時代を超えた名曲…サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」

「サイモンとガーファンクル」のポール・サイモンは、いつもなら歌詞を書くのに何週間もかかるのに、この時は歌がどこかから降りてきたかのようだったと振り返ります。

彼らの時代を超えた名曲「明日に架ける橋」(Bridge over troubled water)の誕生です。

一瞬で曲が浮かんだ

「一瞬で曲が浮かんだのだ。でもそれはすごくまれなことだった――あんな風に流れにのって、ピュアかつ明晰さとパワーを兼ね備えているものが生まれるのは。曲作りというのはミステリアスなものさ」とサイモン(2016年6月23日付米ビルボード誌)。

ゴスペル・タッチのピアノで始まるこの曲。

当時、サイモンがよく聴いていたスワン・シルバートーンズの「Oh Mary, Don’t you weep」というゴスペル・ソングの影響があったのだそう。

その作品には「bridge over deep water」という歌詞がありました。

時代の空気にマッチしていた

まず、サイモンがピアノで二番までを作ったそう。

しかし、スタジオに入ると、相棒のアート・ガーファンクルと共同プロデューサーのロイ・ヘイリーが、さらに三番の歌詞を足して、ドラムを加えることで壮大なサウンドになるようにと主張したのだ、とサイモンは1980年代前半の「プレイボーイ」誌のインタビューに答えて言っています。

「彼らはいつも、より大きく、より輝いていて、より甘く(曲を)したがった。でも、ぼくはより自然なままにする傾向があった。その二つが合わさることで、ぼくらが多くのヒット曲を生み出せたのだと今では思っている。おそらくピアノでの二番までの歌でもヒットしたかもしれない。でもモンスター・ヒットにはならなかっただろう」。

「生きることに疲れ果て、惨めな気持ちで、涙ぐんでしまう時。その涙をぼくが乾かしてあげよう」とガーファンクルのボーカルで始まる「明日に架ける橋」。

「暗闇に包まれ、苦しみが君を覆いつくす時、ぼくが身代わりになって、荒れた海に架かる橋のように、この身を横たえよう」と歌われます。

波乱に満ちた60年代を過ごした人々の「疲れた」気持ちを和らげるような内容が、時代の空気にマッチしていたとの指摘もある。

多くのアーティストがカバー

1970年1月に発表されたこの作品は、今や時代を超えた「アンセム」(讃歌)となっています。

発売当時も大きな反響を呼び、米ビルボード誌のチャートでは6週1位、年間シングルチャートでも堂々の首位を記録しました。

しかし、サイモンは振り返ります。

「最初から特別な歌だったけれど、ヒットするとは思わなかった。というのも、5分近くの長い曲だったので、ラジオでかけてもらえないと思ったからだ」(「プレイボーイ」誌)。

この名曲は多くのアーティストたちにカバーされてきました。

例えば、エルヴィス・プレスリーは同年6月に早速カバー・バージョンをレコーディングしたのです。

アルバム『エルヴィス・オン・ステージ(That’s the way it is)』に収録されています。

また、アレサ・フランクリンがソウルフルに歌い上げるカバーは、1971年に米ビルボード誌のR&Bチャートで首位を獲得するとともにポップ・チャートでも6位まで上昇する大ヒットとなったのです。

サイモンは言っています。

「今では自分の曲ではないように思うんだ」

ネットの声

「時代も国境も越える、奇跡のような名曲だと思う。古いゴスペルソングからインスパイアされたというのは有名な話だが、まだ若かった彼らがしっかり過去の素晴らしい音楽を糧にしていたことが良く分かる。今は様々な音楽を手軽に聴けるようになっているのだから、若い子たちも“最近話題になっている”ようなものだけでなく、古今東西の素晴らしい音楽を楽しんでほしい。」

「私は完全に後追い世代で最初は伯母が聴かせてくれたテープでこの曲を知りました。最後のハモリが入ってくるパートはいつ聴いても美しい そして大サビで感動がこみ上げる。たしか発売当時Let It Beとチャートを競ったとか。洋楽ポップスが燦々と輝く時代でしたね。リアルタイムで目にしたかった………」

「つい1週間前にアナログ盤を買ってこの曲収録のアルバムをあらためて通して聴いた。洋楽聴いて40年以上だけど久しぶりの感動をおぼえた。消費され続ける音楽ばかりではないと強く感じた。ポールサイモンの自分の曲じゃないみたいのコメントに涙腺が緩む。」



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