東京から山口まで…1000kmの長距離移動…タクシー運転手はうれしくない??

片道1000km! 「東京から山口まで!」タクシーで行ける? 長距離&高額請求は運転手にとってメリットある?

素直に喜べない事情とは

タクシーを利用するタイミングは人それぞれですが、公共交通機関よりもはるかに高額であることを考えると、1万円を超えるような距離をタクシーで移動する人はよほどの事情がある人に限られます。

しかし、意外にもタクシーで長距離を移動する人は少なくないようです。

いったい、どんな事情があるのでしょうか。

タクシーの長距離移動は意外と多い?

例えば、渋谷から横浜までタクシーで移動すると、おおよそ1万円から1万2000円ほどの料金が掛かりますが、東急東横線で行けばわずか280円です。

一方、都心を走る個人タクシーの運転手の人達に「これまでもっとも遠くへ送迎した場所」を聞くと、長距離移動にタクシーを利用している人が意外に多いことがわかります。

東京都内を中心に、小田原や川越、宇都宮といった関東近郊の都市を挙げる運転手はめずらしくありません。

これらの都市は東京都心部の通勤圏内であるため、終電を逃してしまった場合などにはタクシーを利用して帰るという選択肢もあるかもしれません。

ちなみに、新宿から宇都宮までタクシーで移動した場合、高速料金を含めて5万円から6万円です。

一般的な会社員であれば目の飛び出るような金額ですが、会社の経費を自由に使えるような立場の人だったり、複数人でワリカンする予定だったりするのであれば、決して支払えない金額ではありません。

やむをえない長距離利用も

また成田空港への送迎もめずらしくないようです。

新宿から成田空港へは3万5000円ほどの料金が必要ですが、公共交通機関の少ない深夜便へ搭乗だったり、公共交通機関ではどうしても間に合わない場合などには、タクシーを利用することもあるようです。

さらにかなり遠いところでは、長野県大町市へ送迎したという運転手もいました。

タクシー料金は11万円近くにもおよんだそうですが、問題なく支払われたようです。

一見、無茶な利用のように思えますが、もし大町市に住む親族や知人が事故や急病などに見舞われた場合、一刻も早く駆けつけようとすればタクシーは最善の策のひとつです。

とくに、それが深夜であった場合には、始発を待って移動するよりもかなり早く現地に到着することができます。

このように、なんらかの事情によって急いで移動しなければならない場合には、やむをえずタクシーで長距離移動することもありそうです。

突然「東京から山口まで」、その時運転手さんはどうする?

タクシーの運転手の人達にとっては、長距離移動に利用してもらえることはありがたいことだといいます。

しかし、あまりに長距離すぎるとそれはそれでさまざまなリスクがともなうのも事実です。

例えば、都内で営業するあるタクシー運転手は、道で手を挙げた男性から「山口県まで」と頼まれたことがあるといいます。

都内のタクシー会社に所属するこの運転手は、まず事務所に連絡をし、山口県までの運行が現実的に可能かどうかを確認しました。

長距離走行は、労働基準法などの法令に違反する可能性があるほか、「相番」と呼ばれる、同じ車両を利用して営業する同僚に影響があるためです。

事務所に相談した結果、会社の規則などに則り、もうひとりのドライバーを乗車させた「ツードライバー制」で山口県を目指すことになりました。

途中で食事休憩をはさみながら、山口県を目指した一行は、丸一日かけておよそ1000kmの道のりを走破。

山口県に到着した頃には、メーターは40万円を超えていたそうです。

当然、これほどの高額料金になることは想定できたため、支払い能力については事前に念入りに確認していたといいます。

しかし、目的地の住宅街に到着したほんの一瞬の隙に、この男性は逃亡してしまったそうです。

いまから15年以上前のことだったため車内に防犯カメラなどはなく、運転手の2人は泣き寝入りするしかなかったようです。

この場合では、前述の大町市などのケースとは異なり、タクシーで移動する合理的な理由がほとんどありません。

冷静に考えれば、かなり怪しいといわざるを得ません。

ただ、タクシーでは正当な理由なく乗車を拒否することが法律で禁止されているため、単に「遠い」という理由だけで乗車を拒むのは、想像以上にハードルが高いという事情もあります。

こうした万が一のリスクを考えると、タクシー運転手にとっては、「遠ければ遠いだけうれしい」というものでもないようです。

とはいえ、支払い能力がないと判断されたり、今後の営業に支障をきたす可能性があったりする場合などには、長距離の乗車を拒否されてしまうことも考えられます。

もし、タクシーで長距離移動をする必要がある場合には、事前にタクシー会社に電話するなどして、事情を説明するのが無難といえます。

ネットの声

「あのね、超長距離客で会社に連絡して、もう1人用意させて、冬ならスノータイヤ用意するとかチェーン用意するとか準備があるから、一旦営業所行くわけ。
そこで会社の人も、ある程度料金かかる旨を告げて、見せ金ではないけど、確認させてくださいってやり取りをちゃんとすると、普通は見せてくれるわけ。見せない客はお断りできるわけ。ドライバーが個人の判断で拒否すると色々問題があるけど。
法律の専門家じゃないからわからんけど、自分だったら、会社に対応させて会社の命で仕事して、判断を会社に投げてるんだし、労働した対価として会社は給料を払う必要あると思うけどね。逃げられたら運動手が負担なんて時代はもう昔。」

「会社を通したのであれば、事前に事務所で料金を算出してもらい、少なくともその半分程度の料金を前払い金として納めて貰ってから出発するのが当然だろう。それが普通のやり方だと思う。
運転手は法的に、1日16時間以上の乗務は認められない。だからもう1人のドライバーを横乗りさせた。それは運転手側が話し合って決めた訳ではない。会社側が、そうしろと決めた事なのだ。よって全責任は会社側にあるはずである。
先にも述べたが、運転手は1日16時間以上の超過乗務が出来ない。それを超えれば労基法で確か、32時間は乗務出来ないはず。翌日の乗務などを考えれば、長距離だからといって必ずしも喜ぶだろうとは言えないと思う。」

「元タクシー運転手です。自分も昔名古屋から横浜までと依頼されたことがあります。しかしながら、断りました。理由は精算方法がはっきりしないことでした。基本的には、営業エリアから50キロメートルを超えた場所への依頼は断っても差し支えないと思います。」



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