緑の毒 桐野夏生(著) KADOKAWA/角川書店 (2014/9/25)

妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。

連続レイプ犯。

水曜の夜ごと川辺は暗い衝動に突き動かされる。

救急救命医と浮気する妻に対する嫉妬。邪悪な心が、無関心に付け込む時ーー。

39歳の開業医・川辺。妻は勤務医。一見満ち足りているが、その内面には浮気する妻への嫉妬と研究者や勤務医へのコンプレックスが充満し、水曜の夜ごと昏睡レイプを繰り返している。

一方、被害者女性たちは二次被害への恐怖から口を閉ざしていたがネットを通じて奇跡的に繋がり合い、川辺に迫っていくー。

底なしの邪心の蠢きと破壊された女性たちの痛みと闘いを描く衝撃作。文庫オリジナルのエピローグを収録。

桐野夏生
1951年金沢生まれ。99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、10年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、11年同作で読売文学賞。04年、英訳版『OUT』で日本人初のエドガー賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

「前半、ふつうの犯罪小説に感じていましたが、次第に、著者の実力にぐいぐい引き込まれて行きました。誰もが営む日々の生活を描く裏で、レイプされた人もした人も、安定した生活を望んで、現実があると叫んでいる感じがありました。」

「桐野さんの小説はいろいろ読ませていただいております。毎回、切り口が独特であっという間に読み終わっています。登場人物の心の中をえぐりとるように表現されるところが堪らなく好きです。この本もいろんな立場の心情が手に取るように伝わってきて面白かったです。」

「桐野さんの本は、いつも私を毒してくれる。前に「残虐記」という作品を読んで、吐き気を催したほど。この「緑の毒」も、設定からして重い。グロい。睡眠薬を注射してレイプに及ぶ、主人公の闇。犯された、女性たちの闇。主人公の妻の、闇・・・。どれをとっても気持ちが悪い。なのに、また読みたくなる。どっぷり漬かりたくなる。」


(↑クリックするとAmazonのサイトへジャンプします)

 

おすすめの記事