ストリッパーとしてオハイオ州コロンバスのゲイエティ劇場に出演していたジプシー・ローズ・リーは、旧知の興行主H・I・モスに誘われ、親友のジージー・グレアムとともに、彼がオーナーを務めるニューヨークのオールド・オペラ劇場に移籍する。
華やかな舞台の裏で繰り返される、踊り子同士のいがみあいや喧嘩、口さがない悪口、踊り子とコメディアンとの恋愛沙汰、警察による手入れ、と移籍先での毎日は騒がしい。
そんな中、新しいトイレのお披露目を口実に楽屋で開かれたパーティの席上で、皆から嫌われていた踊り子のロリータ・ラ・ヴェルヌが、Gストリングを首に巻きつけた状態の遺体で発見される。
ジプシー・ローズ・リー、1940年ニューヨーク万博での公演。
前線の兵士向け雑誌掲載、「Gストリング殺人事件」宣伝写真でのジプシー。
そして、エリック出産6ヶ月後のジプシー(モーリス・シーモア撮影)#奇想天外の本棚 #Gストリング殺人事件 pic.twitter.com/4eXykp1Gzb— suigan (@suigan3) October 25, 2022
自身にも嫌疑を向けられたリーは、恋人のビフ・ブラニガンとともに調査を始めるが、やがて第二の殺人が!
一癖も二癖もある人間が出入りし、生々しい人間関係が渦を巻く猥雑を極めたバーレスクの世界を舞台に繰り広げられる、アメリカン・バーレスクの伝説的スターによる異色のミステリ、ここに開幕!
クレイグ・ライス代作説を徹底究明した前説だけでもミステリ・ファンはMUSTの一冊。
『Gストリング殺人事件』(国書刊行会)
著:ジプシー・ローズ・リー
訳:柿沼瑛子
監修:山口雅也
装幀:坂野公一
発売日:2022/10/27バーレスクの劇場でストリッパーが殺された。凶器はステージ衣装の煌びやかなGストリング……。
伝説のストリッパーによって書かれた、奇想天外なミステリ!(Y) pic.twitter.com/nuzfXeLzE5— welle design (@welle_design) October 24, 2022
女性読者の皆様、「ストリッパー」という惹句を目にして敬遠するなかれ。
本作は、ボーヴォワールが『第二の性』を著す以前の1941年に、アメリカの知的で自立した女性の生きざまというフェミニズム・テーマを、声高でなく面白おかしく描いた文学的価値もあるミステリ良作なのです。
(山口雅也)
装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design)
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