登山で頂上まで行く? 途中で降りられる?
「『あきらめる』って言葉、古語ではいい意味だったんですってね。『明らかにする』が語源らしいんです」
近所の川沿いを散歩するのが日課の早乙女雄大。
入院中の愛する人との残り少ない日々の過ごし方や、
ある告白をきっかけに家を出てしまった家族のこと、
あれこれと思い悩みながら歩いていると、親子風の二人組に出会う。
親に見える人は何やら思い詰めた表情で「自分の人生をあきらめたい」と言う…。
もしかしたら、世の中のひとたちは、ほとんどみんな、やさしいのか?
火星の山を、登るか、おりるか。
古語では「明らかにする」って前向きな意味だったらしい。
デビュー20周年記念 ゆるSF長編、発売です。発売前 重版かかりました!#あきらめる pic.twitter.com/W1Xl63OsVm
— 山崎ナオコーラ nao-cola(they/them) 小説家・エッセイスト (@naocolayamazaki) March 15, 2024
ふとしたきっかけで生まれた縁だったが、
やがて雄大は彼らと火星に移住し、「オリンポス山」に登ることを決意する…!?
「あきらめる」ことで自らを「あきらかにしていく」――
火星移住が身近になった、今よりほんの少し先のミライが舞台の新感覚ゆるSF小説。
山崎ナオコーラさん最新刊『あきらめる』。ご本人による手作りのPOPをいただきました!
カワセミが舞う表紙がとてもかわいらしい本書。手触りにも凝った装丁ですので、ぜひお手に取ってみてください。#あきらめる pic.twitter.com/FR5QsFSHWQ— くまざわ書店IY武蔵小金井店 (@kbc_musako) March 15, 2024
山崎ナオコーラさんデビュー20周年に刊行される本作のテーマは「あきらめる」。
現代では一見ネガティブな響きのある言葉ですが、あきらめることで自分の輪郭が見えて、きれいなばかりではない本音や進みたい方向、ありたい姿、自分の限界が「あきらかになっていく」物語です。
何かの頂点に立つことや他者からの評価などをあきらめたときに、登場人物たちに起きる変化は、読者の皆様にもぜひ追体験していただきたいです。
読後に清々しい風が胸に吹き込んでくる長編小説です。
ぜひお楽しみください。
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