サカナとヤクザ 鈴木智彦(著) 小学館 (2021/8/6)

暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う

食べてるあなたも共犯者!決死の潜入ルポ

アワビ、ウナギ、ウニ、サケ、ナマコ……・「高級魚(サカナ)を食べると暴力団(ヤクザ)が儲かる」という食品業界最大のタブーを暴く。

築地市場から密漁団まで5年に及ぶ潜入ルポは刊行時、大きな反響を呼んだが、このたび文庫化にあたって「サカナとヤクザ」の歴史と現状を追加取材。新章「“魚河岸の守護神”佃政の数奇な人生」「密漁社会のマラドーナは生きていた」を書き下ろした。

推薦文は『闇金ウシジマくん』『九条の大罪』の漫画家・真鍋昌平氏、文庫解説は『モテキ』『バクマン』の映画監督・大根仁氏。

本作はノンフィクションのジャンルを超え、日本のエンタメ最前線を走る人たちから絶賛されている。

真鍋昌平(漫画家)
「人の欲望は止まらない。ルールがあれば反則勝ちした犯罪者がぼろ儲け。
知らないうちに自分自身が密漁者の共犯者。
高級寿司の時価の舞台裏を犯罪集団に笑顔に拳は当たらない処世術で5年間も潜入取材して伝えてくれた勇気に泣けてくる」

【編集担当からのおすすめ情報】
18年10月11日、豊洲市場の開場当日に刊行された本書をきっかけに、密漁は社会問題として認知されるようになりました。しかし、この本の真価はそこにはありません。事実に基づくという制約があるはずのノンフィクションが、これほどまでにワクワクした楽しい読み物になり得るという可能性を示したことこそ、文庫化まで10年に及ぶ長期取材によって著者が得た最大の成果です。

「別の方も書いていらしたが、読み物としてなかなか面白い。その土地で生きていく人々のルポルタージュ。北海道の項で感じたのは、ヤのつく人々もK察も海保も同類。机上で鉛筆舐めながら規程を作ってる役人には絶対わからない、現場の重さを感じた。個人的には1980年頃の「北方領土の日」設定はこういうことなんだなあ、とフムフムと感じた。
本の内容とは直接関係ないが、家人が一時、野菜・果物を大田市場に配送する仕事をしていた。彼に言わせると「市場ってそんなもんよ、前歴を根掘り葉掘り聞いちゃいけないひとがいっぱいいる」と。普通の人が動いていない時間帯の仕事っていうのは、えてして自由な人を受け入れる土壌になっている。」

「個人的には、第一章より第二章の築地での潜入取材から読み始めると止まらずに最後まで読める。表現も分かりやすく面白い。昔から気になっていた北海道の漁業の黒い部分をしっかりと書いてくれている。地上波の報道番組がこの手の話題に極端に弱く、まるで問題が無い様に振舞われている現状を考えると体を張った取材をするジャーナリストのありがたさを再認識する。」

「著者渾身の一冊だろう。言葉の中身がいちいち濃密である。しかし、読むものを惹きつける何より「事実」の積み重ねが、どんどん「読ませる」構成になっている。暴力団が悪い、密漁者が悪い、それを野放しにしている漁業者が悪い、ひいては政府が悪い、消費者が悪い・・・という誰かが悪い、というステレオタイプな二元論にいきがちなこの手の話題であっても、決してそう導かないところにこの作者のフリーライターとしての真骨頂が見て取れる。」


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