工藤會事件 村山治 (著) 新潮社 (2022/6/30) 1,815円

「必ずトップを逮捕せよ!」血の掟で支配された指定暴力団・工藤會に対し、真の「頂上作戦」を展開した警察・検察の壮絶な捜査秘録。

【目次】
はじめに
捜査への追い風 最高検の「待った」 突然の異動 成功と失敗の教訓

第一章 工藤會トップらが罪に問われた事件
元漁業組合長射殺事件 恫喝、威嚇発砲、そして…… 野村、田上を取り逃がした第一次捜査 因果応報 元福岡県警警部への銃撃事件 女性看護師襲撃事件 歯科医師事件

第二章 「無法地帯」
産業国策が生んだ『花と龍』の土壌 工藤會の歴史 暴排・標章掲示店の経営者襲撃 反社テロの系譜 安倍晋三宅に火炎瓶 建設業者も標的 金の切れ目は、射殺

第三章 動き出す福岡県警・福岡地検
暴走の原因は何か? 「みかじめ料市場」独占の帰結 取締り側の問題 「ひね」 検察と警察の不毛ないがみ合い 追い詰められた警察庁 不退転の決意 反転攻勢体制の構築 県警のエース起用 捜査手法の転換と体質改善 熱血本部長の投入 事件を食うか、食わないか 検察の「ミッション・インポッシブル」 未解決事件の山 「全員起訴」方針 「無罪」で勢いづく暴力団

第四章 ターニングポイント
写真週刊誌での発言が引き金? 原点は洋上石油基地利権 政界と暴力団に工作 草野―梶原コネクション 県警の「反社」通報と指名停止 「絆」 強引な捜査が招いた漁業関係者の不信 「警察に売られる」 適正手続きを怠ったつけ

第五章 トップを逮捕!
「反撃」の手がかり 共謀共同正犯理論の「成熟」 「二転三転」 田上不起訴処理の疑問 被害者遺族への説得 非協力から協力へ 元組員の協力 後ろ髪を引かれる思いで 後任支部長の判断 福岡県警の苛立ち 「陳情」 被害者とともに泣く 高検、最高検の了解 捜査資料と関係者証言の齟齬 パジャマで逃げ出した野村 「梶原の顔を見たこともない」 トップ逮捕の効果 画像解析捜査の威力 市民襲撃事件の摘発 組員の動揺

第六章 捜査のはらわた
「鉄壁」への挑戦 「メッセンジャー」の転向 10人の供述 工藤會組員が「落ちた」理由 取調官が「親分」になる 協力者保護プログラム

第七章 検察=警察のてこ入れブースター
アグレッシブな指揮官配置 もうひとつの再捜査事件 裁判員恫喝事件 工藤會と戦う検事の覚悟 情報収集体制の近代化 コラボの象徴「脱税摘発」 早すぎる死

第八章 綱渡りの捜査が暴いたみかじめビジネスの実態
逮捕直後に崩壊した容疑 「みかじめ料原資」に容疑転換 建設会社会長射殺事件の「怨念」 「紐付け」に成功 工藤會のみかじめ料ビジネス 裁判は検察側の圧勝

第九章 法廷での激闘
初公判は逮捕から5年後 裁判の構造と争点 弁護側の言い分 検察側の戦略 極刑言い渡しに安堵した福岡県警 裁判長への「捨て台詞」 福岡地裁の判断 極刑を選択した理由 判決の意味 暴力団事件への抑止効果? 複雑な思いの検事

第十章 工藤會対策の成果と課題
「警察、行政、民間」による工藤會追い込み 安全・安心を実感 「失敗」の本質 建設業界との向き合い方 暴力団「統治」新時代

あとがき
「全員参加の地域社会」で解決へ 「怖いまち」から「希望のまち」へ 原点は31年前の中学生ホームレス襲撃 ヤクザ組織に変わる受け皿に 抱樸の名の由来 謝辞

「以前、事件に携わった警察官の方が書かれた工藤会との闘いのものも読みましたが、こちらは司法、検察、警察側からの工藤会壊滅に向けた動きから書かれたように感じました。秀逸です。」

「村山治だからこそ書けたインサイドストーリー。検事たちの矜持に感じ入った。」

「工藤会の頂上作戦においてトップ2名に「推認」で死刑と無期懲役が求刑された事に最初は違和感を持っていました。国策的な判決とも感じましたが、本書を読むと被害者たちを襲撃した組員たちはすべて野村、田上両氏の出身母体の組員ばかり。それでも被害者と全く接点のない組員ばかりで利を得るのは組織というよりも、野村・田上両氏だけという事実が記録から浮かび上がります。しかも組員たちはわずかな報奨金と引き換えに二人の私欲の為に長期刑に服したり獄中死したりしています。ある意味彼らも被害者でしょう。工藤会の諸悪の根源は野村・田上でしかないと認識できました。」


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