
昭和プロレス 禁断の闘い 「アントニオ猪木 対 ストロング小林」が火をつけた日本人対決
ストロング小林「レスラーにとって最高の誇り」アントニオ猪木戦を語る…「昭和プロレス禁断の闘い」
ストロング金剛の芸名でタレントとしても活躍した元プロレスラーのストロング小林こと小林省三さん(80)とアントニオ猪木氏(78)が47年前に戦った名勝負を追跡取材した「昭和プロレス禁断の闘い~アントニオ猪木対ストロング小林が火をつけた日本人対決~」(河出書房新社、2970円)が出版されました。
目次
中高年で知らない人はいない!
「今の若い人は僕のことを知らないでしょうね」。
芸能活動を引退して26年。
小林さんは脊髄損傷による下半身のまひで3年前から寝たきりとなっています。
これまで取材を断ってきたが、介護してきた妹のさち子さんが「プロレス界にストロング小林がいたっていうことを残してもらいたい」とつないでくれたのです。
小林さんはボディービル選手から1966年に国際プロレスに入門。
翌67年に日本初の覆面レスラー「覆面太郎」としてデビューします。
マスクを脱いでからは71年6月にIWA世界ヘビー級王座を獲得し団体のエースに。
74年3月19日に東京・蔵前国技館で新日本プロレスのNWF世界ヘビー級王者・アントニオ猪木に挑戦。
猪木のジャーマンスープレックスで敗れたものの“昭和の巌流島”と呼ばれる名勝負を繰り広げました。
「国技館のメインイベントで試合をやるっていうのは、レスラーにとって最高の誇りですから、そこでお客さんがいっぱい来てくれたことは、最高の喜びでしたよ」
小林さんにとっては、猪木に負けた悔しさよりも名勝負を作ることができた思い出の方が大きい。
この猪木VS小林を軸にスポーツ報知のニュースサイトで連載された藤波辰爾、長州力、小林邦昭らの証言を再構成した「昭和プロレス禁断の闘い」は力道山VS木村政彦からの日本人対決の系譜が430ページにわたって網羅されています。
選挙番組まで時間があるから、今日も昭和の試合を観る??
1974年12月のアントニオ猪木??ストロング小林??
3月の「伝説の名勝負」から9ヶ月後の試合??
小林さんがオイラの知ってる「怒涛の怪力ストロング小林」になってる??
猪木さん、メチャクチャカッコいい!??#アントニオ猪木 pic.twitter.com/CIbntPZsdf— Atsushi Nakano (@anakano1968) October 31, 2021
昭和プロレス禁断の闘い「アントニオ猪木対ストロング小林」が火をつけた日本人対決 福留崇広(著) 河出書房新社 (2021/10/27) 2,970円
「力道山×木村」以来、禁忌となった日本人対決。封印を破った「猪木×小林」他、不穏で熾烈な闘いを描く。
未踏のノンフィクション!
著者について
1968年、愛知県生まれ。國學院大学文学部哲学科卒業。92年、報知新聞社入社。
現在、コンテンツ編集部所属。
プロレス、格闘技、大相撲、ボクシング、サッカー等を取材。著書に『さよならムーンサルトプレス』。
猪木の先に頭がつくブリッジだけでなく、何気に小林の足の広げ方も技を美しくしてると気付きました。 https://t.co/HiTfpzKtYB
— ta2nv (@ta2nv) October 31, 2021
ネットの声
「傑作! 日本人対決の歴史がこの一冊にある。タイトルだけだとわかりづらいですが本書は日本人対決がテーマです。
猪木vs小林
藤波vs長州
タイガーvs小林
藤原vs前田
スーパータイガーvs藤原
鶴田vs天龍
これらの試合を中心に全430ページのボリューム。
客観的な筆致でじっくり読ませます。
猪木vs小林を例にあげれば、
病に伏せる小林氏、猪木と新間氏との出会い、旗揚げ直後の新日の苦悩、
全日・馬場との駆け引きなどなど、試合に至るまでの経緯、情勢をこれでもかというくらい積み上げます。
読んでいて、今まさに猪木vs小林が実現するかのような臨場感。
対決したレスラーはもちろんのこと、周囲の人間を巻き込んでいく様が
後年に語り継がれる理由なのだと再確認しました。」「プロレスの舞台裏が暴露されてしまい、とてもプロレスの全てにセメント幻想を抱くことはできない。しかし、確かに昭和プロレスには”セメント幻想”があった。NWA王者だったルーテーズも遠征すると「半分ぐらいの試合で”仕掛けられた”」と証言している。この”仕掛けるプロレス”こそが、力道山から猪木へと続く”セメント幻想”の系譜だと思う。
力道山が顔面蹴りと張り手で木村政彦をKOした壮絶なシーンが登場する。勝ち負けの約束はあったにしても、油断した木村が敗者というのが現段階での総括となるのだろう。この調印式で残した力道山の「プロレスはショーだと言われるが、ショーと真剣勝負は紙一重」との言葉が全てを物語るような気がする。
どうこう言っても、この”セメント幻想”の正当な承継者と言えるのは猪木をおいて他にはいない。本書には「食後でもホテルで腕立伏せ800回をこなした」とか「リングに上がる前に情報をとらない」といった猪木のセメント逸話が散りばめられる。なかでも本書のメインテーマである猪木×小林戦から読み解ける”セメント幻想”は奥が深い。強烈なストレートを顔面に食らって尻から崩れ落ちる小林に対し、猪木は背中への蹴りで覚醒させ、「落とすため」の首四の字固めを容赦なく仕掛ける。セメントか?と思わせる動きだ。ここに藤原、佐山、前田、長州、更には天龍へと細々と連なる”セメント幻想”の系譜を感じた。
本書には昭和プロレスの”セメント幻想”が溢れている。猪木に「道場のセメントで格闘技を追求し、リングでは興行を熱狂させ、相反する二つを融合させた」とまで言われてしまうと、「昭和プロレスって最高!」と唸ってしまう。イワンゴメスにも潰された敗者小林の切ない人生模様も絡んで、思わず昭和プロレスのノスタルジーに浸ってしまった。やはり、真剣勝負と信じれる何かがあった昭和プロレスは素晴らしい。」
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