本当は超売りたい!? やっぱり需要がない? 軽自動車を売らないトヨタ販売店の事情
販売のトヨタと言われ、国内では圧倒的なシェアを持つトヨタ自動車。
そんなトヨタが、長らく本気で進出しない分野が軽自動車です。
ピクシスシリーズを扱っていますが、全てダイハツOEMであり、トヨタが軽自動車をつくることはありません。
販売店にも軽自動車の展示車や試乗車があることは珍しいでしょう。
トヨタ販売店が積極的に軽自動車を売らないのはなぜなのか。
ホンダや日産は積極的に販売を続ける軽自動車市場に、トヨタ販売店が本格参入しない事情を明らかにします。
目次
一部地域の声を汲み取って始まった軽自動車販売
トヨタの軽自動車販売は、2011年にスタートしました。
ホンダではN-BOXが販売され、日産ではルークスなどが人気となっていた頃です。
ワゴンRやムーヴといった、ハイトワゴンの軽自動車が人気を集める中で、トヨタはムーヴコンテのOEMである、ピクシススペースの販売をスタートさせます。
当時の取り扱いはカローラ店とネッツ店に限定していました。
一方で、軽自動車保有率の高い一部地域(青森、秋田、鳥取、島根、四国4県、福岡を除く九州・沖縄)では、全チャネルで軽自動車を取扱うことを認めています。
軽保有率の高い地域からの強い要望があり、現在では乗用車3種、トラック・バンを2種、ピクシスシリーズとして取り扱うのですが、多くの店が販売に積極的ではありません。
軽自動車は扱うが、売っても売らなくても、どちらでもいいもの。
トヨタ販売店の軽自動車に対する意識は、この程度なのです。
安城市に来て驚くのが、軽自動車が少ないのと、街を走るクルマの9割がトヨタ系ばっかりという点。次点はホンダ、その次に日産とマツダ。外国車もとても少ない。スバルは1台も見てない。
— しましま (@shimashima0703) May 7, 2022
利益の小さい軽自動車は、販売店経営を悪化させる原因
ホンダのN-BOXは、2021年度国内で最も売れたクルマです。
1位を獲るということは名誉なことであり、ホンダHP内のN-BOXのページには、「No.1」の文字が大きく輝いています。
登録車の販売が伸び悩む中で、ホンダや日産は軽自動車に大きく力を入れました。
特にホンダは、Nシリーズを販売の中心に置き、スズキ・ダイハツという軽自動車の老舗メーカーに対して、攻勢を強めた形です。
販売台数では大きな伸びを見せたホンダ・日産ですが、一方で販売店利益は、販売台数の伸びほど芳しくはありません。
一般に、ディーラーマージン(新車販売における販売店利益)は、車両本体価格の10%から15%程度と言われています。
例えば、ヤリス1台(200万円前後)で約30万円、レクサスLS(1200万円前後)では約200万円となるでしょう。
しかし軽自動車の場合は、このディーラーマージンが大きく落ちるのです。
N-BOXの上級グレードは、ヤリスと大差ない車両本体価格ですが、台当たりの利益は半分以下です。
かつては、「売れば売るほど赤字」「ドアミラー1枚分の利益」などとも揶揄された軽自動車。
さすがに、これは誇張しすぎた表現ですが、登録車に比べて利益が少ないのは事実です。
トヨタが本気を出して軽自動車を開発し、登録車からの乗り換えを進めれば、あっという間にトップセールスを記録するはず。
しかし、これでトップを取った瞬間に、トヨタ販売店の利益は大きく減少するのです。
ヤリス・アルファード・ハリアーなど、登録車で圧倒的な強さを持つトヨタにおいて、軽自動車の薄利多売を、やる意味はありません。
さらにトヨタ販社は、メーカー直営がトヨタモビリティ東京1社だけとなり、各地域の販社は生き残りに必死です。
わざわざ経営が苦しくなる軽自動車を売り、会社が傾いても誰も助けてはくれません。
トヨタ販社が軽自動車を積極的に売らない理由は、こうした利益の面にあるのです。
昭和63年、最多販売車種は、トヨタ・カローラ
平成30年は、ホンダ・N Box一般人は軽自動車しか買わないです。
あと、カローラもN Boxも総額140万くらい
平成年間30年、給料が増えてないです。— today (@rc_succession) May 6, 2022
営業マンの眼中にはない?目標もない軽自動車は、セールスオプション的な存在
トヨタは軽自動車を、ダイハツからのOEMだから積極的に売らないというわけではありません。
ルーミーやライズの販売状況をみれば、OEMであろうが共同開発であろうが、良いクルマで、かつ収益が上がるなら、トヨタはトコトン売るでしょう。
軽自動車に関しては、前述のとおり収益率が大きな問題です。
積極販売すればするほど、自らの首を絞めることになり、これまで培ってきた販売方針やスキルまでも変える必要が出てくるのです。
そのため、トヨタ販社では、軽自動車に対しての営業目標を、多くのお店で定めていません。
営業マン個人への目標割り振りもなく、「売れ!」という指示も出ないのです。
トヨタ営業マンのスタンスとしては、顧客が求めれば販売するという程度。
メインで登録車を使ってもらっているユーザーが、セカンドカーとして軽自動車を求めた時に、営業として軽自動車のカードを切れるように準備だけはしています。
トヨタの営業マンにとっては、販売活動の中でのオプション的な立ち位置にあるのが軽自動車。
一定数の需要はありますが、登録車を犠牲にしてまで売るものではないと、販社も営業マンも理解しています。
だから軽自動車は、トヨタにおいて「売れない」のではなく「売らない」のです。
ほんとだ!下の方にあった!
CMでもやってるの見たことないから
出してるイメージが全然なかったわ。。。。— 渋谷昴(シブヤスバル) ~大魔道士とでも呼んでくれ!~ (@SUBARU_428) May 11, 2022
ネットの声
「売りたいのではなく、客の囲い込みが目的だからね。
自社の客が、他社に流失しないように、するのが目的だから、ディラーによっては、目標どころか、実績にはなっても成績アップの評価とならい所も実際にある。
販売台数より、利益のみが評価となるディーラなんかでは、5台売る人より、3台しか売らなくても、成績ボーナスが良い方なんかざらにいる。
値引き販売が当たり前の段階で、普通の方なら想像つくと思うけど。」「スバルやマツダみたいに元々自社で開発していたわけじゃないし、全チャンネル扱いになって売る車がいくらでもあるとなれば軽を積極的に売る理由はないでしょうね。
軽は貧乏人が乗る車という意識の人は高齢者を中心にまだまだ多いですし、高額車を中心に売ってきたトヨタ店やトヨペット店では店のイメージに合わないと考えてもおかしくない。扱う車によって客層が変わるのは事実で、ホンダでミドルクラス以上の車が売れなくなったのは何処のディーラー行ってもNBOXばっかりという事もあると思う。」「そろそろ自動車の税金見直すべきでは?
無駄に多すぎるし高すぎるし道路関係以外にまで使うくらい税金かけ過ぎてるんだから。
その流れで根拠のない軽自動車だけ優遇する税制もやめるべき。海外ではなかなか売れない上に利益の少ない軽自動車を日本で売れるからと作り続けるのは企業のコスパも悪いし、今の自動車関連税金には無駄しかない。」