甘美なる誘拐 平居紀一 (著) 宝島社 (2021/4/7)

第19回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作。

ヤクザの下っ端二人組、真二と悠人。

人使いの荒い上司にこき使われる彼らの冴えない日常は、ある日、他殺体を発見したことで変わり始める。

同じ頃、下町で自動車部品店を経営する植草父娘は、地上げ屋による嫌がらせで廃業に追い込まれかけていた。

抵抗するため、父娘はある人物を頼るが……。

一方、宗教団体・ニルヴァーナでは、教祖の孫娘が誘拐される事件が起きていた。

様々な人物や事件が、衝撃のラストに帰結する、誘拐ミステリーの新機軸。

「例年の大賞作とくらべて遜色ないというより、上まわっていると思う。まず誘拐の構造が前代未聞。似ている話が思い出せない。誘拐ものなのだが、誘拐そのものをひとつの道具に使って別の物語を仕立てている。ここが高く評価される。面白い着想だ。
そして小説としてのまとまり、人物の書き分けがうまい。端役も生き生きと描かれている。文章もなめらかで上手い。」


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