昭和世代には向かないミラーレス…

昭和オヤジ泣かせの装備だった! 画期的かと思った「ミラーレス」のクルマが普及しないワケ

デザイナーが未来のクルマを描いたスケッチなどを見てみると、あることに気が付くと思います。

そう、これまでのクルマには必ずついていた、サイドミラーがついていない、もしくは極小のデザインになっていることが多いのです。

革新的な技術にもかかわらず思ったほど普及せず……

現実にも、レクサスESをはじめアウディe-tronやホンダのHonda eといった、早々に「ミラーレス」を実現したクルマも存在します。

まだ、未来のスケッチのように完全にボディから突起物がなくなるわけではなく、細い棒のようなものがサイドミラーの代わりに装着されていますが、どんどんミラーレス車が増えてきて、技術が進歩していけば、それもなくなるのではないかと予想されていました。

ところが、思ったよりもミラーレス車は広がらず……。

同様に、ルームミラーにカメラの映像を写す液晶ルームミラーも、後方視界の死角を減らしてくれるという革新的な技術であるにもかかわらず、なかなかユーザーには浸透していないように感じます。

なぜでしょうか。

じつは、さまざまなデメリットがネックとなっているのではないかと考えられています。

老眼になるときつい

まず、ミラーレス車に初めて乗った人が抱く感想として、意外にも「車幅感覚がつかみにくくて怖い」という人が多いのです。

個人差はあるかと思いますが、私たちは無意識のうちにサイドミラーの両端を目安として、車両の幅がどのあたりになるのか、見当をつけていたということです。

なので、それが細く小さな棒になると運転席から先端が見えにくく、どこで車幅をつかんでいいのか戸惑ってしまうことに。

また、これは液晶ルームミラーにも言えることですが、運転中になるべく遠くの前方を見る習慣がついている人が、急に近くの液晶画面に視線をうつすと、瞬時に瞳のピントが合わず、よく見えないことが多いと言います。

とくに、40代以上で老眼が入ってきている人は、まったく見えないと嫌悪感を示す人が多くなっています。

時間帯や向きによっては光の反射の影響が出てしまう場合もあり、逆に、以前のサイドミラーより夜間や雨の日などの視認性がアップするというメリットが謳われているわりには、そんなに違いがわかるほどよく見えるようになっているわけではなく、それなら普通のサイドミラーのほうがいいや、ということになってしまうようです。

車内の様子がわからない

さらに、液晶ルームミラーの場合は、サイドミラーが既存の鏡だった場合に、前方視界はリアル、サイドミラーは鏡、ルームミラーは液晶画面と、3つの異なる視覚を瞬時に切り替えることになるため、より違和感を覚える人が多いようです。

また、小さな子供を後席に座らせているような場合は、ルームミラーで子供の様子も確認したいものですが、液晶ルームミラーにするとクルマの後方しか映らないため、車内の様子はまったくわかりません。

スイッチやレバーで液晶画面と鏡の切り替えは可能ですが、面倒なので普通の鏡でいいという人もいます。

あとは、後続車がトラックやバスなど自車より大きいクルマの場合に、実際には車間距離を適切に空けて停車していても、液晶ミラーだとまるで煽られているかのように接近して映るので、恐怖感を感じる人もいるようです。

こうした、慣れないことによるユーザーの拒否反応が多いことのほかにも、鏡なら割れない限りは半永久的に使用できますが、デジタルとなると当然、耐久性やトラブルも気になるところ。もし電装系がエラーを起こしたらどうなるのか?

極度の低温下などで結露などのトラブルは大丈夫なのか?

もちろんメーカーとしてテストはしていると思いますが、心情的に心配になる人もいることでしょう。

あとは、コストの問題です。ミラーレスや液晶ルームミラーはオプションで用意されているモデルが多く、新しもの好きな人はつけるかもしれませんが、なかなか高いお金を払ってまでつけたいという人がまだ少ないことも、広がらない理由といえそうです。

ネットの声

「そもそも右左折にしろ車線変更にしろ、ミラーの死角を目視で確認しなきゃならないので、ミラーレスにして車内に映像を映しても、視線の移動量は減らない。
利点になりそうなのは、ドアミラーと比べて車体からの突起物を小さくできる点だと思うけど、現状では車体からカメラを突出させないと車体の死角によって必要な場所を映せず、突出させざるを得ないないのであまり効果が無い。
結局、今のところミラーレスの利点は少ないと思う。
自動運転で隣車線の車を認識するためのカメラを設置する事を見越して、カメラの使い道を模索した市場実験的な位置付けなのかなと思っている。」

「鏡に映る像であれば、例えば10m離れた対象物と50m離れた対象物は目のピントの合わせ塩梅が変わるから前方のそれを判断するのと同じ仕組みで後方の対象物の距離を判断できる。
だけどそれがモニターの映像になれば、どれだけ対象物が遠かろうが近かろうが、目はそれを距離感の全く無い単にモニターに映った映像として認識するだけになる。
モニターの映像にピントが合う合わない以前の問題として、モニターの映像ではその見える大きさ以外に距離を判断する材料が無くなってしまう、2つの目に映る像のズレによって距離を判断するという人体の持つ本来の機能が無視されている、それが一番の問題だろう。」

「ミラーレスの記事では、何故普及しないのか決定的な事がいつも抜けている。ミラーレスの車に乗ったことが無い人が記事書いているからこうなる。
普及しない決定的な理由は、鏡の画角。鏡であれば、覗き込む角度を変えれば、シートポジションから見える後方以外の部分も見える。
簡単に言うと、駐車の時に車の側面のラインとかも、ミラーなら上から覗き込めば見える。
が、ミラーレスのカメラと画面だと、カメラの角度を動かさないと画面に映らない。
ゆっくり動いている駐車時ならまだいいけど、走行中、車線変更の時にちょっとミラーの外側を見たいときとかに、ミラーレスだとそれができない。
これが不便。このことを取り上げる記事媒体が自分が知る限りゼロ。」



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