クルマのフロアマット…付属品ではなくオプションにしている理由は?

フロアマットの装着率は90%以上と言われています。

クルマの営業マンに聞くと、フロアマットが注文されていないクルマを納車した記憶は数台ほどということです。

純正品を購入しなかったユーザーも、自身で社外品を購入・装着しており、フロアマットを装着せずに走っているクルマは、ほとんど見かけません。

ほとんどのユーザーが購入・装着するフロアマットは、なぜオプション(別売)なのでしょうか。

クルマは1円でも安く作りたい自動車メーカー

一部の超高級車を除けば、クルマは1円でも安く作りたいというのがメーカーの本音です。

自動車は、工業製品の中でも随一のコストカットが行われているのです。

できるだけ無駄な装備は省き、法規上で認められる最低限のラインで、完成車を作り出す。

しかし、近年では予防安全装備の装着義務化が進み、オプション設定だった装備を標準装備せざるを得ない状況となっています。

これは、1円でも安いクルマを作りたいメーカーとしては厳しい状況です。

フロアマットは販売価格で2万円~3万円であり、1円・1銭単位でコストカットしている新車の製造現場において、標準装備したくないものの一つです。

標準装備すると、ユーザーの選択の自由を奪うという見方もあるので、メーカーが進んでフロアマットの標準装備を行うとは考えにくいのです。

原価が安く工賃がかからないから、商談の材料に使える

「フロアマットはサービスします。」

新車を購入する際に、営業マンからよく聞くワードの一つではないでしょうか。

フロアマットはサービス(プレゼント)をするのに、都合のいいオプションなのです。

販売価格に対しての原価が、他のオプションよりも低く、装着は営業マンだけでできます。

金額もそれなりで、実質的な値引きの効果も大きいので、商売上の大きな武器となるのです。

金額が同程度のオプションを比べてみましょう。

1つは、フロアマット(デラックスタイプ)で20,900円、作業時間は0Hです。

もう1つはセンターロアイルミネーションで12,100円、1.0Hの作業時間が必要となります。

工賃を含めた総額は18,000円程度。

この二つを比べた時に、営業マンがどちらをプレゼント(値引き)として選ぶかというと、圧倒的にフロアマットなのです。

金額が2,000円安いから、値引きに渋い営業マンはイルミネーションを選ぶと思うかもしれません。

しかし、工場での作業が必要になる用品を、プレゼントにはしたくないのです。

ディーラーオプションであるフロアマットは、営業マンが商売を円滑に進めるための七つ道具のようなもの。

フロアマットが標準装備されてしまうと、商売道具を失うことになるのです。

販売店の営業マンは、フロアマットの標準装備を望んでいないといっていいでしょう。

フロアマットとETC、標準装備されないのは同じ理由?

フロアマットが何十年も別売りである最大の理由は、フロアマットが販売店装着オプション(ディーラーオプション)であるからです。

新車では、車両本体価格とメーカーオプションに、自動車メーカーの利益が大きく含まれます。

販売店の利益も少しはありますが、その比率は圧倒的にメーカーの方が多いのです。

対して、販売店装着オプションは、メーカーよりも販売店の利益が大きくなるようになっています。

このように、メーカーオプションとディーラーオプションには、大きな違いがあるのです。

特に装着率が高い、フロアマット・サイドバイザー・ナンバーフレーム・ボディコーティングは、販売店の収益性が高いオプションの代表例です。

これらがメーカーオプション、ひいてはメーカー標準装備となってしまうと、販売店の経営が苦しくなっていきます。

道路交通法改正などで、製造段階から機能を組み込むことが義務化されれば別ですが、基本的に販売店装着オプションが、メーカーオプションや標準装備に変わることは少ないといっていいでしょう。

実際にメーカーオプションや標準装備になった元ディーラーオプションを考えると、ここ10年の実例ではコーナーセンサーくらいしか挙がりません。

フロアマットもリモコンエンジンスターターも、ナビやETCに至るまで販売店オプションの売れ筋であり、収益の柱を、メーカーがやみくもに奪うとなれば、販売店からの反発は必至なのです。

フロアマットは、ユーザーの好みに合わせて選べるようにオプションにしてあるという理由は一理あるのですが、理由はそれだけではないことがわかるでしょう。

クルマは、メーカーから直接購入するものではなく、販売店を経由して、ユーザーに届きます。

この仕組みが、フロアマットを標準装備にしない(できない)理由になっているのです。

クルマの販売形態が大転換を起こさない限り、フロアマットは、今後も別売りであり続けることでしょう。

ネットの声

「値引き3万円は利益3万円減る。3万円相当のマットサービスならマットの原価のみ減る。買う方は最終的に同じ、売る方はマットの方が利益が多く残る。」

「好きなデザイン、色、素材のフロアマットを付けたいから。普通のフロアマットがいい人もいれば、縁が高くなったトレイタイプが欲しい人もいます。軽トラでも、ゴムで十分って人もいれば、じゅうたんタイプが欲しい人もいます。」

「見積もりにフロアマットは当然のように計上していたが、商談の詰めの時にフロアマットを支払い額変わらずに最上級タイプにする。これが非常に喜ばれる。値引きギリギリ感も演出出来るし、利鞘も実はガッチリある。13000から30000位だったろうか。でも最上級マットは良いですよ。」



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