私が長年携わってきた看護の仕事では、患者さんを担当する際に、生活歴(その人が生きてきた足取り)を聞いてから、
看護の計画を立てて、看護を行います。生活歴を調査する際には、患者さんの言うことを同じ目線で傾聴し、
共感しながら人間関係を築き、看護を行います。
生活歴を知ることは、病気を患っても、その人らしく生きられるように、
病気から回復して本来のその人らしい生活に戻れるように支援するために大切なのです。
認知症ケアについて学べば、学ぶほど、そんな看護の基本がいかに大事かを思い知らされます。
英国の認知症ケアの第一人者トム・キットウッドは「パーソンセンタードケア」を提唱し、
業務中心のケアではなく、人を中心とするケアの重要性を説きました。
画一的な支援ではなく、認知症の人の価値を認め、その人の視点に立って、その人らしさを尊重することが大切であると主張したのです。
この考えは世界の医療・福祉現場に大きな影響を与えました。
どのような人にもその人らしさを尊重する支援は必要ですが、認知症の人にはとりわけそれが求められます。
認知症になると、「自分らしさ」がどういうものだったか思い出せないことがあります。
例え「自分らしさ」がわかっていたとしても、認知症の人は自らを、自分らしく生きることができる環境にもっていくことが難しいのです。
したがって、周りの人は本人が住みやすい環境を察し、整えてあげて、その人らしい生活ができるように支援することが重要なのです。
高齢者や認知症の人に対して「その人らしく生きる」ための支援を行うことは重要ですが、もうひとつ重要な概念があります。
発達心理学者のエリクソンは老年期の発達課題を「自我の統合」であると説いています
「子ども相手の仕事をしながら母親の見守り介護中です。1日だけでも自分の時間が欲しいと思う毎日ですが…この本と出会い、我が家の介護とは全く違う部分が多いけれども、介護もそれぞれ違って当然!その人らしく生きるためのお手伝いができていればいいんだ!と思えるようになりました。具体的な介護例はとても頭に入りやすく、また専門的な知識もしっかり含まれていて、堅苦しくなくスッと読める温かみのある本だと思います。介護に携わっておられる方もこれから介護が必要になられる方も読んでおいて損のない素敵な介護本です!」
「ストーリーが認知症の現実的な内容でいて、楽しく読める作品!また専門書としての内容も盛りだくさんです。前作の『認知症ラプソディ』か初級編なら、この作品はより掘り下げた内容になっています。」
「私自身が現場でどのように高齢者の方と関わっているのか??について再確認することができ、この本を読んでとてもわたしがコミュニケーションの部分や介護知識と技術向上に繋げていける本であると感じました!」
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