ブルースRed 桜木紫乃(著) 文藝春秋 (2021/9/24) 1,650円

死に場所を求め、生きる女が、裏切りの果てに辿り着いた終焉の地とは。

ブルースに続く、『新たなダークヒロイン』の誕生。

釧路の街を、裏社会から牛耳る影山莉菜。

亡父・博人の血をひく青年を後継者として育て、官僚から代議士への道を歩ませようとしていた。

「男と違って、女のワルには、できないことがない」

亡き父の言葉を胸に、重い十字架を背負った女が、幾度もの裏切りの果てに――。

『ホテルローヤル』『家族じまい』を経てデビュー20年目の桜木 紫乃が放つ最高傑作!

「桜木紫乃作品らしい孤独な影を持つ女性でありながら、悪人であるという設定で中盤までは先の展開にワクワクする。ただ裏社会を仕切っている一族の衰退に合わせて、地方都市が衰退していくという設定は首をかしげるし、たかが1人の女性が地方都市から旅立つだけで大げさな展開になるのは違和感残る。全体的には桜木紫乃ワールドであり著者の作品の良さは残り、また男の悪人と女の悪人の違いが出てはいるけど、珍しく後半の構成がしっくりこない。途中までは面白かっただけに消化不良。」

「何の関連もありませんが翻訳ミステリ「紅いオレンジ」読了後に「ブルースRed」(桜木 紫乃 文藝春秋)を読み終えました。色彩が移ろう。 舞台は、道東、釧路。作者にとっては、自家薬籠中の場所。10の短編により構成された連作短編集として読むこともできます。主人公・莉菜の男・ヒロトに囚われた女の生涯と言ってしまっては、ちょっと異なりますね。この国のローカルを生きた女フィクサーの変転を描いた物語と言っていいのか?私如きでは、上手く表現できな女の姿がここにはあります。「男」を継承すべき男を守り抜くために静かに戦う莉菜の生涯には、「ブルース」を背負った男女がそれぞれ深い個性を持たされて描かれています。ボディガード・弥伊知、その妹・支靜加、松浦酒店の女将とその息子・武博。
スリラーではありませんが、闇の中、カウンターに突っ伏して聞くジャズのようなスリリングな文章に彩られた世界のストーリーを語ってしまってはいけないのでしょう。私もまた、この国ローカルの、今では寂れてしまった繁華街の中で育った人間ですので、多くの”ワル”たちが行きかう夜の薄墨色に未だに魅了され続けています。
1、ゼロの判断の果てに真実を見極めようとするこの世界の中、出生も、性別も、キャリアも超えたところで垣間見せる莉菜の”シェイズ・オブ・グレイ”に魅せられる物語。」


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