鳥獣戯画の世界 上野憲示 (監修) 宝島社 (2021/3/10)

日本美術史上、もっとも有名な作品のひとつ、国宝「鳥獣戯画」。

いつ、誰が、なんのために制作したのか? そして、なぜ今日のようなかたちで現代に伝わっているのか。

約100年ぶりに行われた<平成の大修理>によって判明した、驚愕の新事実とは。

本書では、まるでミステリーの謎解きをするかのように、「鳥獣戯画」の真実を徹底“推理”するとともに、オールカラーで絵巻物の図像もふんだんに掲載。

国宝絵巻の謎に迫る、「読む鳥獣戯画」新書

【目次】
『鳥獣戯画』現存甲巻全図

序章 謎が謎を呼ぶ国宝絵巻

第1章 『鳥獣戯画』の謎
『鳥獣戯画』とは何か――?国宝絵巻全4巻を観る
『鳥獣戯画』5つの謎――謎に包まれた国宝絵巻

第2章 『鳥獣戯画』の時代
『鳥獣戯画』成立の背景――絵巻物の黄金時代を追う
白描画と戯画の歴史――密教絵画と『鳥獣戯画』
『鳥獣戯画』と高山寺――『鳥獣戯画』の制作年代を追う

第3章『鳥獣戯画』の作者を追え!
絵巻物の制作者たち――宮廷絵師と絵仏師
宮廷絵師説の検証――『年中行事絵巻』と『鳥獣戯画』
絵仏師説の検証――作者は鳥羽僧正覚猷か?

第4章『鳥獣戯画』の動物たち
『鳥獣戯画』にストーリーはあるのか――描かれた動物たちの意味
日本の古典から読み解く――説話で読む『鳥獣戯画』

第5章 『鳥獣戯画』の真実
断簡と模本の存在――『鳥獣戯画』の失われた絵とは!?
『鳥獣戯画』甲巻は2巻あった!?――上野復原論からわかる真実 平成の大修理が解明した謎――料紙が語る『鳥獣戯画』の真実

終章 解明された謎

「鳥獣戯画についての一般向けの本の新しい本はすでに数冊出ている上に、今月数冊出版されることになっていて、なかなかの賑わいである。
その中で、本書は新書版という形態で、携帯に便利な上に、値段も上記の本の中では、一応最安のようである。さらにカラー版である。
中身は、類書同様に、鳥獣戯画の謎が追究検討されている。
すなわち、①いつ描かれたのか。②誰が描いたのか、③何のために描いたのか、④何が描かれているのか(ストーリーはあるのか)、⑤断簡・模本は何を意味しているのか、である。
追究検討は本格的で、かつ簡潔に、分かりやすく書かれている。または、比較のために、同時代の絵がカラーで掲載されており、ビジュアル的にも、論理を辿るにも、面白い本である。
ただ、残念なことに、本書のカラーグラビアの頁には、甲巻全図といくつかの拡大図が載っているだけである。乙丙丁巻についてはカラーグラビアには載っていない。乙丙丁の部分図のいくつかは、本文に載っているが、全図については、本書のどこにもない。
この点については、『決定版 鳥獣戯画のすべて』で詳しく紹介したため、併せて参考に・・と書かれている。(35頁)
また、5章では、上野復原論によって再構成された2巻の甲巻の話が出てくるが、こちらも、全体図を本書で触れるのは難しく、『決定版 鳥獣戯画のすべて』で再現を試みたと書かれている。(190頁)
うーん、そういうことですか。」


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