「これは前代未聞の疫病禍をからくも生き延びようとした、一人の昆虫学者の戦績を辿った一大叙事詩である。」(「まえがき」より)
『怪虫ざんまい』をお薦めします!
養老孟司さん
「奇人、奇怪な虫を追う。環境破壊に怒り心頭。でも愉快な本ですよ」呂布カルマさん(ラッパー/虫ファン)
「虫の魅力は分からずとも、虫の魅力に取り憑かれた人間の奇妙さ、面白さはよく分かる筈だ」
セアカゴケグモの日本上陸に身悶えした中学生は、やがてガロアムシを見つけて得意満面の大学生になった。
エダヒゲネジレバネを極小ウンカの腹の中から引っ張り出したり、アリの巣を破壊したりして過ごした大学時代。
晴れて昆虫学者になってからも好奇心はますます暴走!
ミズスマシの背中に付くカビに萌えたり、誰も知らないオオフトヒゲクサカゲロウの秘密の生態を暴いたり……。
好き勝手に虫探しをしていたら何の因果か、気が付けば人の親になっていた!
息子をつれて行った公園でオオスズメバチの駆除に憤り、滑り台の陰で絶滅危惧のハナダカバチを見つけるのも悪くはない。
だが、その本性は、やはり「奇人」と呼ばれた昆虫学者なのだ。いまこそ虫マニア全開だ!
自転車往復8時間の山越えも何のその、寒空の下、大地に土下座してついに見つけた、光りかがやく「幻の甲虫」。
ポンプを漕ぐこと数万回。井戸の奥底から「ナゾの生命体」を引きずり出したぞ !!
―――で、虫なんて探して何になる !?
小松貴さん著『怪虫ざんまい 昆虫学者は今日も挙動不審』(新潮社)、装画・イラストカットを担当いたしました。
デザインは望月玲子さんです。2022年4月21日発売です。 pic.twitter.com/vSu46hQC9p
— 中村一般 (@nakamuraippan) April 21, 2022
目次
プロローグ
I 「怪虫」はそこにいる
1 ハチを長生きさせる寄生虫
2 ♂はアリ、♀はキリギリスという怪奇
3 タガメを捕まえたヤツは信じない
4 共生幻想論
II 昆虫学者が閉じ込められた!
5 マ、マジで出られないの!?
6 一日1000回井戸を漕いでみた
7 ついに乳首を見つけたぞ!
III 公園の大惨劇
8 昆虫学者、シカを呪う
9 未来を歪める不届き者たちへ
10 妻の正論
IV 思い出の「怪虫」たち
11 ガロアムシに嗤われろ
12 虫マニアとして謝罪します
13 ゴケグモ青春記
V 地下空間のアイドル
14 大先輩の標本箱
15 穴掘りの究極奥義
VI 光かがやく「怪虫」を求めて
16 虫に会いたくって涙が出た
17 自転車片道4時間、心は砕けた
18 闇に漂う勝利の匂い
19 怪虫たちの再生
エピローグーー分からないことを分かりたい
あとがき ーーカントウイドウズムシ、その後
小松貴さん『怪虫ざんまい 昆虫学者は今日も挙動不審』新潮社(4/下発売予定)のゲラを拝読。
著者の昆虫愛、熱中ぶりが読み手の自分をも興奮させる。
コロナ禍で遠出もなかなか出来ない現状が切実だ。その範囲内でも新たな発見をしようとする姿に励まされる。
確実に虫を見る目が変わった。 pic.twitter.com/3L3W8nZZIe— 書店員マリ (@MacchiatoMari) April 5, 2022
〈著者より、読者へひと言〉
この令和の世に突如降りかかった、忌まわしき疫病。野外調査をライフワークとする昆虫学者にとっての移動自粛は、まさに冬の時代だった。
しかし、私はその凍てついた季節に、なんでもない田んぼの一隅で光り輝く「幻の甲虫」を、近所の井戸底で「奇跡の生物」を見つけ出した。すべてはすぐそこの話。足元に埋もれた、めくるめく無限の世界を、ぜひ知ってください。
すごく興味深い昆虫本
『怪虫ざんまい』入りました。
コウモリに関することも書かれたページがありとてもいい本です。 pic.twitter.com/8EuCJfL8J5— 小濱書店(松阪駅前) (@kohama_syoten) May 17, 2022
「子供の頃は虫が平気、成長するにつれ疎遠になったところ、子供がいることで虫に再開するとともに虫マニアの目を通じて改めて虫に目がいくようになり、気味悪く思っていたものもいつの間にか愛着が湧いています。自作も楽しみ、どうかその目を分け続けてください。」
「学者がプロの写真家になると、こんな本が出るんだな。次の本はいつ出るのかな。楽しみだ。」
「もともと生き物全般に興味があり、タイトルに惹かれて読みました。
怪虫とありますが、カマキリやクワガタなどのメジャーな虫ではなく、かと言ってウデムシやゲジゲジなど外見が奇怪な奴らのことでもありません。
この本の大部分を占めるのは、普段の生活ではまずお目にかからないような地下棲の絶滅危惧種であったり、ウンカの腹に寄生する極小生物だったり、それを探し求める筆者の溢れる情熱だったりします。
虫をテーマにした書籍の中でも異彩を放つ一冊であり、語り口の軽妙さからあっという間に読んでしまいました。」
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