会社を辞めたい…辞めさせてくれる退職代行サービスが人気です

会社を辞めたくても辞めれない…。

本人に代わって会社と退職の手続きを行う「退職代行」が話題です。

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辞めさせてくれる存在

キャッチコピーは「明日から会社に行かなくてもOK」「スピード退職」などの刺激的なコピーが踊ります。

それほど過激では無いけども退職代行サービスはかなりに賑わいとなっているようです。

中には、メールやLINEで依頼するだけで、文字どおり、本人はその瞬間から会社と一切関わることなく退職できるような代行サービスもあります。

手間がかからないのも人気の理由です。

そのかわり費用がかかるのはしょうがない面でもあり、相場は3万円から5万円となっています。

辞めにくい…保育士の例では

昨年の5月、運営する保育園に退職代行からの連絡がありました。

4月に入社したばかりの20代の保育士が「持病の悪化のため辞めたい」ということだったのです。

聞いたこともない会社(退職代行サービス)からの唐突な連絡。

持病の話は初耳だし、本人からは何の相談もないのです。

対話の余地もなく粛々と退職の日を迎えるのみ…。

突然にピシャリとコミュニケーションを遮断されてしまい、雇用する側は困惑するばかりだったといいます。

そもそも退職の手続きは、お金を払ってまで他人に頼むことなのか…。

社会人としての配慮に欠けると眉をひそめる人も少なくないでしょう。

その裏には、働き方に対する若者世代とオトナ世代の大きな価値観のズレが透けて見えます。

「甘え」とみるのは誤り

退職代行による退職手続きが増えていることが報じられるようになった頃は、レアケースとしてみられていました。

現代の若者特有の「甘え」が現象化したもののようにも受け取られたのです。

しかし、現実にはシビアな背景があることがわかってきました。

まず、このサービスを使う人は、若者だけではないということです。

相談者の属性をみると、年代別では10代が約1%、20代が約28%、30代が約30%、40代が約21%、50代以上が約7%。30代が最も多く、40代以上が28%を占め、30~50代以上が6割近いのです。

このことから「若者が使うサービス」とは限らないことが判明しました。

勤続年数別では、1年以下が約27%と最も多いのですが、3年超す~10年以下が約23%、10年超が約11%と、キャリアを重ねた人たちも少なくはないのです。

正規、非正規の雇用形態別では、約75%が正社員でした。

弁護士による代行サービスは、非弁護士業者によるものと比べれば割高です。

退職届を送り付ければ辞められるものを、それだけの金額を出してもきれいに実行したいとするのは、誠実さの表れと見てもいいでしょう。

それに比べると、反対に会社側の不誠実な態度が目立つというのです。

退職代行サービスのNEXT

営業職の男性の場合

長時間労働が不満で退職を考え、転職活動で内定を得た営業職の男性(30代前半、勤続5年)。

転職先の勤務開始の3か月前に退職を申し入れたのですが、後任確保の困難を理由に引き止められました。

その後も慰留が続いたのです。

手続きが進まないまま過ごし、転職先に入社予定日を延期してもらうことになりました。

その後、転職先が決まっていることなどを会社に明かし事態は進むのですが、退職予定日の1か月前になって突如退職届けを突き返されまいた。

社長に呼び出され、男性に対し「非常識だ」「責任感がない」「どんな会社に行っても通用しない」などと罵倒。

困り果てた男性は弁護士に相談を持ち掛けます。

この社長は男性に対し、さらに「この会社がどうなってもいいのか!?」とも言ったそうです。

そうなると、男性側からすれば「私のキャリアはどうなってもいいと考えているのですか」となります。

これまでの恩義も消え失せてしまったのです。

代行サービスの交渉で男性は無事、予定日に退職しました。

退職代行サービスのNEXT【supported by 豊楽法律事務所】

人手不足が背景

退職代行の需要が高まる背景の一つは、近年とくに深刻度を増している人手不足があります。

そのことは全国の労働局や労働基準監督署に寄せられる相談内容の変化でも明らかなのです。

この10年で「自己都合退職」に関する相談が2.5倍に増えているというのです。

2016年度には、上位にいた「解雇」の相談件数を逆転。

2018年度には、さらに「自己都合退職」に関する相談件数が伸びています。

このことは、退職代行サービスの普及に比例しているといっていいでしょう。

2018年の有効求人倍率は45年ぶりの高い水準となりました。

反対に、完全失業率は2.5%を割り込んでいます。

こちらは26年ぶりの低水準ということです。

人手不足関連の倒産は19年上半期(1~6月)に191件と「過去最悪」を記録するほど…。

とくに中小企業では人材確保がますます困難になっているのです。

こうした現状から、従業員を限界まで酷使したり、それに耐えられず退職を申し出ると強引に引き止めるなどしてブラック化する会社が増えているといいます。

退職することは法律的に難しいことではないこと。

困ったときには、弁護士がヘルプできることを知っておくべきでしょう。


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