“命にかかわる”トヨタが水素エンジンにこだわる理由

「エンジンの存続」は命にかかわる重要事項! トヨタが水素エンジン車に力を入れるにはワケがあった

トヨタは、水素エンジンを搭載するカローラスポーツで、モータースポーツに参戦しています。

そこには複数の目的があり「二酸化炭素の排出量を抑制する手段は、電気自動車だけではない」と主張することも含まれるのです。

「内燃機関はダメ」という考え方は技術の可能性を狭める

各メーカーやブランドが発信している昨今の方針には、内燃機関を否定する趣旨も少なくありません。

ホンダは2040年までに、すべての新車を電気自動車と燃料電池車にする目標を掲げました。

GMは2035年までに、新車販売される全車をゼロエミッション車にするそう。

フォードは2030年までに、欧州で新車として販売する全車を電気自動車にして、2050年にはすべてをカーボンニュートラルにするとしています。

これらの方針は、いずれもハイブリッドを含めた内燃機関を廃止して、電気自動車や燃料電池車に変更するものです。

しかし「内燃機関はダメ」という考え方は、技術の可能性を妨げてしまいます。

日本自動車工業会も「電気自動車は、カーボンニュートラルを達成するための唯一の手段ではない」としており、技術には、常に多様性を持たせておく必要があります。

状況に応じて最適な技術を使うことが大切で、ひとつの方法が未来にわたって使われ続けるとは限らないのです。

昨今の傾向は視野が狭いわけですね。

EVの普及には時間がかかる

水素エンジンも、そこに位置付けられます。

圧縮して燃焼させる内燃機関だが、水素は基本的に二酸化炭素を排出しません。

従ってエンジンなのに、地球温暖化対策になり得るのです。

「内燃機関はダメ」という考え方が技術の多様性に欠けており、可能性を狭めることを明確に示すのが水素エンジンです。

トヨタでは水素エンジンの市販化に向けた研究開発を開始しましたが、「二酸化炭素を排出しない内燃機関」という存在自体にも価値があります。

とくにトヨタの場合は、約170の国や地域でクルマを販売しています。

アフリカなどは充電環境も未整備で、電気自動車の普及には時間を要するでしょう。

クルマが故障すれば生命まで危うくなるような、切実な状況下でも使われるのがトヨタ車なのです。

トヨタのEV戦略は「2030年までに年間350万台」

そうなると「すべての新車を電気自動車と燃料電池車にする」とか「内燃機関は廃止する」とはいえません。

それをいえば、見捨てられる市場が出てくるからです。

そこで電気自動車の戦略も「2030年までに年間350万台」としました。

台数の目標を掲げるに留めているのです。

なお水素エンジン搭載車が普及するには時間を要します。

燃料電池車を含めて、保有台数が圧倒的に少ないからです。

給油所(ガソリンスタンド)の数は、ピークだった1994年に比べると半分以下に減りましたが、それでも約2万9000箇所が営業しています。

これに比べると水素ステーションは、約160箇所と大幅に少ないのです。

今後は主に燃料電池車の普及に伴い、水素ステーションも徐々に整備されていくでしょう。

この度合いに応じて、水素エンジン車もニーズに応じて市販されていきます。

ネットの声

「BEVとの棲み分けにはなるだろうけど、自動車市場の大半はBEVになるだろうね。安価である必要がある軽自動車は100%BEVになる。普通車のうちPHEVが50%、その残りがディーゼルと水素エンジン車等でシェアを奪い合うというのが現実的だろう。また、ただでさえ地方ではガソリンスタンドが衰退している中で水素スタンドが増えるなんてことはなかなか考えにくい。」

「EV化一辺倒だった欧州の盟主ドイツの連立与党である環境にとてもうるさいみどりの党は「褐炭による発電を容認」した。日本では大きく報じられていないようだが褐炭は普通の石炭よりも低品質で二酸化炭素を多く出すのでみどりの党は忌み嫌っていた資源だ、ここまで転換したのはいうまでもなくウクライナ問題である。
EV化の圧力はウクライナ問題を機にかなり先送りされる可能性が高くなった。」

「電気は送電線など既存のインフラがある程度流用できるし、災害時においては例えば東日本震災でも熊本地震でも他のライフラインに比べて早期に復旧できた実績がある。
なので、それ以上のメリットを提示出来ないとなかなか厳しいと思う。
とはいえ取り組むことで新たに見えてくるものも有るだろうから、この挑戦には敬意を表したい。」



おすすめの記事