極超音速ミサイル入門 能勢伸之(著) イカロス出版 (2021/4/5)

世界はいま、新たなミサイルの脅威に直面する。

1993年に北朝鮮が、日本のほぼ全域を射程に出来るノドン弾道ミサイルの発射試験を実施して以来、日本は弾道ミサイル防衛(BMD)を重視する安全保障政策を続けてきた。

しかし、いまや、日米が長年構築してきたBMDで『防げない』ことを開発の目的とした極超音速滑空体ミサイル、極超音速巡航ミサイル、不規則軌道ミサイルが出現しているのである。

今後、確実に、日本をはじめ各国を取り巻く大きな脅威となる新たな兵器として開発と配備が続けられていくであろう「極超音速ミサイル」とは何なのか。

本書は各種の極超音速兵器について、その種類や性能、各国(ロシア、アメリカ、中国、インド、北朝鮮、フランス、そして日本)における開発の概要、さらに有効な対応策について、基礎的な情報を網羅し解説した1冊。

まだあまり知られていない新たな脅威の中味を知りたい人は、是非読んでみてほしい。

「著者、能勢伸之の前著「極超音速ミサイルが揺さぶる「恐怖の均衡」」を読んでなるほどと思ったので本書を読んだ。しかし、前著ではまだこの「極超音速ミサイル」という新兵器の凄さを実感できなかった。本書を読んでロシア、中国、などの国々のミサイルの、飛行速度と操作性の飛躍的向上と実用化が、現在の世界の軍事大国アメリカの防衛力を脆弱化し始めていることを知ることができた。技術向上の要点は「スクラムジェット」という従来のジェットエンジンとは原理の異なる推進機構の実用化によっている。この技術はグーグルで検索すれば(特に英語版を読めば)簡明な解説があり理解できる。また、ユーチューブの動画を見ても英語ながら兵器性能も見聞できる(本書では50頁にこれが記載されている)。とにかく、もしこれが実戦配備されたら、ミサイルを迎撃、撃墜することが不可能になる可能性が高い、と本書にも書かれている。なにしろ音速の9倍、マッハ9という鉄砲の弾より速い速度で飛んで来て、さらに狙いを自由に変更できる巡航ミサイルには手の施しようが無さそうである。本書によれば迎撃側(日本やアメリカ)もこれに対処できる新発明を現在開発中、ということだ。北朝鮮までもがこのような極超音速ミサイルの開発を行おうとしている、と本書には書かれている。我々一般人はそれを知っても如何んともし難いけれども、本書は世界情勢を知る上で是非一読しておくべきだと感じた。」

「超音速ミサイルが近年注目されつつあるというのは知っていたが、詳しくまとめられた本が無かったため、本書は非常に参考になった。」


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