白米悪玉説もあるけど痩せやすい食べ方もあるよ

「白米」の太りやすい食べ方、痩せやすい食べ方

古来より日本人は、米を主食としてきました。どんなに食が多様化しようとも、それは変わりません。

しかし、糖質制限ダイエットのブーム以来、“?せるためには糖質を多く含む白米は避けるべき”と思われています。

果たして、本当にそうなのでしょうか?

そもそも白米って? 意外と知らない白米のこと

日本人は、いつから白米を食べていたのでしょうか?

約3000年前の縄文時代に大陸から伝わった稲作が、本格的に米が主食となったのは弥生時代からといわれています。

さらに白米が食べられるようになったのは、そのずっとあとの奈良時代になってから。

しかし、白米(しらげのよね)を食べていたのは貴族のみで、庶民は黒米やアワ、ヒエなどを食べていました。

そして江戸時代になってようやく、庶民でも白米が食べられるようになりました。

ただし、それは江戸などの都市部限定で、農村部では玄米に近い分付き米に雑穀などを混ぜて食べていました。

その後、誰もが白米を口にできるようになったのは、明治になってからのことでした。

白米は、玄米から糠(ぬか)と胚芽(はいが)を取り除き、胚乳(はいにゅう)のみにしたお米のことで、この工程を精米といい、「精米」「精白米」「銀シャリ」とも呼ばれます。

銀シャリは、炊きあがったお米が銀色に輝いて見えるから、ツヤツヤで真っ白な様が仏様の尊い遺骨「仏舎利」に似ているからなど、その由来には諸説あります。

さて、スーパーのお米コーナーに行くと白米のほかにも、玄米や発芽玄米、胚芽米、雑穀米やもち米など、実にさまざまな種類のお米が売られています。

◎白米
「うるち米」とも呼ばれ、精米された米のこと

◎玄米
稲の実(籾)から籾殻だけを外し米ぬかや胚芽はそのまま残った状態のもの

◎発芽玄米
玄米をわずかに発芽させたもの。玄米特有のボソボソとした食感が軽減され食べやすい

◎胚芽米
玄米から糖層(ぬか層)を取り除き、胚芽部分が8割以上残るように精米した米のこと

◎雑穀米
白米に玄米・アワ・キビ・もち麦・キヌア・アマランサスなどを加えたもの。雑穀とは米、小麦、トウモロコシの主要穀類以外の穀類のことを指す

◎もち米
お餅やお赤飯、おこわなどに使われる米で、真っ白で不透明な丸みを帯びた形状が特徴

なお、お米には「新米」「古米」といった呼び名もあります。

新米とは、その年の秋(8~10月)に収穫され、年を超えるまで(12月31日)のお米のことをいいます。

年を超えた(1月1日以降)は、古米となります。

白米に含まれる栄養と働きとは

以下は、ごはんお茶碗1杯(150g)に含まれる栄養と働きです。

◎エネルギー(234kcal)
◎炭水化物(55.7g):体を動かすためのエネルギー源
◎たんぱく質(3.8g):筋肉や骨、血液などあらゆる体の材料
◎食物繊維(2.3g):便のカサを増し便の量を増やす、腸内環境を整える
◎脂質(0.5g):体のエネルギー源。ホルモンの材料や細胞膜を構成
◎マグネシウム(11mg):リンやカルシウムとともに骨を形成。体内のさまざまな代謝を助ける
◎カルシウム(5mg):丈夫な骨や歯を作る。筋肉が正常に収縮するのを保つ
◎亜鉛(0.9mg):体内の代謝に関わる。新しい細胞を作るのにも必須。細胞や味を感じる味蕾細胞形成を助け、各酵素を活性化させる
◎鉄(0.2mg):赤血球に含まれるヘモグロビンの材料。体の隅々まで酸素を運び二酸化炭素を回収する
◎ビタミンB1(0.03mg):糖質の代謝に欠かせない。疲れた体を元気にする

白米は実はダイエット食だった?

さて、ここで本題。白米はダイエット向きの食べ物なのか、否か? 以下は、各種主食の1食たりのエネルギー、炭水化物、たんぱく質、脂質の含有量です。注目は、精白米の脂質の低さ。

 1食あたりの目安量 エネルギー
(kcal)
炭水化物
(g)
たんぱく質(g) 脂質
(g)
ごはん1膳<精白米(めし)150g> 234 55.7 3.8 0.5
ごはん1膳<玄米(めし)150g)> 228 53.4 4.2 1.5
食パン1枚<(6枚切り)60g> 149 27.8 5.3 2.5
クロワッサン1個<40g> 162 20.6 2.6 8.2
パスタ1食<乾100g> 347 73.1 12.9 1.8

白米は主食の中でも脂質が少ないので、パンやパスタなどを選ぶなら白米を選んだほうが脂質を低く抑えることができます。

また、パンやパスタなどの「粉食」よりも、「粒食」の白米は比較的ゆっくり消化されるので腹持ちがよいとのこと。

満腹感が持続し、間食が減るのでダイエットに向いているといえそうです。

白米として摂取するなら炊き立てのホカホカごはんよりも冷めしや、おにぎりのほうがダイエットには向いています。

その理由は、冷めたごはんに多く含まれるレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)にあります。

通常、でんぷんは小腸で消化されるが、レジスタントスターチはあまり消化されることなく大腸まで届き、食物繊維と同様の働きをします。

「痩せ成分」「ハイパー食物繊維」とも呼ばれ、近年、そのダイエット効果が注目される成分です。

◎腸内環境を整える:便のカサを増し、便通をよくする。腸内細菌のエサになり有用菌の増殖を促す
◎血糖値の上昇をゆるやかにする:脂肪の合成を抑える
◎脂肪の蓄積を抑える:余分な脂質を吸着して排泄する

一般に常温で1時間程度冷ますとよいとされ、おにぎりにしたり、お弁当のごはんを温めずに食べれば、白米はダイエット向きといえます。

さらに白米には、太りやすい食べ方と?せやすい食べ方があります。

《太りやすい食べ方》

◎空腹時に大量に食べる

白米の過剰な摂取や空腹状態での摂取は血糖値を急激に上昇させやすく、必要以上に摂取された糖質は中性脂肪として蓄積し体脂肪が増加します

◎夜遅い時間帯に揚げ物など脂質が多い食べ物と一緒に食べる

糖質とともに摂取した脂質は、エネルギーとして使う予定がなければダイレクトに中性脂肪として蓄えられやすくなります。

とくに夜は同じ食事内容でも血糖値が上昇しやすいため、夕飯で白米と揚げ物などの脂質が多い食事をとると太りやすいです

《痩せやすい食べ方》

◎食物繊維とともに摂取する

不溶性食物繊維(野菜、大豆、きのこなど)や水溶性食物繊維(海藻、納豆、なめこ、おくら、モロヘイヤなど)

◎玄米や雑穀、麦と混ぜて食べる

白米と玄米を半分ずつ混ぜて炊いたり、白米と雑穀米、もち麦や押し麦を混ぜて食べることで食物繊維やビタミン・ミネラルなどをプラスαすることができます。

◎主菜(肉や魚などたんぱく質を多く含むもの)や副菜(野菜や海藻、きのこなど食物繊維を多く含むもの)と一緒に摂取します

血糖値の上昇がゆるやかになります。

白米は1日どれくらいまで?

《ダイエット中の白米の1日あたりの適正量》

(35歳男性/85㎏/筋トレを行ってダイエットを行う場合)

  • 炭水化物の必要量=332g(目安)
  • 白米(めし)100gに含まれる炭水化物の量=37.1g
  • 白米(めし)1膳150gに含まれる炭水化物の量=55.7g
  • 白米(めし)1膳180gに含まれる炭水化物の量=66.8g

※1日あたりの適正量は、1膳150gなら約4杯/1膳180gなら約3.5杯(主食以外からとる炭水化物量を除いて計算)

《1日に必要な炭水化物量の計算方法》

上記条件の男性を想定し、1日のエネルギー量を2300kcalに設定した場合

①たんぱく質の必要量を設定 128g(体重1kgあたり1.5g)(128g×4kcal=512kcal)
②脂質の必要量を設定 2300×20%=460kcal
③炭水化物の必要量=2,300kcal(1日必要エネルギー量)-512kcal(たんぱく質)-460kcal(脂質)=1328kcal

※1,328kcal/4kcal=332gが炭水化物の目安量となる

トレーニー&ランナーにおすすめの白米の食べ方

白米は消化吸収がよく、胃腸に負担がかからずにエネルギー補給できる点がメリット。

運動をする人は上手に活用したいところです。

とくに食後1時間程度で運動する際や運動前のエネルギー補給、またハードなトレーニング後など胃腸が疲れていたり、しっかりリカバリーしたいときにおすすめです。

ただし、食後2時間以内に運動の予定がないときは、トレーニーやランナーも白米よりも食物繊維を多くとれる玄米や分つき米、発芽玄米、雑穀米、麦ごはんなどを主食としたほうが腸内環境を整えたり、不足しがちなビタミン・ミネラルを補うことができます。

◎運動(トレーニング)の1時間~2時間前には
梅おにぎり、塩おにぎりがおすすめ。胃腸の負担にならずすばやくエネルギー補給ができます

◎ハードなトレーニング後のすばやいリカバリーには
白米(糖質)+たんぱく質(肉や魚、たまご、大豆・大豆食品など)

鮮度が命?! 白米の保存法とごはんの正しい冷凍法

お米は、冷暗所(日の当たらない温度の低い場所)で保存するとよく、冷蔵庫の野菜室がおすすめです。

冷蔵庫で冷えたお米を研ぐことでお米の汚れだけが取れ、研ぎのダメージが軽減されるというメリットがあります。

また、保存の際は酸化を防ぐため密閉容器で保存します。

お米には実は賞味期限の記載がありません。その代わり、精米日の表示は義務付けられています。

お米は野菜と同様に農産物にあたるため、肉や魚、そのほかの加工食品にあるような賞味期限の記載はありません。

しかし、精米後のお米は日々劣化が進むので、1か月程度で食べきるのがよいでしょう。

なお、炊く前のお米は冷凍保存してはいけません。

お米には約15%の水分が含まれており、冷凍すると水分が凍ってお米がひび割れてしまうため。

一方で、炊いたあとのお米はできるだけ早く冷凍をします。

冷凍をするときはラップでふんわり包み、解凍するときは電子レンジで温めます。冷凍ごはんは、3週間程度はおいしく食べられます。

ごはんの冷凍には、ラップやタッパーなどで保存しますが、タッパーを使う場合は1膳ずつ保存できる専用の保存容器を使用するとよいでしょう。

ラップに包んでからジッパー付き保存袋を併用すれば、空気に触れるのを防げるのでさらに日持ちさせられます。

また、ラップに包んでからアルミホイルに包めば、冷凍時間が短縮されるためよりおいしく冷凍することができます。

ちなみに、自然解凍はNG。

お米に含まれるでんぷんは加熱しないと柔らかくならないため、固くパサパサな食感になってしまいます。

白米は、実はダイエット向きの食べ物だったのですね。ポイントをおさえて上手に活用して、無理なく健康的にダイエットしましょう!

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