見知らぬ人 エリー・グリフィス (著)、上條ひろみ (翻訳) 東京創元社 (2021/7/21) 1,210円

これは伝説的作家の短編の見立て殺人なのか?

イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の作家ホランドの邸宅だった。

クレアは同校の教師をしながら、ホランドの研究をしている。

ある日、クレアの同僚が自宅で殺害されてしまう。

遺体のそばには“地獄はからだ”と書かれたメモが残されていたが、それはホランドの幻想怪奇短編「見知らぬ人」に繰り返し出てくるフレーズだった……。

作中作が事件を解く鍵となる、2021年海外ミステリ最高の注目作!

英国推理作家協会(CWA)賞受賞作家が満を持して発表し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長編賞受賞へと至った傑作!

◇編集部より
高難度の「犯人当て」を求める読者にとって、これほど贅沢な贈り物があるだろうか。手掛かりはこれ以上なくフェアに、むしろあからさまに提示されるのに、慎重に読めば読むほど真相から遠ざかってしまう。(編集部RF)

作中作で背筋を凍らせ、雰囲気たっぷりの学校で起こる事件にどきどきし、そしてあのラスト! ! あんな驚きが待っていたなんて。(編集部KK)

「ミステリーも怪奇も大好きで、ゴシックホラー大好きです。でもこの作品は、ミステリーやホラーというより3人の女性が日記で綴る打ち明け話、という感じです。そういう意味では大変よくできたエンターテインメントで、読み手に本を閉じさせません。それぞれの見地から殺人事件や周りの人々の反応、捜査の進捗具合を描き、すごく面白いのです。女性の本音や内面を描くには日記形式は最高です。電車の中の暇つぶしにはオススメです。でも、本の中に友を探すタイプの読者には勧めません。あ、そうか、心の中の本音を知ってしまったら友達になんかなれないってことね。」

「重層的と解説に書いてあったが、重奏的でもあった。複数の登場人物の視点から物語でもある。主要登場人物がみな女性であることにも注意したい。そして、まさかという犯人。自分の読みは見事に外された!カー刑事の続編、The Postscript Murders の翻訳がとても待ち遠しい。」

「ゴシックロマン風の装いはまあわるくないが、全体としてミステリとしては弱いです。ミステリを素材に女性心理を書きたいんじゃないかな、この作家は。そのへんが男性読者には、なんというか、うざいというか、めんどくさいというか。」


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