夜に星を放つ 窪美澄 (著) 文藝春秋 (2022/5/24) 1,540円

かけがえのない人間関係を失い傷ついた者たちが、再び誰かと心を通わせることができるのかを問いかける短編集。

コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との関係、30歳を前に早世した双子の妹の彼氏との交流を通して、人が人と別れることの哀しみを描く「真夜中のアボカド」。

学校でいじめを受けている女子中学生と亡くなった母親の幽霊との奇妙な同居生活を描く「真珠星スピカ」、

父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさを描く「星の随に」など、

人の心の揺らぎが輝きを放つ五編。

「心にできた傷にそっと塗り薬を塗ってもらっているような、そんな感覚になりました。傷口がまだ新しい人には刺激が強いかもしれないけど、傷をもうずっと抱えて生きている人にはいい薬になる気がします。」

「女性の内面を描くイメージが強い作家であるが、本作はどれも心に優しさが灯る良い作品の数々。

今までの著者らしさをイメージすると物足りなさはあるかもしれないが、万人受けするいい作品に仕上がっていると思う。
人生の中で傷ついた出来事があっても、それを乗り越えられる光が見える希望が見え心穏やかに読める。
辛いことがあるけど前向きに少しづつ進もうとする今の時代に沿った内容である。

今後この手の作風で行くのか分からないが、こういう作品ももっと描いて欲しい。」

「正直に言えば読後感はあまりよくない。
私自身が子供なのかも知れないけど。
登場人物の誰一人も幸せになれず、誰かの幸せはほかの人の不幸とのバランスになっていて、これが大人の世界とワケ知り顔で納得することはやっぱりできない。」


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