ヨーロッパ戦争史 石原莞爾 (著) 毎日ワンズ (2022/6/28) 1,100円

「陸軍の知謀」「アジアのロレンス」……などと評された伝説的軍人の壮大なる戦史研究!

フリードリヒ、ナポレオンからヒトラーの電撃戦まで、厖大な西洋戦史文献を渉猟しながら軍事を科学的に考察、人類の未来をも予言した戦争論!

【主な内容】
第一部「ナポレオン戦争」――青二才の軍司令官/英本土上陸計画/三帝会戦とロシア遠征/奇想天外な作戦
第二部「最終戦争論」――持久戦の名手、フリードリヒ/第一次大戦と第二次大戦/人類最後の決戦、日米戦争/仏教の予言
第三部「戦争史大観」――ヨーロッパ列強戦史/独仏会戦史/ヒトラーの電撃戦/ロイテン会戦とリーニー会戦/鎌倉の幽霊/原子力が決戦を制す……

石原莞爾を語るには二つの面からの考察が必要となってくる。軍人・兵法家としての一面と、宗教家としての一面である。ただし彼の内面においてはこの両者は別個の存在ではなく、渾然一体として調和しあった、一つの統合体の観をなしている。陸軍大学教官をしていた大正十一年、ドイツ留学を命ぜられ、第一次大戦の戦火冷めやらぬ敗戦ドイツに二年間滞在し、フリードリヒ大王とナポレオンの研究に没頭した。彼の関心と研究対象は、さらにドイツ敗戦の原因にまで及んだ。彼が従来抱いていた決戦戦争と持久戦争の理論は、西欧軍事学の殲滅戦争と消耗戦争の理論と同じであることを悟るにいたり、彼の軍事的才能は一段と開花した。後年の天才石原莞爾の萌芽は、ここにあると見てよいであろう。宗教家としての石原は、国柱会田中智学との出会いを通じて、日蓮宗法華経の教えに深く帰依した。最終戦争論で彼が展開した世界戦争の予言は、その背景に宗教信仰が支柱となっている。いわく、仏滅後、正法の千年が経過し、さらに像法の千年が経過し、それから末法の五百年の時代に入って、世界は戦乱に明け暮れるというのである。このような宗教的信仰はきわめて非科学的であり、論理的な説得力に欠けるのではないか、という世人の批判に対して、石原は明快に次のように答えている。
「最終戦争論は決して宗教的説明を主とするものではない。この論は私の軍事科学的考察を基礎とするもので、仏の予言は政治史の大勢、科学・産業の進歩とともに、私の軍事研究を傍証するために挙げた一例に過ぎない。戦争は人類の有するあらゆる力を瞬間的に最も強く総合運用するものであるから、その歴史は文明発展の原則を最も端的に示すものと言うべきである。また戦争は多くの社会現象の中で最も科学的に検討しやすいものではなかろうか」
まさしく石原の面目躍如たるものがある。彼の戦争論は膨大な史料文献を渉猟しながら、軍事的科学的考察を基礎に、彼の天才的頭脳によって樹立されたものである。たとえ彼の内面的な精神生活の背後に法華経信仰があろうとも、我々はそれとは距離を置いて、一つの純粋に軍事学的な思考対象として、彼の思索の跡を十分に論理的にたどることができるのである……(福井雄三東京国際大学教授、本書序文より)

著者について
明治22年山形県生まれ。元陸軍中将。昭和6年9月18日、満鉄爆破を企て、これを口実に満州全土を武力制圧、満州国を誕生させた。この満州事変を機に世界から「アジアのロレンス」などと称されるようになる。敗戦後は故郷に農業を営み、平和運動にも取り組んだ。


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