川本真琴は利益が少ないっていうけど音楽サブスクで儲かっているシンガーもいる??

川本真琴「利益がどれだけ少ないか」、一方で「累計収益2000万円」のシンガーも “サブスク”でなぜ収益に差? 現場の実情

「サブスクでの利益がどれだけ少ないかを知ってほしい」

9月20日に投稿されて話題になったこのツイート。

投稿したのは、シンガーソングライターの川本真琴です。

伸びる音楽サブスク

「サブスク(サブスクリプション)」とは、一定額払えばサービスが使い放題というシステム。

今や音楽だけでなく映画や本、家電、車などさまざまなジャンルで広がり、2021年のサブスクの音楽配信売上は前年同期比で126%になっている。

「サブスクの否定はしていません」
「今音楽活動をしようとしている方が個人的に音源を出す場合、サブスクだけの売り上げでは活動を続けていくのが難しい状況であることを伝えたかったです」(川本のTwitterより)

実際の利益はCDに比べ2分の1どころかもはや雲泥の差だと問題提起しました。

一方で「累計収益2000万円」のシンガーも
一方で、「『サブスクは儲からない』というお話、よく聞くんですが儲からないということはないです。今年無事、累計収益2000万円いきました」と投稿したのは、シンガーのSUKISHA氏。

同じ業界でも儲かっている人はいるのです。

はたして音楽サブスクはアーティストを潰すのか、それともヒットの光明か。

9月29日の『ABEMA Prime』は現場で活動するアーティストとともに議論しました。

「とにかく金額がCDと比べておかしい」

収益がCDの100分の1になり「死活問題」と主張する、アーティストで作曲家の松本昭彦氏。

2016年に12曲入りのアルバムを発売し、CDでの収益は、「2500円×1000枚=250万円」から流通業者と製造コストを引いて、約100万円。

一方のサブスクでは、「再生1回約1円×(約1000回再生×12曲)=12000円」から配信登録料1万円を引いて、約2000円という計算。

1再生あたりの金額は曲によってばらつきがあり、自身の楽曲がプレイリストに入るかどうかでも大きく左右されるそう。

「みんなが聴いている人気のプレイリストに入れるかどうかで、作品の再生数はまったく変わってくる。プレイリストの売買というのも今はあったりするが、ピックアップされるか確実ではないようだ」

どこに一番納得がいっていないのでしょうか。

「サービス自体はすばらしいと思う。日本は島国なので、作品を世界中に届けるとするとCDは大変だ。でも、サブスクだと一気に世界中に広げられるし、タイムリーに作った瞬間に出せる。とにかく金額がCDと比べておかしい、その1点が違和感のあるところだ」

「うまく引っかかるかどうかはTikTokと一緒」

2000万円の収益を公表したSUKISHA氏はどのように稼いでいるのでしょうか。

「確かに1再生1円というのは少ないだろうが、単純に聴かれれば入ってくるというのはすごく公正なシステムだと思っている。たくさん曲を作って、“いいな”と思ってもらえたらいろんな人に聴かれて、アルゴリズムで“優れた曲”となればおすすめで出てくるようになる。そういうものが結果として再生回数につながって、お金が入ってくるようになる」

多くのアーティストが苦労している中で、なぜ自分の楽曲の再生回数が伸びるのでしょうか。

「自分が作っているジャンルの中での嗜好というか、一定の人が好きな曲があって、それがうまく引っかかるかどうか。TikTokとかと一緒で、“この動画面白いな”と思う人がいっぱいいたら広がっていく。自分に嘘をつかずに曲を作って、それをみんなが“いい曲だ”と思った結果だと思う。各論の話で言えば、総合力が高いものはウケると思っている。いいリリックで、いい曲で、いいメロディで、いい演奏があって、いい録音がされているということが全部揃って、かつちょうどよくタイミングが合って届くか届かないかという感じだ」

ファンであればCDやグッズなどの実物が欲しいと思う人も多いのではないでしょうか。

「それは理解できるが、音楽を作っている人間だから、一番は曲を聴いてほしい。CDを買ってもらうんじゃなくて、“音楽を聴いてください”と。その気持ちを満たすためにレコードがあると思う。インテリアとしても成り立つし、好きな人が多いので。CDよりはレコードを買うほうが満足感はある」

「一気に聴いてもらえるチャンスがあるのは夢がある」

ラッパー、アーティストのSONOTAは、自身の活動の現状について次のように明かします。

「ライブやMCバトルが終わった後の物販でCDを手売りするのと、オンラインショップでの販売、サブスクもやっている。今、自分の一番の収益は手売りのCDだ。サブスクに関しては、やはり大きいプレイリストに入るのは難しいと感じる。ただ、運よく入れた時に、今まで聴かれなかった層の人たちに一気に聴いてもらえるチャンスがあるのは、アーティスト側からするとすごく夢があると思う」

SONOTAは今年4月にMC BATTLEに初出場した際、ラッパー・呂布カルマを相手に大健闘したことが話題になりました。

その影響はあったのでしょうか。

「MCバトルのファンと楽曲のファンというのは、けっこう二極化している。バトルをすごく見るヘッズと、曲を聴いているファンで分かれていて、そこがうまくつながっていないのは悩んでいる」

未だCDやレコードが主力「こんな国は日本だけだ」

世界と日本の配信売上の差は歴然だ。ストリーミングやダウンロードなどの割合はアメリカが89.1%、イギリスが78.4%、ドイツが76.4%であるのに対し、日本は40.9%。

未だにフィジカル(CDやレコードなど)が主力となっているのです。

音楽ビジネスに精通するジャーナリストの松谷創一郎氏は「こんな国は日本だけだ」とし、

「アメリカは今10.9%がフィジカルだが、アナログレコードがCDの倍売れている」と説明。

その上で今後は日本でも配信が増えていくだろうとの見方を示しました。

「CDがこれ以上売れることはない。握手券などと一緒に売ってきたが、もう戻ることはできない。例えば、ジャニーズの『Travis Japan』というグループが全世界配信デビューをする。ジャニーズが一番フィジカルに依存していたが、そこが配信をやると言ってしまったわけで、ここからかなり変わってくると思う」

ネットの声

「サブスクが無かったとして、川本真琴のCDが今も売れていたか…山下達郎のように昔も今も売れてて、サブスク解禁してない人もいる。それは売れ続けてるからこそ出来ることだけど、それだけの才能があったってことだし、結局時代を超えて売れ続ける才能があるかどうか、で、才能有れば売り方は時代とともに変化していくんじゃないだろうか。
サブスク時代にも売れ続けたいなら、頑張って新しいヒット曲を出しましょう。
昔よりも新しい曲にみんながすぐに触れて、反応する時代だから、良い曲なら売れますよ。」

「よく聞く話だけど、今は曲の出だしにキャッチーなメロディがあるのに対して昔の曲はイントロからサビという流れ。
サビまで聞いて曲の善し悪しを判断しない時短が今の風潮であり、当然その流れに乗れてないアーティストは淘汰される。
かつてのヒット曲であっても聞くのは当時の人だけで、若者世代はよほど出ない限りプレイリストに登録しない。
良くも悪くも隠れた名曲的なものは売れずに、耳障りの良いインパクトのある曲しか売れなくなる。」

「紙の本と電子書籍とでは、けっこう価格が近いのに、音楽ではサブスクとCDでは価格が全然違いますよね。
永久に聴けるCDと契約している期間中だけ聴けるサブスクとで、価格が違うのは分かります。新人が参入する壁だけは低くなったのかもしれません。
でも長い目で見ると、新しいアーティストが長く活動を続けられなくなったり、組織票があるアーティストばかりがいつまでも第一線で活躍したり、という弊害もあるのではないでしょうか。」

おすすめの記事