何年禁煙したら、発がんリスクが喫煙歴ゼロの人なみにリセットされるのでしょうか。
東京大学と国立がん研究センターなどの研究者らは、日本で行われた八つの集団研究、約32万人分のデータを使って全がん種と喫煙関連がんの発がんリスクに対する禁煙の影響を解析しました。
年齢や体格指数、飲酒の習慣など、喫煙以外の発がん性に影響する条件を調整して分析した結果。
男性はある時点から21年間禁煙を続けた場合、発がんリスクが全くたばこを吸わない男性なみに下がることが判明したのです。
女性の場合はぐっと短く、禁煙後11年で発がんリスクがリセットされるようです。
ちなみにこの結果は、1日に20本以上(1箱)を20年間吸い続けてきた「ヘビースモーカー」でもほぼ同じ。
当然のことですが、禁煙期間が長いほど発がんリスクが有意に低下することもわかったのです。
ニコチン依存症疑いのヘビースモーカーでも禁煙効果があるのは朗報です。
それでも男性は「ダブル成人式」の40歳で禁煙したとして、発がんリスクが非喫煙者なみに戻るのは61歳以降…。
最初から「21年」というゴールを見てしまうと、うんざりしそうです。
一方で、がん以外にも発症リスクが下がる病気があります。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)と血管がボロボロになる血管内皮障害。
COPDは日本人男性の死亡原因の第8位。
ただ、3位の肺炎や2位の心不全にかなりの数のCOPDが紛れていると推測されます。
血管内皮障害は当然、心不全や脳卒中(同4位)のリスクです。
とどのつまり人間の死因はがん、血流の滞り、呼吸障害の3つなのです。
その全ての発症リスクが下がると思えば、「Wハタチ」の禁煙もよろしいのではないでしょうか。