「テレビは見ない」というけれど エンタメコンテンツをフェミニズム・ジェンダーから読む 青弓社編集部(著、編集) 青弓社 (2021/4/23)

かつては「娯楽の王様」と呼ばれ絶大な影響力を誇った地上波テレビも、SNSや「YouTube」の普及、ライフスタイルの変化に伴い、かつてほどの勢いを失っている。

その原因には、視聴環境の変化だけではなく、アップデートされていないジェンダー観や「やらせ」などの演出面の問題、そしてマイノリティへの配慮やコンプライアンスなどの様々な問題が複合的に絡んでいて、テレビはマスメディアとして変革を迫られている。

一方で、ドラマでは、野木亜紀子、宮藤官九郎、坂元裕二などの作家たちは、自らの作品で新たなジェンダー観を描き、バラエティー番組では「お笑い第7世代」が活躍するなど、従来の価値観に縛られないコンテンツも相次いで登場して、テレビの新たな可能性を感じさせてもいる。

「テレビは見ない」「「YouTube」は見る」といった二者択一の議論ではなく、テレビのどこがダメで、どこが面白いのかを正面から語るために、昨今大きな注目を集め、また社会的な課題でもあるジェンダーやフェミニズムの視点からバラエティーとドラマを中心としたエンターテインメントコンテンツを問い直す。

様々なジャンルで活躍する書き手がテレビの「いま」に切り込む、「テレビ好き」も「テレビ嫌い」も必読の新しいテレビ論。

2020年に放送され話題になったドラマ『チェリまほ』(テレビ東京系)のプロデューサー本間かなみへのインタビューも所収する。

目次

まえがき 青弓社編集部

第1部 バラエティーとフェミニズム・ジェンダー

第1章 第七世代が浮き彫りにするテレビの問題点?西森路代
第2章 人気バラエティー番組でのジェンダーの“描かれ方” ?清田隆之
第3章 テレビ史から見える女性芸人というロールモデルと可能性?西森路代
第4章 わきまえない女たち――女性芸人とフェミニズムとエンパワーメント?西森路代
第5章 バラエティー番組の暴力性――性的マイノリティをめぐる表現から?松岡宗嗣
第6章 なぜワイドショーはずっとああいう感じなのか?武田砂鉄

第2部 ドラマとフェミニズム・ジェンダー

第7章 フェミニズムの視点を取り入れた日本のドラマの変遷――二〇一四年から現在まで?西森路代
第8章 坂元裕二、宮藤官九郎、野木亜紀子――三人の作家とフェミニズム?西森路代
第9章  『チェリまほ』とBLドラマの現在地?前川直哉
第10章 プロデューサー本間かなみに聞く――ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』を作って? [聞き手:西森路代] 第11章 フェミニズムから見る韓国ドラマクロニクル?佐藤 結
第12章 画面の向こうとこちらをつなぐ“シスターフッド” ?岩根彰子
第13章 わたしのためではない物語に親しむ――マイノリティ、ジェンダー、テレビドラマと社会空間のあいだから?鈴木みのり

あとがき 西森路代

「フェミニズム・ジェンダーの観点からテレビ番組を読み解く本はあまりない(あまりどころか皆無?)ので新鮮でした。そしてとても面白かったです。バラエティ番組をよく見るので、第1部は特に共感&なるほどと思いながら読みました。
ただ、少し話題を詰め込みすぎのような気がしたので、バラエティ番組はバラエティ番組、ドラマはドラマで別々に本を出しても良かったのではと思いました。
また、かなり細かい点ですが「女優」「ブラック」という言葉を使っているのが、内容が素晴らしいだけに残念でした。」

「とても読み応えのある、良い本だと思う。ただ、一部の著者が、ジェンダーの問題を総括して語る思いが強すぎるためか、「テレビ論」の側面がほぼ見受けられないものになっているようにおもえた。」

「トランスジェンダーは女性全般よりも自殺率が優位に高いので、それだけ生き辛さがあるというただの事実であっても、そんなことを言えば、女性差別が言いにくくなるし、フェミニズムは身体女性のものとかいうフェミを何とかすれば?」


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