ヨラドッグフード…昆虫ベースのドッグフードがあるって知ってた?

犬や猫は、偶然や勢いや、あるいは狩猟本能に火がついたときに、虫をペロリと平らげることがあります。

昆虫食は私たちにとっては、まぁ馴染みがあるといって良い習慣です。

日本でも輸送手段が発達する前の山間部では、川魚に匹敵するタンパク源として親しまれてきたものです。

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昆虫ベースのペットフード

2019年1月、イギリスのペットフード スタートアップのYora(ヨラ)がドライフードを発売しました。

彼らが選んだ原材料はアメリカミズアブ(ハエ目ミズアブ科)の幼虫です。

これに、オート麦、じゃがいも及びその他の天然植物とともに粉砕され、通常の種類のドライフードの形に成型されます。

現在発売されているのはドライフードのみですが、Yoraではウェットフードも販売を開始するそうです。

「環境のために私たちが貢献できることの1つは、肉の消費を減らすことです。しかし今までは肉食の4本脚の友達には、あまり選択肢はありませんでした」と語るのは、Yoraを創業者であるトム・ニッシュ氏。

「美味しい食材の完璧な組み合わせを見つけるために、私たちは29のレシピを試し、その結果をとても誇りに思っています。Yoraがあれば、環境に良い影響を与えながら、栄養価が高くて味も美味しいフードを与えることができます」

昆虫ベースのドッグフードは近い将来、日本にも登場することが予想できます。私たちはこれを選択すべきなのでしょうか?

期待できる点と懸念点について整理してみましょう。

環境に優しい

可愛いペットたちは、実は環境に悪影響を与える存在でもあるのです(もちろん人間もですが)。

世界的にペットは、世界の肉や魚の約5分の1を消費しています。

この傾向はペットたちが高級な(いわゆるヒューマングレードの)肉を消費するために、高まりつつあるものです。

従来のペットフードを製造するためには、膨大なエネルギー、水、土地を必要とし、家畜の福祉とそれらの汚染物質の影響についても深刻な懸念があります。

一方で昆虫を使う場合は(Insect farming)、倫理的かつ効率的に、少ない資源で製造することができます。

メタンやアンモニアの排出は少なく、環境への影響は少なくなります。

2013年、国際連合食糧農業機関は、将来の食糧不足を回避するためには新たなアプローチが不可欠であると強調し、一つの可能性として食用昆虫を提示しました。

環境専門家は長い間、世界の飢餓を終わらせ、食肉生産の有害な環境への影響を減らすのに役立つ比較的持続可能な食料源は昆虫であるとしてきました。

昆虫は、非常に栄養価が高く、必須タンパク質、脂肪、ミネラル、アミノ酸を含んでおり、動物にとって消化しやすいものです。

ヨラドッグフード

アレルギー食の選択肢が増える

食物アレルギーと不耐性は、今日でも大きな問題となっています。

もしも愛犬のアレルギーが従来の肉により引き起こされるならば、野菜ベースのフードは一つの選択肢かもしれません。

しかし、雑食である犬とは異なり、猫は野菜ベースの食事では栄養が足りません。

現状では鹿肉やアヒル肉などの新たな材料か、加水分解されたタンパク質から作られた食べ物に頼っています。

昆虫ベースのフードの登場は、アレルギーをもつペットたちの食事の選択肢を広げることに繋がります。

栄養価が高い

昆虫は、タンパク質の良い供給源であることに加えて、脂肪、脂肪酸、ミネラルとビタミンも含んでいます。

これらの栄養素の量は昆虫の種類によって異なりますが、現在わかっている限りでは、「昆虫の栄養価は、鶏肉、牛肉、豚肉、魚などの他の肉源の栄養価と変わらない」そうです。

懸念点:研究が少なく将来の影響が不明

犬や猫への昆虫ベースのフードに関する研究は、ほとんど行われていません。

最小限のデータしかない状態で、商品化が行われている国がある状態なのです。

ペットがペロリと昆虫を食べることは、多くの場合は安全ですが、昆虫ベースのフードとなると、それを長期的に食べさせた場合にどんな影響が出るのかはいまだにわかっていません。

昆虫の栄養成分の良い影響と同時に、栄養素の消化率、吸収および利用に関するより多くの研究が必要です。

これを理由に米国では、昆虫を材料とすることは許可されていません(ただしオヤツはAAFCO規制を遵守する必要がないため、米国でも昆虫ベースのペット用おやつを購入することができる)。

Yoraのニッシュ氏によれば、「昆虫に対する先入観を克服できれば、味としてはかなり美味しいもの」だそう。

「自分で食べられないものを犬に食べさせたいとは思わないので、テストでかなりの数の昆虫を食べたけど、少しキノコの風味がしたよ」

日本では珍味として食べられている昆虫食。

抵抗感や先入観は個人により大きく異なるかもしれませんが、意外にあっさり受け入れられることも考えられます。

将来のドッグフードのバリエーションには、従来肉や魚の他に、昆虫ベースが追加されるのかもしれませんね。

ヨラドッグフード

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