姑の遺品整理は、迷惑です 垣谷美雨 (著) 双葉社 (2019/2/20) 715円

姑が亡くなり、住んでいたマンションを処分することになった。

業者に頼むと高くつくからと、嫁である望登子はなんとか自分で遺品整理をしようとするが、あまりの物の多さに立ちすくむばかり。

「安物買いの銭失い」だった姑を恨めしく思いながら、仕方なく片づけを始める。夫も手伝うようになったが、さすが親子、彼も捨てられないタイプで、望登子の負担は増えるばかりである。

誰もが経験するであろう、遺品整理をユーモアーとペーソス溢れる筆致で描く長編小説。

「大好きな柿谷美雨さんの作品、断捨離と今後の生き方について考え始めた自分に、今回もとてもしっくりくる内容でした。断捨離時の描写や夫、友人との会話は臨場感たっぷり、「そうそう」「あるある」と思いながら楽しく読み進めました。そして終盤はやはりホロっと…。これがあるから、他にたくさん出回っている「捨てる」だけの断捨離本とは一味も二味も違うのです。」

「タイトルを見たときは、「又姑攻撃か…」と思いましたが、読み進むうちに決してそうではないことが、少しずつわかっていき温かい気持ちになりました。たくさんのモノを残して死ぬと、残された者は本当に大変。自分は出来る限りモノを減らして死にたいと思う反面、遺品を通して、知らなかった故人の人生に触れることもできるのです。私自身も母の遺品の多さに戸惑いはしましたが、不思議と苦痛ではありませんでした。長いこと手放せなかった遺品をやっと処分した時、心の整理もついたように思えます。私の知らなかった母の人生に出会えた、そんな気がしています。…色んなことを考えさせられる一冊でした。」

「垣谷さんの本はこれが2冊目です。最初は、老後の資金がありません、でした。この本も主人公やその夫とも、また同じ人格だなあと思っていたのですが、オチがすごく良くて、最後に思わず涙が出ました。物を溜め込んで突然死した姑と余命宣告を受け物を始末して死んだ実母が対比されています。が、どちらが良い生き方なのか考えさせられました。私自身65歳になり、物を減らさなければ息子に迷惑をかけると焦っていますが、意外と残してもいいかなと思うようになりました。それと共に、12年前に死別した夫の物を業者に依頼してバッサリ捨てたのを後悔しています。いろいろ考えさせられる秀作です。」


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