
2022年からiDeCoがさらに使いやすくなる? 3つの変更点を解説
「iDeCoで老後資産を準備している」という人も多いでしょう。
そんなiDeCoが2022年から法改正(確定拠出年金制度の改正)されることは知っているでしょうか。
具体的には3点が変更されます。
どれも選択肢が広がる改正のため、基本的にはiDeCoがさらに使いやすくなると言えます。
目次
iDeCoの受け取り開始可能年齢が75歳まで拡大【2022年4月~】
現在、iDeCoの受け取り開始時期は、60歳?70歳の間で選ぶことが可能です。
言い換えれば、70歳になると運用を続けたくても続けることができず、運用資金を受け取らなければいけません。
iDeCoのメリットの一つが運用益非課税であり、iDeCo以外の資産が豊富で今すぐiDeCoを老後資金に回す必要性がない人は「できるだけ長く非課税口座であるiDeCoで運用し続けたい」と思っている場合もあるでしょう。
したがって、受け取り開始可能年齢が75歳まで拡大されたのは、選択肢が広がるという意味でポジティブな改正と言えそうです。
ただし注意点もあります。
まず、運用が必ずしもうまくいくとは限らないことです。
当然ながら、非課税のメリットは運用益が出てないと効果を発揮しません。
運用を続けると、口座管理料の負担も発生し続けます。
一般論として、年齢が上がれば上がるほどリスク許容度は低くなり、リスク資産の割合を落としていくものです。
「非課税口座であるiDeCoでできるだけ長く運用しないともったいない」というマインドから、無理な運用を継続しないように注意しましょう。
また、iDeCoの受け取り方は「一時金として受け取る」「年金として受け取る」「それらを組み合わせて受け取る」の3パターンがあるのですが、70歳(2022年4月からは75歳)に到達してしまうと、年金での受け取りができなくなります。
選択肢が狭まってしまうことに加えて、税金も絡んでくることに注意したいところです。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となるためです。
該当年齢に到達してしまうと、公的年金等控除を活用した方が有利だった人も年金受け取りができなくなります。
75歳まで運用する前に、自分はどの方法で受け取るのが有利なのかを事前に確認しておきましょう。
公務員の方必見!
iDeCoの掛け金の上限額12,000円が、2022年10月から20,000円に増額されます!公務員の退職金額も、年々減少しています。いくら安定してると言えども、老後のことを考えるならば、公務員の方も資産運用は必須です。運用しながら節税できるiDeCoに入られることをお勧めします!— くろまめ (@2WYJSe4v1Uec2Vg) November 7, 2021
iDeCoの加入可能年齢の拡大【2022年5月~】
現在の加入可能年齢は「60歳になるまで」ですが、2022年5月よりこれが5年間引き上がり、原則として65歳になるまで加入できるようになります。
具体的には、60歳以降も会社員や公務員といったサラリーマンとして働く人、任意加入被保険者として国民年金に加入している人などが該当します。
特に、対象人数の面からも60代前半のサラリーマンが加入できるようになったのは大きな改正と言えるでしょう。
利用者目線で見ると、
①老後資産が積み増しできる
②掛金の所得控除が受けられる
③50代に新規加入する
以上のメリットが想定されます。
①と②はわかりやすいメリットでしょう。
しかし③はどういうことでしょうか。
現在の制度だと、60歳から年金資産を受け取るには、個人型確定拠出年金に加入していた期間等(通算加入者等期間)が10年以上必要です。
10年に満たない場合は、受給開始年齢が繰り下げられてしまいます。
つまり、50歳以降で新規加入すると、60歳時点では年金資金を受け取れず、空白期間が生まれてしまっていたのです。
今回の改正によって、50代のうちに加入し、受給開始年齢に達するまで加入し続ければ、その空白期間は消滅するケースが多くなるというわけです。
2022年1月から積立NISAとIDeCo開始します。一応定年60歳までの25年間でいくらまで増えるか楽しみです。
ボーナスや毎月の余剰金は貯金ではなく、株の補填資金にしたり、仮想通貨を定期的に購入していこうかな。— アレス@人生改心の一撃 (@gij_original) November 9, 2021
企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入要件の緩和【2022年10月~】
現在、企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入している人がiDeCoに加入するには、各企業の労使の合意が必要でした。
しかしこの改正によって、一定の条件を満たせば企業型DCとiDeCoの同時加入が可能となります。
具体的には、以下の表のとおりであることが必要とされます。
マッチング拠出(企業型DCの会社掛金に本人が掛金を上乗せして拠出すること)との同時利用はできないものの、それ以外であれば、基本的に同時加入できます。
https://zuuonline.com/channels/orixbank/233921
もちろん、無理に同時加入をする必要はありません。
「マッチング拠出で十分」という人もいるでしょう。
「自分はどちらが有利か(そもそも上積みすべきか)」を確認した上で、経済合理性の高い選択肢を取ると良いでしょう。
老後資金づくりにiDeCoを有効活用していこう
この改正を通じた注意点としては、iDeCoの老齢給付金を受給した人は、改正により加入要件を満たした場合でも、再加入できないことが挙げられます。
また、公的年金を65歳前に繰上げ請求した人は、改正により加入要件を満たした場合でも、再加入することはできません。
2022年からのiDeCoの変更点は大きく3点です。
今回の改正内容をしっかり理解しながら、老後資金づくりにiDeCoを有効活用していきましょう。