沖縄戦で日本陸海軍機の特攻の損害を最も受けたのは空母・戦艦ではなく、沖縄本島周辺の21か所の海域に配置された駆逐艦や各種小型艦艇などのレーダー・ピケット艦艇だった。
配置された206隻のうち29パーセントが沈没・損傷し、戦死者1348人、負傷者1586人の甚大な被害を出した。
本書は、これまで明らかにされることのなかった出撃後の日本軍機の行動と、その最期を米軍の戦闘日誌、戦闘報告などに基づき克明に再現したものである。
知られざる特攻作戦の実像を明かす貴重な記録!
「米軍から見た沖縄特攻作戦」読了。乾先生から当時の日米双方の対空戦闘の様相について勉強していたことが読む際に非常に役に立ちました。合わせて普段から乾先生が仰っていたことの正しさというのも再認識
— ガ島戦研究会 (@guadalcanal37) August 31, 2021
「特攻作戦の是非はいったん脇に置くとして、本書を読むことで神風特攻作戦が自暴自棄に駆られた自殺行為ではなかったことが理解できるでしょう。
個人的意見ですが、戦後のわが国の戦史研究や戦史著書は「失敗か、成功か」のどちらかの大前提で、しかも、「失敗の原因」を追及することばかりに集中している気がします。
1939年5月のノモンハン事件も失敗の事例として取り扱われることが多々あります(ソ連の大戦車軍団の前に日本陸軍は大打撃を受けたというのが定説)。しかし、最近になった公開されたソ連の情報資料によれば、日本は少ない戦力でありながら、対戦車戦闘ではソ連よりも優勢であったとの説もあります。
商売主義に多分な影響を受けた今日の多くの日本著書とは異なり、外国著書には浩瀚かつ本格的な研究書が多くあり、これらから多くの知見を得ることができます。こうした外国著書が広く頒布されていることは、多くの読者が著書の真面目(しんめんぼく)な研究を支持している証左です。そこに国家としての力量を感じずにはおれません。本書も米国の力量を強く感じさてくれます。」「本著を見ると、米海軍がレーダーと連携した防空戦闘機を多数準備していた状況が詳細にうかがえます。その分析、洞察、そして周到な準備状況を踏まえるならば、はたして「航空主兵主義」への切り替えの遅れが〝失敗の本質〟でしょうか。
他方、米軍に対して、創意工夫と高い操縦技術を駆使し、精神力を発揚して戦った日本軍の非凡な点も、敗戦という事実や戦略構想の不在などの大枠に埋没的に処理せず、別途に評価すべき点があると考えます。本書を読みながらそんなことを感じました。
優れた外国文献である本書をじっくりと読まれることを推奨します。」「特攻隊隊員は帰還していないので、実際にどのような空中戦闘が行われたのかは日本側資料では知る由もありません。よって歴史検証が甘くなり、今日では特攻作戦に関して多くの誤認識があります。それを改める意味でも本書の価値があります。」
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