無人島のふたり 山本文緒 (著) 新潮社 (2022/10/19) 1,650円

お別れの言葉は、言っても言っても言い足りない――。

急逝した作家の闘病記。

これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。

思いがけない大波にさらわれ、夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。

58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。

著者について
(やまもと・ふみお)1962年神奈川県生れ。
OL生活を経て作家デビュー。99年『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、2001年『プラナリア』で直木賞を受賞。
20年刊行の『自転しながら公転する』で21年に島清恋愛文学賞、中央公論文芸賞を受賞した。
著書に『あなたには帰る家がある』『眠れるラプンツェル』『絶対泣かない』『群青の夜の羽毛布』『そして私は一人になった』『落花流水』『ファースト・プライオリティー』『再婚生活』『アカペラ』『なぎさ』『ばにらさま』『残されたつぶやき』など多数。
2021年10月13日、膵臓がんのため58歳で逝去。

「とても哀しい。私生きる糧であつた文緒さんの色々。鬱を患いながらも素晴らしい本を世に出してくれて、お人柄が伝わってくるエッセイも大好きでした。急な事で凄く動揺してこの本を読みました。泣いてしまいましたが、文緒先生らしい、繊細で人の迷惑にならないように…王子と話せて逝ったのだろうと思いました。美しい本をありがとうございました。」

「私にも精神疾患があり、『再婚生活 私のうつ闘病日記』はお守りのようにいつも読んでいました。訃報を聞いた時は本当に悲しくて、だからこの本を読むのが少し怖かったです。でも貪るように読みました。本が終わりに近づくにつれ、もう文緒さんの文章は読めないのだという事実が苦しく、でもこの本を読めてよかったという気持ちも湧いてきました。文緒さんの文章が好きです。文緒さんみたいにやさしくて人間味のある文章が書けたらいいな、そう思いながら文緒さんの文章を読む時間はかけがえのない時間です。最後まで書き切った文緒さん、本当にありがとうございます。だいすきです。」

「ちまたでは注射のせいでガンが増えてるという噂があるが、著者は打ってないとのこと。それは私に救いとなった。会いたいけど呼びつけるのも遠慮されるというくだり、せつない。」


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