッドメインで行けばいいと思う。」