名セリフ、至芸、感動のラスト…「ライムライト」が映画人生の集大成
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殺人狂時代で痛烈なメッセージ
「殺人狂時代」(1947年)はチャップリンがトレードマークのちょびひげの扮装を脱ぎ捨てて、新境地をひらいた異色作。
不況で銀行をクビになったヴェルドゥは、金持ち女性を次々と誘惑して命と財産を奪って生活をしていきます。
やがて、恐るべき犯罪が露呈した時、彼は法廷で「1人殺せば犯罪で、100万人殺せば英雄だ」と言葉を残して断頭台に向かうのでした。
戦争による大量殺人を告発したブラック・コメディーは戦勝に涌く当時のアメリカでは猛烈なバッシングを受けましたが、そのメッセージはウクライナ戦争の恐怖が世界を覆う今こそ痛烈に響きます。
有楽町の角川シネマでチャップリン映画祭。
「はいはいチャップリンねー」などと思っていると大変なことになります。
映画館で絶対見るべき『独裁者』そして『殺人狂時代』。
人類の宝のような作品。 pic.twitter.com/ySfVtDbdH5— クラリスブックス (@clarisbooks) November 1, 2022
名セリフが続くチャップリン映画の集大成
「ライムライト」(52年)は代表作の一つ。
落ちぶれた老芸人カルヴェロは自殺を図ったバレリーナのテリーを助けます。
彼の励ましで再び舞台で踊れるようになったテリーは2人の幸せな未来を夢見ますが、カルヴェロは人生の舞台から退場しようとしていました…。
彼の原点であるロンドンの大衆演劇を舞台に無償の愛を描いた名作。
「人生に必要なのは、勇気と想像力…そして少しのお金」
「時は偉大な作家だ。必ず完璧な結末を描く」
名セリフの数々に舞台シーンで見せる至芸、そして誰もが涙する感動のラストシーンまで、まさに映画人生の集大成。
「テリーのテーマ」などチャップリン作曲の映画音楽は、アカデミー賞作曲賞を受賞しました。
『ライムライト』観てきたよ。音楽が素晴らし?この時代の映画音楽ってなんでこんなに胸を打つんだろう。そしてチャップリンの瞳はなんでこんなに人生の悲哀を感じるんだろう。カルヴェロは幸せだっただろうか… pic.twitter.com/toxnlD3U9J
— シャラ (@marinehydrangea) November 4, 2022
「不自由な国アメリカ」を表現
「ライムライト」を最後にその平和思想のためにアメリカを追われ、スイスに居を移します。
ヨーロッパで作った最後の主演作「ニューヨークの王様」(57年)は革命を逃れて「自由の国」アメリカに亡命した国王の物語。
国王は、出席したパーティーの様子が隠しカメラでテレビ放送され、CMタレントとして人気者になってしまいます(今でいうメディアの「炎上」をいち早く描いた斬新な作品)。
しかし次第に冷戦時代のヒステリーに巻き込まれていくことに。
本作は「不自由の国」アメリカヘの抱腹絶倒のしっぺ返しとなりました。
大御所の地位に安住することなく、67歳にして軽やかにギャグを繰り出したのです。
『ライムライト』:カルヴェロ(チャールズ・チャップリン)
「人生で必要なものは勇気と想像力…そして少しばかりのお金。」
チャップリンの映画は考えさせられるセルフばかりですね~。— 久坂@相互フォロー (@kusaka1208) November 5, 2022
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