著者究極の代表作、誕生。 連綿と続く、女たちの“鎖”の物語。
『イノセント・デイズ』を今一度書く。
そして「超える」がテーマでした。
僕自身はその確信を得ています――早見和真
長い間歪み続けた愛や母性の歴史、地層のように積み重なる闇に確かな兆しを探し続けた。
神が人を嘲笑い続けてきたのか。
人が神を嘲笑い続けてきたのか。神なるものへの幻想と呪縛を解き放つ祈りとその熱に、心が深く確かに蠢いた。――池松壮亮(俳優)
容赦などまるでない。「母」にこだわる作家が、母という絶対性に対峙した。確かなものなど何ひとつない世の中で、早見和真は正しい光を見つけようとしている。その試みには、当然異様な熱が帯びる。――石井裕也(映画監督)
私も命を繋いでいく役目を担うのだろうか。微かな光と絶望に怯えながら、夢中で読み進めた。どうしようもない日々に、早見さんはいつだって、隣で一緒に座り込んでくれるんだ。――長濱ねる(タレント)
ラストに現れるヒロインの強い覚悟と意思の力に、私たちは元気づけられる。辛く暗く苦しい話だが、そういう発見があるかぎり、小説はまだまだ捨てたものではない。 ――北上次郎氏(書評家)(「カドブン」書評より抜粋)
彼女たちは、蟻地獄の中で、必死にもがいていた。
愛媛県伊予市。
越智エリカは海に面したこの街から「いつか必ず出ていきたい」と願っていた。
しかしその機会が訪れようとするたび、スナックを経営する母・美智子が目の前に立ち塞がった。
そして、自らも予期せず最愛の娘を授かるが──。
うだるような暑さだった八月。
あの日、あの団地の一室で何が起きたのか。
執着、嫉妬、怒り、焦り……。人間の内に秘められた負の感情が一気にむき出しになっていく。
強烈な愛と憎しみで結ばれた母と娘の長く狂おしい物語。
ここにあるのは、かつて見たことのない絶望か、希望か。
早見和真『八月の母』KADOKAWA
早見さんの作品は全部読んでいて、それぞれ何度も読み返しているのですが、本作だけはもう一度読み返す勇気が持てません……。
でも30年後とかにすごい小説をいくつかあげろと言われたら、例え30年前に一回読んだだけであったとしても、必ず名前を出す傑作だと思います。 pic.twitter.com/0jJQ0zQd0i— 武美 (@Takemi0624) April 5, 2022
「特に前章は、人物描写もほんと興味惹かれる登場人物(彼らの行動や秘めたる想いも)ばかりで読み応えありました。後章は若干ペースダウンで、何故優等生だった少女がそこまであの母娘に惹かれたのか伝わってこなかったり、現在軸での主人公の息子(5歳)が年齢の割にやたら物分かり良かったり違和感がありました。旦那との出会いや家庭に入る馴れ初めも時間軸を辿って読みたかったかな。それを抜きにしても非常に没頭出来ましたし、今後もこの著者の作品は是非読みたいと思いました!」
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