海獣学者、クジラを解剖する。 田島木綿子 (著) 山と渓谷社 (2021/7/17) 1,870円

海の哺乳類の死体が教えてくれること

電話1本で海岸へ出動、クジラを載せた車がパンク、帰りの温泉施設で異臭騒ぎーー。

日本一クジラを解剖してきた研究者が、七転八倒の毎日とともに海の哺乳類の生態を紹介する科学エッセイ。

「田島さん、クジラが打ち上がったよ」電話1本で海岸へ出動!

解剖は体力&スピード勝負、クジラを載せたクレーン車がパンク、帰りの温泉施設で異臭騒ぎ、巨大な骨格標本ができるまで――。

海の哺乳類の知られざる生態に迫るなか、人間が海洋環境に与える影響も見えてきた。

日本一クジラを解剖してきた研究者が、七転八倒の毎日とともに綴る科学エッセイ。

哺乳類である彼らはなぜ、陸を捨てて海を選んだのだろう。

海での暮らしに適応するために、どんなふうに進化していったのだろう。

そして、なぜ海岸に打ち上がるのだろう。

それが知りたくて、一つ一つの死体から聞こえる声に日々耳を澄ます。

【内容】
1章 海獣学者の汗まみれな毎日
山積みのオットセイとの出会い/ 「鯨骨スープ」の臭いにまみれる
海の哺乳類は体重がハンパじゃない/ストランディングは突然に

2章 砂浜に打ち上がる無数のクジラたち
シロナガスクジラとの遭遇/赤ちゃんクジラの胃からプラスチック
シャネルNo.5はマッコウクジラのニオイ/クジラは爆発する

3章 ストランディングの謎を追う
なぜクジラは海岸に打ち上がるのか/調査には一流の道具を使うべし
外貌(見た目)調査で死因を探る/内臓の調査は“超ガテン”作業

4章 かつてイルカには手も足もあった
手はヒレに、足は無くなる/超音波で周囲の情報をキャッチする
イルカやクジラの内臓は丸っこい/小さな殺し屋クジラ「ユメゴンドウ」

5章 アザラシの睾丸は体内にしまわれている
水族館のショーはアシカ科の独壇場/水中生活により適応したアザラシ科
野生アシカの群れはすさまじく臭う

6章 ジュゴン、マナティは生粋のベジタリアン
「人魚伝説」に意義あり!/ラクに水中を浮き沈みできる秘密
ステラーカイギュウはなぜ絶滅したか

7章 死体から聞こえるメッセージ
死因につながる一筋の道を全力で探す/海洋プラスチックが見つかるとき
環境汚染物質「POPs」の脅威/人と野生動物が共存できる道とは

■著者紹介
田島 木綿子(たじま・ゆうこ)
国立科学博物館動物研究部研究員。
獣医。日本獣医畜産大学獣医学科卒業後、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻にて博士課程修了。
博物館業務に携わるかたわら、海の哺乳類のストランディングの実態調査、病理解剖で世界中を飛び回っている。
雑誌の寄稿や監修の他、率直で明るいキャラクターにテレビ出演や講演の依頼も多い。

「淀ちゃんのこともあり、Twitterでおすすめしていて読みました。どこかに埋めて調査して標本にしたりしてほしかったな。淀ちゃんが川に来て死んでしまった理由が分かったかもしれません。この本は読みやすく面白く勉強になりました。わかりやすいのでお子様でも読めます。息子は興味なしでしたが。手に取れるところに置いておきます。いつか読んでほしいな。」

「私は科学博物館が好きなだけの全く違う世界で働く女性ですが、この本は専門的で面白くてためになって、著者の先生に深い尊敬の気持ちを抱きました。知性ある内容に活力をいただけます。
また、最近人間の命すら蔑ろにされることにすっかり慣れてしまっていたので、この本に書かれるように、違う種の命のために世界的な連携体制があるという事実には泣いてしまいました。命が蔑ろにされていることに、本当は自分が傷ついていると知りました。良い本です。」

「楽しくて楽しくてあっという間に読了しました。
ご苦労は図り知れませんが、それ以上に現場での高揚感が伝わります。
鯨類が大好きな人は勿論、そうでない方にも読んで頂きたいと思います。」


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