これからのクルマはドアミラーからミラーレスの時代に

ドアミラーが無い?!ミラーレス車とはどんなクルマなの?

クルマ業界では少しずつその名が聞かれるようになったミラーレス車ですが、まだまだ認知度が高いとはいえません。

しかし安全面でのメリットが大きいこともあり、ホンダ eをはじめ様々なモデルに採用され始めており、今後普及していく可能性は十分にあります。

ミラーレス車とは?その仕組みは?

ミラーレス車とはどんなクルマなの?
ミラーレス車は、文字通り「鏡のないクルマ」を意味します。

具体的にはサイドミラーを廃した代わりにカメラを設置し、車内のディスプレイを通じ車両の後方を確認するというもので、サイドミラーがないためミラー「レス」と呼んでいます。

物理的なミラーをなくしたという外観上の違いはあるものの、仕組み自体は以前から幅広く使用されているバックモニターや映像で後方を映し出すルームミラーと似ているともいえるでしょう。

ミラーレス車が日本国内に導入されたきっかけは、2016年に改正された道路運送車両の保安基準です。

バックミラーに代わり後方視界を確認する「カメラモニタリングシステム(CMS)」として、国際基準に適合したミラーレス車の生産がこの改正で可能になりました。

新しい保安基準ではディスプレイに映る映像の範囲や画質・倍率などが細かく定められており、映像化によって死角を減らし、視認性の向上など安全性を高めることが可能になっているのです。

国産の量産車としては2018年にレクサスESで搭載されたばかりで、今のところミラーレスが採用される車種はまだ少ないですが、今後搭載車種が増えることも予想されます。

ミラーレス車のメリット・デメリットは?

従来のドアミラーに代わり、カメラやモニターを採用するというのがミラーレス車ですが、それを採用することによるメリットやデメリットを紹介します。

まず最初にあげられるメリットとしては、これまで大きなドアミラーを必要としていたのが小さなカメラに置き換わるため、ドアミラー付近の死角がなくなるという点です。

視認性のメリットは、ほかにもあります。

ウィンカーを使う際やバックをする場合などに両角を広げ死角を減らせるというのは、カメラを使うミラーレス車ならではのメリットといえるでしょう。

また、ドアミラーの場合は窓の外に視線を向けなければなりませんが、ミラーレス車では車内のモニターで情報を確認するため視線の移動量が少なくて済むなど、運転時の負担軽減もあるのです。

その他にも、小型化により風切音が低減するため、車内の静粛性が高まり快適に運転することが可能な点も魅力といえます。

いいことずくめに思えるミラーレス車ですが、もちろんデメリットもあります。

ミラーレス車ではカメラの情報をディスプレイに映し出すことになりますが、距離感やサイズ感などが純粋なミラーとは違うこともあり、違和感を解消するまでには慣れが必要です。

視界の感覚をきちんと掴めないとかえって危険になることも十分あり得るため、目が慣れるまで、広い駐車スペースなどで何度も視界を確認しましょう。

さらに、カメラが故障した際の対応もミラーレス車のデメリットとして挙げられます。

鏡であれば手持ちのもので急場をしのぐという方法も取れますが、機械であるカメラが壊れてしまえば現時点ではお手上げ。

エンジンやイグニッションスイッチを停止したとき、カメラを作動させることができるのかという不安も残ります。

ミラーレス車はまだまだこれからの技術であるという特徴があるので、使ってみないとわからないデメリットが他にも発生するかもしれません。

自動車メーカーで多くのテストを重ね、デメリットに対策を打った状態で市場に送り出してほしいところです。

ミラーレス車から見た今後のクルマ開発の展望

ドアミラーの代わりにカメラが後方視界を確保するというのがミラーレス車最大の特徴ですが、電子的に画像を扱うという点は今後の自動車開発にも影響を与えそうです。

近年自動運転のクルマ開発に関する報道が増え、2021年現在ホンダがレベル3の自動運転車を販売開始しています。

センサーが他のクルマや歩行者を感知する自動運転・予防安全機能のシステムとミラーレス車のCMSは相性が良く、今後の自動運転には欠かせない組み合わせになることが予想されます。

また、CMSの開発は海外の自動車部品メーカーや大手電子機器メーカーなどでも進んでおり、互いが切磋琢磨することで今後も技術の進歩が期待されているのです。

ミラーレス車とはどんなクルマなの?
新しい時代の自動車用語として、ミラーレス車の紹介をしてきました。

保安基準の改正により登場した歴史の浅い自動車技術ですが、画像をデジタル処理するということから、運転サポートや自動運転など幅広い場面での活躍が期待されます。

より自然な視界の確保をはじめ課題も多いですが、開発が進めばより多くの車種で採用されるようになるかもしれません。

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