
トイレ利用後に買い物しない人が約4割!? ローソンがトイレの扉にアートステッカーを貼った背景。
ローソンは11月15日、全国のローソン店舗のトイレ扉付近にアートステッカーを貼る取り組みを始めました。
コンビニトイレについて考えてもらう機会にしたいというのが目的ですが、どういった背景があるのでしょうか。
同社SDGs推進室アシスタントマネジャーの合田早紀氏に話を聞きました。
目次
トイレ提供で街のインフラとしての機能を果たす
アートステッカーには、「いつもきれいにご利用いただき、ありがとうございます」というメッセージと、QRコードが記載されています。
QRコードを読み込むと、動画が視聴できる。同社が1997年に店舗の「トイレ開放宣言」をしたことや、1日におよそ100万人がローソンのトイレを利用していると推定されるという内容です。
また、動画の後半部分では、トイレを清掃する店舗スタッフの存在を知らせるとともに、「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」というメッセージを伝えています。
ローソンとしては、街のインフラとしての役割を果たすためだけでなく、商品のついで買いが見込めることから、トイレ開放を加盟店に推奨しています(トイレを一般客に開放するかどうかは最終的に加盟店が判断します)。
一方で、立地などの関係で、開放していない店舗もあります。
コンビニトイレのお作法
借りる時には笑顔で丁寧な人は沢山いるけど、借りて出ていく時に『ありがとうございました』と言う人は極めて少ない
人に頼み事をする時よりも、『その後』の対応の方が人間性が出ると思われるので、自身も意識したい
— ごっどふぁざぁ (@godfatherdamono) November 26, 2022
コンビニトイレへの期待
コンビニトイレに対する社会の期待は高まっています。
例えば、外出時にトイレの不安を抱える高齢者や障がい者は多いといわれています。
神奈川県大和市では、高齢者の外出を促進するためにトイレの不安を解消することが重要だとして、2月にコンビニトイレを活用した「大和市公共のトイレ協力店」事業を開始しました。
登録店舗には「協力店表示ステッカー」を掲示してもらうとともに、トイレットペーパー200ロール(年2回各100ロール)を支給するということです。
大和市のような公共トイレの要請を受け入れている加盟店のオーナーもいます。
多くのコンビニチェーンが加盟する日本フランチャイズチェーン協会では、2000年に警察庁からの要請を受け、セーフティステーション(SS)活動を実施。
コンビニの店舗は、「まちのインフラ」「災害時のライフライン」としての役割を果たすため、災害時には「店舗で知り得た情報やトイレ・水道水などの提供を可能な範囲で支援する」としています。
さらに、政府はインバウンドを促進するために洋式トイレの整備を進める方針を打ち出しています。
コロナ禍で訪日外国人は激減したが、今後は復活することが予想されます。
日本国内を気持ちよく旅行してもらうため、コンビニトイレは重要な存在と位置付けられています。
このように、全国各地にあり、いつでも気軽に利用できるコンビニトイレの役割は高まってきているのです。
コンビニトイレ問題。
うちは自宅のトイレと勘違いしてる??が来ます。一日に何度も来ます。そして何も買いません。
さぞかし水道代、ペーパー代が浮いている事でしょう。— はらぺこゆっきー?? (@yukki_harapeko) December 3, 2022
水道代や清掃が負担に
トイレ清掃は1日複数回実施されますが、加盟店の一部オーナーからは水道代、備品、清掃などの負担が大きいという声も寄せられていました。
トイレを利用してくれたついでに商品を購入してくれれば、トイレの維持管理に関する負担はそれほど気にならなくなるかもしれませんが、実態はどうなのでしょうか。
ローソンは利便性向上のため、定期的に利用客の実態調査を実施しています。
過去の調査によると、トイレ利用者のうち商品を購入せずに退店した人の割合は約40%で、来店客全体に占める割合は約5%だそう。
飲食店の場合、ほぼ「トイレを利用する人」=「お店で食事をしてお金を払ってくれる人」といえます。
ローソンの場合は、「トイレ利用後、商品を買っている人は約6割もいる」と前向きに捉えるかどうか、店舗によっては判断が分かれるところでしょう。
サッカー場はキレイにして絶賛されるのにコンビニのトイレや駐車場は汚し放題。これが日本の民度です。
— 珍小ファミ@首都近郊 (@cinkofami) November 24, 2022
アートトイレを展開
ローソンでは、冒頭で紹介したアートステッカーを掲示する以外にも、11月18日から東京都と神奈川県の3店舗でトイレ全面をシールでデコレーションしたアートトイレを展開しています。
トイレを普段からきれいに使ってくれている人に向けて感謝の気持ちを伝えるのが目的です。
テーマは「ありがとう」で、福祉施設「PICFA(ピクファ)」に所属するアーティストが描いたそうです。
PICFAは医療法人清明会が運営する「きやま鹿毛医院」(佐賀県基山町)内にある障がい者施設。
アートトイレを展開するにあたり、ローソンから同施設のアーティストに対してデザイン費が支払われています。
企画をした同社の合田氏によると、PICFA施設長の兄に障がいがあり、もともとトイレに行く回数が多かったということです。
そのため、家族で外出する際にはトイレ探しに苦労していました。
そうした経緯もあり、合田氏が提案した今回のプロジェクトにも施設長は前向きに取り組んでくれたのです。
誰もが使えるコンビニトイレを継続していくために、「きれいに使ってください」と協力を訴えるローソンの取り組みは浸透していくのでしょうか。
外回りの仕事をしていると、トイレはコンビニを使わせてもらう事が多い
トイレだけ使わせてもらうなんて出来ないからコーヒーかお茶を買うそう言えばトイレ使用前に従業員に声を掛けてくださいと書いてあるコンビニはあまり治安が良くない地域だと聞いたことがある…
納得…
— ララ (@TatsuyaKado) December 1, 2022
ネットの声
「コンビニトイレを開放してくれてとてもありがたいといつも思っています。使用時には購入するようにしています。トイレの使用者には体調不良で使用する方もいるでしょう、排泄物で汚染してしまう事もあると思います。コンビニでは食料品を扱ったり、調理したりします。スタッフの方は忙しく万全の装備で清掃できない事もあると思います。衛生面からみても忙しいスタッフの方だけに負担を強いるのは無理があるのではないかと思います。無料だから利用する人もいます。コンビニのトイレは有料にしてもよいのではないかと思います。」
「以前から課題には上がっていますが、結局は店個人の好意に任されていますね。コンビニのトイレには私も助かっています。それを続けてもらうには、利用者も気持ちを形にして欲しいですね。せめて、ガム一個、ジュース一本でも。トイレの為に店の不利益になるのであれば、トイレの封鎖や、有料化もやむを得ないでしょうからね。」
「コンビニのトイレそもそもなんでコンビニにトイレを設置してあるのか考えてもらいたいもの、トイレひとつにしても維持費は相当な物、最近大和市の様な自治体がコンビニのトイレを狙っているようだが、自治体がトイレを用意する設置費、維持費の削減でコンビニに頼るのはどうかと思いますよ、ローソンも善意で協力しているとは思いますが、店舗を利用するお客様の為のサービスの一環としてトイレを設置してある物自治体ももう少し考えて欲しいものです、維持費削減の為に公園のゴミ箱など撤去した日本の自治体ももう少し工夫努力して欲しいものですね。」