彼女は頭が悪いから 姫野カオルコ (著) 文藝春秋 (2021/4/6)

2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場!

横浜市青葉区で三人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公 務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。

偶然に出会って恋に落ちた境遇の違う二人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学の友人らが立ち上げたサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。

そ して酒を飲ませ、仲間と一緒に辱めるのだ…。

美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件が明るみに出る。

頭脳優秀でプライドが高い彼らにあったのは『東大ではない人間を馬鹿にしたい欲』だけ だったのだ。

さらに、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いするのだ。

読み手の無意識下にあるブランド意識、優越感や劣等感、学歴による序列や格差の実態をあぶり出し、自分は加害者と何が違うのだと問いかけ、気づきを促す社会派小説の傑作!

柴田錬三郎賞選考委員絶賛!

無知な若者を生み出した社会構造と、優越、業といった人間の醜さが、本作には鮮烈に描いてある。――伊集院静

どちらか一方を悪者に仕立て、もう一方を被害者に仕立てがちだが、本作はそんな単純な構図では描かれていない。――逢坂剛

女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は称賛されるべきである。――桐野夏生

テーマ性とメッセージ性の際立つ作品、批判をおそれず書かれた力作だ。――篠田節子

平成における最も重要な本の一冊だと私は考える。――林真理子

「私も”この大学”の文化系のサークルに入っていました。もちろんみながここに書かれているような人物ではありません。ただ、この本を読むうちに、当時感じたちょっとした違和感やサークルのメンバーの不可解な言動が次々と思い出されてきました。そして、あ…確かに私たち女子大生はそういうふうに見られ、そういう扱いであったかもしれない、と今になってわかりました。美咲のように乱暴はされなくとも、似たような雰囲気になったことはあったじゃないか…と、この本を読み終わった今やっと。」

「とにかく、多くの人に読んでもらいたい。オススメしたい一冊です。他の方が書かれているように、後味は悪いですが『後味悪さ自体』は満点です。色んなトコから大絶賛されてるだけあります。」

「小説を出版社に直接持ち込むという、一歩間違えれば『ベティ・ブルー』のような痛い結末になりかねない方法を一歩も間違えることなく進み、良く言えば通好み、良くなく言えばマニア受けの作家として着実に支持層を広げ、『昭和の犬』で第150回直木賞に輝いた姫野カオルコ先生が、平成という時代をどう書いてくれるのだろうと期待していて登場した、ほとんどノンフィクションノベルに近い、フィクションの書き下ろし犯罪小説です。」


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