口が回らず誰にも言葉が届かない、歩いた後には尿を引きずった跡が残り、その姿から「まいまいつぶろ(カタツムリ)と呼ばれ馬鹿にされた君主。
第九代将軍・徳川家重。
しかし、幕府の財政状況改善のため宝暦治水工事を命じ、田沼意次を抜擢した男は、本当に暗愚だったのか――?
廃嫡を噂される若君と後ろ盾のない小姓、二人の孤独な戦いが始まった。
「実在の障害を背負った将軍と、彼を支え、活かした人々の物語。現代に欠けている、他人への労り、人の立場と気持ちを理解しようとする想像力、清廉な想いと身の振り方、それらが全て詰まった一冊。電車の中で、思わず涙が出そうになりました。作者は、司馬遼太郎の秘書?をした人物だそうで、他の作品も読みたくなりました。」
「長年、膨大な量の本を読んできた83歳ですが、これほどに心震わされる本にはなかなかめぐり逢えません。傑作、と言わせていただきます。人と人のかかわりを、真摯な情を籠めて語ってくださって、涙で心洗われました。この方の作品をもっと読みたいと購入しましたので、楽しみです。」
「一気に読みました。将軍には友が必要と言った吉宗の言葉が心に残りました。」
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