へんぶつ侍、江戸を走る 亀泉きょう(著) 小学館 (2020/8/7)

和田竜氏絶賛、驚異の新人デビュー作。

将軍家の駕籠担ぎ・御駕籠之者組に席を置く明楽久兵衛は、剣の腕は一級品。

しかし、深川の唄い手・愛乃の大首絵を蒐集し、江戸の下水を隅まで熟知する「へんぶつ」ぶりを発揮して、周囲からは「大供」呼ばわりされて侮られていた…。

そんなある日、愛乃の急死を知ったことから、物語は動き出す。

気づけば、郡上一揆の箱訴を巡り、幕閣、果ては暗愚と呼ばれる九代将軍・家重まで巻き込んだ巨大な渦の中に、久兵衛は巻き込まれていた…。

「「どんでん返し」が仕掛けてあるっていうから、どんなものかと買ってみた。意外や意外、新人にしては時代の捉え方が玄人っぽく、どんでん返しというのも、ストーリー上のドンデンではないあたり、ションベン将軍だと思っていた九代家重がかかわってきたのでおどろいた。いまや田沼時代の見直しは常識だけれど、その蔭に家重がいたとは! この新人、京都の人らしいけど、江戸の水道やら、駕侍を主人公に持ってくるところやら、悪党老中が人の歯で入れ歯を作っているのとか、やたら江戸の風物に詳しいところもたのしめた。自作に期待!」

「和田竜さんの帯がついていたので読んだ。
恋あり、陰謀あり、父子の情、主君と廷臣の情あり。リズム感のある文章に乗せられて、ほとんど一気に読めた。中編という感じで、そんなに長くない。郡上一揆を背景に、一介のオタク青年が人の道のため命を懸ける姿が痛快で、それだけでもハラハラ楽しいのだが、終わりの方の経済政策のあたりは重厚で、読みごたえがあった。
江戸物は藤沢周平と葉室麟をよく読むが、これもなかなか。映画化されても楽しかろうと思う。」


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