ともぐい 河﨑秋子 (著) 新潮社 (2023/11/20) 1,925円

第170回直木賞受賞作!

己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには

明治後期の北海道の山で、猟師というより獣そのものの嗅覚で獲物と対峙する男、熊爪。

図らずも我が領分を侵した穴持たずの熊、蠱惑的な盲目の少女、ロシアとの戦争に向かってきな臭さを漂わせる時代の変化……

すべてが運命を狂わせてゆく。

人間、そして獣たちの業と悲哀が心を揺さぶる、河﨑流動物文学の最高到達点!!

「明治時代も令和も人の心の中にあるものは変わらないと思う。
表現の仕方は違えど本能は同じ。」

「強烈なストーリー展開もさることながら、活字に導かれた脳内映像は、昨今の映像の進化をはるかに超えたインパクトで襲いかかってきました。
普段あまり小説に触れることのない私ですが、一気に読破しました。」

「北海道の人里離れた山中で暮らす山男の話。マタギとも違い、単独行動で熊をも狩る。出自不明のまま、生きざまが現在進行でつづられていく。考え方・価値観が、すでに熊と同じなのだ。だから視点人物と一体化して読んでいくと面白い。
ただ、少し前に直木賞を受賞した千早茜の「しろがねの葉」とテイストが似ている気がした。
川﨑さんの前回ノミネート作「締め殺しの樹」に比べると、果てしない陰鬱さだけでなく自然の大らかさが盛り込まれて、読後感がずっと良かった。」


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