コロナ後の世界 大野和基(編集) 文藝春秋 (2020/7/20)

新型コロナウイルスが国境を越えて感染を拡大させる中、現代最高峰の知性6人に緊急インタビューを行い、世界と日本の行く末について問いました。

このパンデミックは人類の歴史にどんな影響を及ぼすのか?

これから我々はどんな未来に立ち向かうのか?

世界史的・文明論的な観点から、冷静かつ大胆に2020年代を予測します。

[主な内容]
・ジャレド・ダイアモンド「21世紀は中国の時代にはならない」
(カリフォルニア大学ロサンゼルス校地理学教授。著書『銃・病原菌・鉄』)

・マックス・テグマーク「AIで人類はもっとレジリエントになれる」
(マサチューセッツ工科大学教授。著書『LIFE3.0 人工知能時代に人間であるということ』)

・リンダ・グラットン「ロックダウンが日本人の新しい働き方を生んだ」
(ロンドン・ビジネススクール教授。著書『ライフシフト 100年時代の人生戦略』)

・スティーブン・ピンカー「人間の認知バイアスが感染症対策を遅らせてしまった」
(ハーバード大学心理学教授。著書『21世紀の啓蒙 理性、科学、ヒューマニズム、進歩』)

・スコット・ギャロウェイ「パンデミックでGAFAはますます強大になっていく」
(ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。著書『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』)

・ポール・クルーグマン「経済は人工的な昏睡状態。景気回復はスウッシュ型になる」
(ノーベル経済学賞受賞者。著書『格差はつくられた 保守派がアメリカを支配し続けるための呆れた戦略』)

「①各界の著名な知識人が様々な視点から新型コロナウィルス感染症について論じる。大変面白く、参考になる論考である。
②冒頭のジャレド・ダイヤモンド氏の指摘はコロナ問題の本質を突くものである。武漢にある野生動物市場が発生場所であり、新型コロナウィルスはコウモリ→ハクビシン→人間へと感染したという事実を確認する。*「ウィルスは人類の中で自然に発生するものではない」と述べる。哺乳類が持っているウィルスは、変異して他の哺乳類、特に人間に感染するのである。
③武漢ウィルス研究所で新型コロナウィルスに感染したコウモリ等の野生動物が市場に持ち込まれた可能性が高い。このウィルス発生の起源について世界保健機関(WHO)が究明する責務があったのではないか?中国の感染症対策を評価する前に真相究明が先決であった。中国政府は事実を隠蔽するので、国際組織の介入が必要なのである。
④台湾・ドイツの感染症対策は評価されてしかるべきであるが、中国のそれは評価すべきではない。個人情報の徹底利用による検索システムは人権侵害につながる。
日本のロックアウトをしないでの経済活動自粛・外出規制は、時間を要するが、民主国家では有効な対策であった。アメリカ同様、コロナウィルスを同定し、初動対応に遅れたことは反省すべきである。
⑤感染源と感染経路を突き止め、ウィルスの特性を知ることが肝要である。
他の論者も参考になる論点が満載だ。
お勧めの一冊だ。」

「それぞれ世界的に有名で、私も好きな方々のインタビュー記事ですが。
あまりにも急ぎすぎた、週刊誌の記事のようで深みがない本でした。
それぞれの方々が今後書かれる本に期待します。」

「各著者の専門分野に係る記載は参考になりましたが、そこからの社会分析、結論に至る議論展開が、ステレオタイプの日本批判、日本論を、それ以上調べることもなく素直に真に受けた展開となっていて、社会分析や結論は浅薄に感じました。日本社会は、各著者の専門分野外であり、海外居住であること、英語での報道、仄聞に頼らざるを得なかったのだとは思いますが、無理に日本社会分析や結論に繋げなくても良かったのではないかと思います。」


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