そういえばデーブ・スペクターってYouTubeやらないよね

「日本の芸能界にいられることの感謝は誰よりも大きい」デーブ・スペクターがYouTubeをやらない理由

1984年に「笑っていいとも!」に初出演して以来、40年近くに渡り日本のメディアの第一線で活躍を続けるデーブ・スペクター。

子役でコーンフレークCMに出演

生まれはアメリカのイリノイ州シカゴです。

父は増築や不動産販売をする会社を経営、母はデパートの婦人服の販売員をしていました。向こうは学校が終わると親の職場に遊びに行ったりするんですよね。

よく母の職場に行って、脱ぎっぱなしにされた試着室を母が片づけるのを見てたから、「自分は絶対脱ぎっぱなしにはしないようにしよう」とか背中を見て育ったところはありますね。

姉の勧めで7歳頃から舞台やテレビ、CMなどで子役をやるようになりました。

ケロッグのコーンフレークのテレビCMにも出たし、アメリカではコマーシャルソングを誰でも知ってるホットドックのCMにも出ましたよ。

たぶん相当稼いでいたと思うけど、親にピンハネされてたんじゃない?(笑)

日本人転校生ワタルくんとの出会い

小学校5年の時に、ワタルくんという日本人転校生がやってきたんです。

ガイドブックで覚えた「郵便局はどこですか?」という日本語を話しかけてみたらすごく驚かれて。

それをきっかけにワタルくんと仲良くなり、日本にハマっていきました。

当時シカゴにあった仏教教会がやっていた日本語教室に週1回通い、ワタルくんの「週刊平凡」、「週刊明星」、「週刊少年マガジン」、「週刊少年サンデー」などの雑誌をもらって日本語を覚えました。

ワタルくんのお姉さんにもらってた「女学生の友」も面白かったですよ(笑)。

今なら日本のテレビも見られるしネットもありますが、当時は日本語を勉強するには、雑誌と本とレコードしかないんです。

だから日本の雑誌と芸能界にすごく詳しくなりました。

ある程度、マンガや雑誌で日本語をマスターしたら、今度は小説に挑戦しました。

井上靖、五木寛之とか10代前半で読んでましたから、おませでしたね。

「小説新潮」と「オール読物」も読んでました。この2つは短編小説が入っているから、連載途中で話が分かりづらくなっても他の小説読めばいいからね。

日本独特の人間関係は映画で学びました。

“寅さん”や“若大将”シリーズの映画が大好きでしたので、そこで「遠慮」とか「先輩後輩」といった関係とか(笑)。

中学時代には、日系人主催で日本人が出る日本語弁論大会で2年連続優勝するまでになりました。

加山雄三さんや夏木マリさんの“追っかけ”

18歳のときに上智大学に留学しました。

東洋学を学びましたが、大学の勉強にはあまり興味はなく、ずっと“追っかけ”をやっていました(笑)。

赤坂のキャバレーでディナーショーに出る歌手の方のリハーサルの時間を狙って、サインをもらうんです。

日吉ミミさんとか夏木マリさんとか。もう今はありませんが、赤坂の駅前に昔レコード店があって、そこでレコードを買って、サインしてくださいと持っていって。

当時はセキュリティーもない時代でしたからね。

大ファンだった加山雄三さんにも会いたくて、追っかけましたが、ご兄弟がやっていた店まではたどり着いたんですが、結局この来日時には会えませんでした。

アメリカに帰国後、放送の学校に通ってアナウンスとエンジニアの技術を両方学び、その後、放送業界に入りました。

再び日本に行く機会を得たのは、ABCのプロデューサーのとき。ちょうどABCで日本に行ってくれる人を探していたのです。

日本では、日本の面白い番組をVHSのテープにひたすら録画して、向こうに送っていました。

「木曜スペシャル」「水曜スペシャル」「わくわく動物ランド」「風雲!たけし城」とか、当時の人気番組をたくさんアメリカに紹介し、話題になりました。

日本のテレビに出たきっかけは「笑っていいとも!」

日本のテレビに出るようになったきっかけは1984年に「笑っていいとも!」に出演したことです。

当時、日本のテレビでは外国人タレントがちょっとブームだったんですが、正直、外国人でちょっと面白いというだけで、プロじゃない人ばかり。

小さい時からタレントもやって「週刊明星」も読んでいた僕が出ないのはおかしいだろうと思って(笑)。

でも本業は別にありましたし、あくまでシャレのつもりで出たのですが、来週も来てくださいと言われて、いつの間にかレギュラーになり、そして今に至るという感じです。

「プロ」が好きだからYouTubeはやらない

日本の芸能界にいられることの感謝は、たぶん他の誰よりも大きいと思いますね。

若いころ銀幕で夢中で見ていた憧れの方に実際に会えたり、一緒に仕事できることが、本当に感激でしたから。

今の若い人は、日本の過去のすばらしい作品や役者や歌手を知らないし、知ろうともしないのは本当に残念です。

テレビ局も新入社員をたくさん取るのはいいけど、過去の素晴らしい作品や番組を教えるべきだといつも言っています。

最近、なぜYouTubeをやらないんですかって聞かれることが多いですが、僕は「放送」が好きなんですよ。

あのスケール感が好きなんです。朝の番組とかスタッフが100人もいて、1台、2000万円以上するカメラが5台以上あって。

そして、「プロ」が好きなんです。

プロが集団となってつくる良質なテレビ番組や映画などはもっとリスペクトされていいと思っています。

ネットの声

「デーブからは日本のテレビ界への強い愛を感じる。彼は長年に亘って日本のテレビに出る芸能人であると共に、テレビ界を長年に亘って業界人として見続けてきた人。こういう人は日本に於いてもあんまりいない貴重な存在。彼が別途発言している現在のテレビ界のダメなところなど傾聴に値すると思うな、テレビ界の建て直しが必要である場合には、きっと彼はいいアドバイスをしてくれるだろう。」

「米国では未だに三大局が基軸で、ネット配信も積極的。ただ単にYouTubeに頼るのではなく、自分(司会やコメンテーター)の言葉を発信できる場所が守られている。日本は流動的で好きな言葉を美辞麗句なしに話し、炎上したりそれを信じる人も多い。しっかりとした考えを言い、伝えることができる環境が減った中でも、自分の言葉を発信するこの方は好きです。」

「YouTubeも確かにすごいコンテンツだけど、テレビの地上波なら視聴率1%でも130万人、10%なら1300万人が見ていることになり、スケールが違う。しかもわざわざ見にきた人だけではなくつけっぱなしだったり待合室で”たまたま”見てそこから興味を持つ人もあるわけで影響力が桁違い。デイブの言うように機材や編集スタッフもプロフェッショナルだし。テレビはオワコンと言われて久しいが、まだまだ主要メディアだと思う。」

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