さっきまでは薔薇だったぼく 最果タヒ (著) 小学館 (2022/4/13) 1,320円

斬新な日本語が心に沁みる感動的な最新詩集

それぞれの詩のタイトルが、すでに「詩」になっているようだ。

「冬の薔薇」「指」「惑星」「生理詩」「猫戦争」「才能」「飛ぶ教室」「ぼくたちの屍」「無人駅」「春の薔薇」など全43篇収録。

以下、少しだけご紹介――

《恋が恋だという確証はどこにもないまま/死体になっても手を繋いでいたらその愛は本当って信じている人のため/死体の手を結びつける仕事をしている 本当の死神の仕事》――(「恋は無駄死に」から一部引用)
《「春の、川の上に、光を凍らせて、削ってできた粒を撒いていく仕事をしています、/あなたたちがきれいだと言うのは私が嘘をついているから。》――(「me & you」から一部引用)

最後に、「激流」という短い詩を全篇。

《死を逃れ逃れ、命を、泳ぎ切って残るは/無数の誰かの手の跡ではなく無数の桜のはなびらで//一度も好きでなかった花に囲まれて死ぬ/一度も好きでなかった花に囲まれて死ぬ//「故人は優しい人でした」/私の好きな色は白でも黒でもない/でも冬は好きでした/誰も話を聞いていない/私だけが知っている桜の木々よ さようなら》――(「激流」)

詩という言葉の連なりが、言葉にできない部分まで伝わる、いや、確かに私たちに届く。


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事